2021年10月25日

●「マイニングとは何をしているのか」(第5599号)

 坪井大輔氏によるブロックチェーンの4つの技術を再現して、
ブロックチェーンの謎に迫っていきます。
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       @暗号化技術
     → Aコンセンサスアルゴリズム
       Bピア・トウ・ピア(P2P)
       CDLT(分散型台帳技術)
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 Bの「コンセンサスアルゴリズム」の続きです。
 坪井大輔氏は、この「コンセンサスアルゴリズム」に対してこ
ういっています。
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 まず、1件のトランザクションに対して、セキュリティ対策を
とる。その1件1件をまとめたブロックについてもセキュリティ
対策をとり、なおかつ、ブロックにまとめる際にそのこと自体に
対してみんな大丈夫だよねという確認をとる。セキュリティ対策
が何層にもなっているのがブロックチェーンの特徴です。
             ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
   『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
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 ビットコインの仕組みで、一番違和感を感ずる部分が、この合
意形成、マイニングです。あるブロックを決めるとき、ビットコ
インのシステムは、参加しているコンピュータに対して、ブロッ
クの計算検証を呼びかけます。参加するかどうかは、コンピュー
タの自由ですが、多くのコンピュータがこの計算検証に参加しま
す。そして、一番早く正解を出したコンピュータには、予め決め
られているビットコインが与えられる仕組みになっています。こ
れがPоW(プルーフ・オブ・ワーク)です。
 これは私の考え方ですが、多くの書籍は専門的なことを伏せよ
うとしているので、かえってわからなくなるのです。どのような
計算なのか。これについて、実際にマイナーがやっていることに
踏み込んで説明しているのが、ビッコインの研究家の高木奏氏で
す。高木氏は、『ヤバイお金/ビットコインから始まる真のIT
革命』(扶桑社刊)の著者です。
 一体どんな計算をするのか──高木氏は、これにズバリ答えて
います。例えば、次のような計算を要求するのです。
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   ハッシュ値がゼロ11個ではじまるナンスを求めよ
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 そのうえで、プルーフ・オブ・ワーク」について、次のように
説明しています。
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 「採掘」(マイニング)は、ビットコインの取引データをブロ
ックチエ−ンに書き込む”手伝い”をするプロセスではあるが、
その実態は「ひたすら決まったハッシュ値が導き出されるように
任意の変数を関数に当てはめる」だけの不毛な計算処理だ。が、
この無駄な労力こそが、「プルーフ・オブ・ワーク」の源泉であ
り、不正の抑止力になっている。   ──高木奏著/扶桑社刊
    『ヤバイお金/ビットコインから始まる真のIT革命』
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 ハッシュ値がゼロ11個ではじまるナンスとは何か。ナンスの
説明をすると難しくなるので、ナンスそのものをお見せします。
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 ◎2010年12月某日の計算の解答
 000000000003ba27aa200b1cecaad478d2bOO432346c3f
 1f3986da1afd33e506
 ◎2014年 5月某日の計算の解答
 00000000000000005fd146bfd8ccf2bO8cb13eecca39ce49f
 3d1c23d6917e7e5
─────────────────────────────
 よく見ると、2010年12月某日の冒頭のゼロは11個、4
年後の2014年5月某日の場合は16個になっています。0は
増える傾向があり、これについて、高木奏氏は、次のように解説
しています。
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 ちなみに、ハッシュ値の計算に要する時間は「約10分」と決
められている。採掘に使用されるすべてのCPUの処理能力が高
まっても、必ず10分程度かかる。頭に「0」が17個並ぶハッ
シュ値が平均7分で導き出されてしまうようになったら、次から
は自動的に難易度を上げて「0」が18個並ぶハッシュ値の計算
に切り替わるだけ。こうして採掘に要する時間を一定に保つこと
で、ビットコインの発行量の増加スピードを一定に保ち、同時に
改ざんを防止しているのだ。     ──高木奏著/扶桑社刊
    『ヤバイお金/ビットコインから始まる真のIT革命』
─────────────────────────────
 それでは、マイナーたちが、それほどまでにコンピュータの性
能を向上させ、大量の電気代を使ってまで、マイニングに精を上
げるのかというと、1位になると、予め決められている量のビッ
トコインを褒章としてもらえるからです。5年ごとにビットコイ
ンの額が減る仕組みになっており、現時点では、2040年まで
は、次の額のビットコインが支払われることになっています。
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      2020年 ・・  6・25BTC
      2040年 ・・ 3・725BTC
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 現時点でマイニングに勝利すると、現在の市場価格は1ビット
コイン、約700万円であり、4000万円以上のビットコイン
をもらえることになり、ビジネスとしても成立するといえますが
2040年以降になると、もらえる額は半額になってしまうこと
になります。        ─[デジタル社会論V/053]

≪画像および関連情報≫
 ●ビットコインの採掘(マイニング)とは
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   ビットコインは、一定期間ごとに、すべての取引記録を取
  引台帳に追記します。その追記の処理には、ネットワーク上
  に分散されて保存されている取引台帳のデータと、追記の対
  象期間に発生したすべての取引のデータの整合性を取りなが
  ら正確に記録することが求められます。
   その整合性を取る作業はコンピューターによる計算で実現
  できるのですが、膨大な計算量が必要となります。分散され
  て保存されている1つの大きな取引台帳のデータも、追記対
  象の取引のデータも、すべてを正確に検証してから追記しな
  ければならないのです。
   そこで、ビットコインでは、この追記作業に有志のコンピ
  ューターリソースを借りています。余っているコンピュータ
  ーの計算能力を借りることによって、膨大な計算を行い、み
  んなで共有する1つの大きな取引台帳に追記を行っているの
  です。
   この追記作業の手伝いをしてくれた人、追記作業のために
  膨大な計算処理をし、結果として追記処理を成功させた人に
  は、その見返りとしてビットコインが支払われます。つまり
  追記作業を手伝ってビットコイン全体が健全に運用されるよ
  うにがんばってくれたことへの報酬として、ビットコインが
  支払われるのです。この報酬は、新たに発行されたビットコ
  インによって支払われます。つまり、通貨の新規発行がこの
  瞬間に起こるのです。      https://bit.ly/3GfSw5n
  ───────────────────────────
ビットコイン/マイニング.jpg
ビットコイン/マイニング
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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