係を追及していきます。
トークンは、「何らかの概念を定量的に表現しやすく置き換え
たもの」のことであり、この考え方に立つと、あらゆるものをト
ークンと考えることができます。昨日のEJで述べたように、暗
号資産(仮想通貨)もトークンも「ファンジブルトークン」のな
かに入るのです。
それでは、暗号資産(仮想通貨)とトークンは、どのように違
うのでしょうか。
トークンも仮想通貨も、ブロックチェーン技術を基に作られる
電子通貨である点は同じですが、基になるブロックチェーンが独
自のものか、既存のものかによって異なってきます。
例を上げます。「ザイフトークン」と「フィスコトークン」と
呼ばれるトークンがあります。「ザイフトークン」は、暗号資産
「ネム」という独自のブロックチェーンを利用して作られていま
すし、「フィスコトークン」は、暗号資産「ビットコイン」のブ
ロックチェーンを利用して作られています。
つまり、独自のブロックチェーンとは、ある暗号資産、たとえ
ばビットコインを立ち上げるために独自に作られたブロックチェ
ーンのことで、それら既存のブロックチェーンを利用して作られ
た暗号資産が「トークン」と呼ばれるのです。
それでは、独自のブロックチェーン上に作られた暗号資産(仮
想通貨)と、そのブロックチェーン上に作られた暗号資産(トー
クン)をどのように区別するのでしょうか。その区別は、以下の
ようになります。
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◎独自のブロックチェーン
基軸通貨
◎既存のブロックチェーン
代替通貨
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トークンは、さまざまな状況で、誰でも購入することができま
す。トークンを購入し、保有するメリットとしては、次のような
ものが上げられます。
─────────────────────────────
@リターンを期待できる
Aサービスで利用できる
B少額でも投資ができる
─────────────────────────────
第1は「リターンを期待できる」ことです。
多くの場合、トークンは企業が発行しますが、もし、その企業
が事業に成功すれば、当然トークンの価値は上がります。もし購
入時点よりもトークンが値上がりした場合、そのタイミングで売
却すれば、その差額が利益として得られます。つまり、株式と同
じように、値上がりによるキャピタルゲインが狙えるというわけ
です。
第2は「サービスで利用できる」ことです。
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)などに参加し、
トークンを得た場合、その発行元の企業や団体が提供するサービ
スなどに利用できる可能性があります。どのようなサービスかと
いうと、内容は様々ですが、ゲーム内での通貨や、音楽やブログ
などのコンテンツサービスに利用できたり、指定の取引所で他の
通貨と交換できたりなどです。
第3は「少額でも投資ができる」ことです。
最低購入額は取引所によって違いますが、トークであれば、少
額から投資することが可能である点はメリットといえます。株式
などと比較しても、少額から購入できるので、投資の初心者でも
気軽に参加できることになります。
「ブロックチェーンはバーチャルな組織、もっといえば社会を
つくる力を持っている」と坪井大輔氏はいいます。社会をつくる
というのが大袈裟であれば、コミュニティを作ると言い替えても
いいと思います。それは、トップがいなくても意思決定のできる
コミュニティです。それは、ブロックチェーンの持つ技術、コン
センサス・アルゴリズムによって可能になります。坪井大輔氏は
トークンは社会をつくるとして次のように述べています。
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インターネットという宇宙の中に、ブロックチェーンで星をつ
くり、その星にトークンエコノミー・コミュニティで国をつくっ
て人を住ませる、というイメージです。それで今、大手企業は大
きな星をつくってそこに大きな国をつくろうとしている。小さな
会社だって小さいなりのコミュニティを形成して、100人の国
をつくろうとしている。さまぎまな形の星たちが、無数に存在す
る。今後このようなことが、いたるところで起きて、それぞれの
星を宇宙船に乗って行き来するようなイメージが現実的になるで
しょう。
重ねて申し上げますが、なぜこれが実現できるかというとトー
クンのおかげです。インターネットだけでは実現できません。イ
ンターネットは情報を世界中に流通させますが、価値を定量化さ
せることは苦手です。レビューが一つの手段ですが、そこでは定
量化させるルールが個人の主観となり、定性的です。つまり、イ
ンターネットはそのままでは金融の機能がないわけです。経済に
ついて少し掘り下げて考えると、今のリアルの社会でも結局、金
融の上に経済が成り立っています。金融というメカニズムがなけ
れば経済が成り立たない。そう考えれば、トークンによって金融
が成り立ち、エコノミーができ、その上にサービスを設計してコ
ミュニティを生み出せるようになったことが最も重要な変化なの
だと思います。 ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
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──[デジタル社会論V/071]
≪画像および関連情報≫
●トークンエコノミーの時代がやってくる!―見えない価値を
可視化し、交換する技術
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ブロックチェーンのユースケースとしては2017年から
仮想通貨が大きな注目を浴びてきたが、2018年には仮想
通貨交換所から資産が大規模に流出する事件が発生したり、
いくつかの通貨ではハードフォークという一般のユーザーに
は理解しにくい運用ポリシーによる“再編”という名の下で
のイザコザが生じたり、そもそも通貨としては決済手段とし
ての利用範囲が狭かったり、幸いにも取引によって利益が得
られたとしても、納税(確定申告)の手続きが難しかったり
といういくつものデメリットが生じたことから、一時期の仮
想通貨の投機ブームも一気に冷え込んでいるのが実情だ。
一方で、仮想通貨はブロックチェーンのユースケースのひ
とつにしかすぎず、それ以外でもさまざまな応用のアイデア
が研究されていたり、社会実験も行われたりしている。その
なかでこれから注目できるのが「トークンエコノミー」とい
う考え方である。
去る1月29日、アルトデザイン株式会社は「未来のカタ
チをデザインする」と題するトークンエコノミーに関するミ
ートアップを東京で開催した。当日、プレゼンテーションに
登壇したのは、株式会社博報堂が発足した「博報堂ブロック
チェーン・イニシアティブ」の伊藤佑介氏、株式会社IND
ETAIL代表取締役の坪井大輔氏、そして、ShоT氏と
いう3名で、それぞれの観点から、トークンエコノミーへの
取り組みについて熱く語った。ここでは、その概要を紹介す
る。 https://bit.ly/3Cm6lMf
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講演する坪井大輔氏