2021年10月26日

●「ビットコインはどうはじまったか」(第5600号)

 坪井大輔氏によるブロックチェーンの4つの技術を三たび再現
します。
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       @暗号化技術
       Aコンセンサスアルゴリズム
     → Bピア・トウ・ピア(P2P)
     → CDLT(分散型台帳技術)
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 第3の技術は「ピア・トウ・ピア(P2P)」です。
 これについては、ウィニーに関して相当詳しく述べていますの
で、要点だけを述べることにします。P2Pに関しては、ナカモ
ト・サトシ氏は、あるもの、すなわち、ウイニーをそのまま利用
したものと思われます。通貨の場合、中央サーバーが障害を起こ
したら、大変な混乱が起きてしまうからです。坪井大輔氏自身は
P2P技術について次のように述べています。
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 ウィニーは扱ったファイルには問題がありましたが、テクノロ
ジー的には素晴らしかったです。誰かが取り仕切って音楽配信を
していたわけではなく、個人間でやっていた。中央集権ではない
システムです。ビットコインのようなものを15年間ぐらい前に
やっていたわけです。このときのP2P技術がブロックチェーン
に使われています。     ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
   『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
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 ブロックチェーンの場合、取引データが発生するごとにP2P
につながっているすべての参加者のPCに同じデータが流れ、そ
れぞれが確認されて取引が完了します。これらの取引データがひ
とつのブロックとして完成し、承認されたというデータもP2P
に流れます。
 第4の技術は「DLT(分散型台帳技術)」です。
 DLTというのは、次の英語の略です。
─────────────────────────────
       DLT/分散型台帳技術
       Distributes Ledger Technology
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 このDLTの利点は、データがP2Pネットワークに参加する
多くのPCに分散されていることです。1つや2つが改ざんされ
ても圧倒的多数のPCには、改ざんされていないデータが残って
いることです。坪井大輔氏は、DLTの最大の利点などについて
次のように述べています。
─────────────────────────────
 DLTの最大の利点は、データ改ざんへの強さです。万が一、
どこかでデータ改ざんが起きたとしても、ほかのほとんどでは改
ざんされていない。たとえば私が悪人だったとして、善人のパソ
コンに侵入して、分散型台帳を書き換えたとする。でも残りの圧
倒的多数の台帳は改ざんされていないから、比較すればあれ?お
かしいぞ?となる。そうすると全部の参加者が一斉に台帳を書き
換えない限り、改ざんは事実上不可能になる。だから、ブロック
チェーンは、改ぎんできないことを担保されているといわれるわ
けです。    ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊の前掲書より
─────────────────────────────
 現在、EJでは、そもそもブロックチェーンとは何なのかにつ
いて、根源的なものを解明しようとしています。話が、ブロック
チェーンになったり、ビットコインになったりしますが、ブロッ
クチェーンの最大の運用例はビッコインしかないので、それは仕
方がないのです。
 そもそもナカモト・サトシなる人物によるビットコインの理論
は、2008年10月31日に、あるメーリングリストに発信さ
れています。そのメールの内容は、今でも見ることができますし
次のPDFで入手できます。
─────────────────────────────
      ◎ビットコイン論文
       https://bitcoin.org/bitcoin.pdf
─────────────────────────────
 このビットコインのはじまりの模様について、25日のEJで
ご紹介した高木奏氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ナカモト氏は誰なのか?いまだにゴシップ筋の強い関心を集め
ているが、このメーリングリストでは誰もそれを詮索した気配は
ない。彼らの関心はナカモト論文の中身にしかなかった。
 メーリングリストの参加者がナカモト氏に疑問を投げかけ、ナ
カモト氏が答えるというやりとりが14通ほど交わされているが
2008年11月17日を最後にナカモト氏からのメールは途絶
える。最後のメールにはこう書かれていた。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「ビットコインのソースコードは、もうすぐできる。メイン
 ファイルが必要なら送るよ。フルバージョンのリリースはも
 うすぐだ」。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                 ──高木奏著/扶桑社刊
    『ヤバイお金/ビットコインから始まる真のIT革命』
─────────────────────────────
 2009年の年が明けた2009年1月8日のことです。ナカ
モト氏は「Bitcoin v0.1 released」 という新たなメールを発信
します。ビットコインがリリースされたことを知らせるメールで
す。そして、このメールが発信される5日前に「最初のビットコ
イン」が生まれ、1月9日からは次々とビットコインの採掘、す
なわち、マイニングが行われるようになったことがわかります。
ビットコインは、このようにして、始まったのです。
              ─[デジタル社会論V/054]

≪画像および関連情報≫
 ●ビットコインキャッシュとは?誕生の歴史や時価総額、
  送金時間などを解説
  ───────────────────────────
   ビットコインキャッシュはその名称からも分かるように、
  ビットコインと切っても切れない深い関係がある。ビットコ
  インキャッシュは、ビットコインのハードフォークによって
  誕生した仮想通貨だ。ハードフォークとは「通貨分裂」や、
  「通貨分既」などと呼ばれるもので、簡単に言えば、もとも
  と存在した仮想通貨(この場合はビットコイン)がルールを
  変えた新仕様の仮想通貨(この場合は、ビットコインキャッ
  シュ)に分かれることを指す。
   ビットコインがスタートしたのは2009年1月で、ビッ
  トコインキャッシュがハードフォークによって誕生したのは
  2017年8月のことだ。ビットコインの8年半後に誕生し
  た新しい仮想通貨ということになる。
   ビットコインキャッシュのハードフォークが起こったのは
  仮想通貨の取引が世界的に増加したことがきっかけだ。送金
  ・取引完了にかかる時間が、長くなってきたことで、ハード
  フォークすることになった。
   処理速度を改善する方法をめぐり、ビットコイン関係者の
  間で議論は分かれた。具体的には、既存ソフトウェアを改良
  することで解決を目指そうとする派閥と、ビットコインの基
  幹技術「ブロックチェーン技術」における「ブロック」の容
  量を大きくすることを目指す派閥との間で対立が起こったの
  だ。前者はビットコインの開発者グループ、後者は仮想通貨
  取引の承認などによって報酬を得ているマイナー(採掘者)
  が中心だった。         https://bit.ly/2XI6mMv
  ───────────────────────────
ビットコインとマイニング.jpg
ビットコインとマイニング
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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