2021年10月11日

●「デジタル庁/着手前にトップ交代」(第5589号)

 岸田政権が誕生して、あの接待漬けのデジタル相、平井卓也氏
は、デジタル相を外れることになり、新しく牧島かれん衆院議員
が平井氏の後を継いで、デジタル相に着任しています。しかも、
デジタルだけではなく、「デジタル/規制改革/行革」の3つを
担当するのです。
 ところで牧島かれん氏とはどのような人物なのでしょうか。
 牧島かれん氏は、3人大臣に採用されている「魔の三回生」の
一人で、河野太郎氏の父、河野洋平氏の「神奈川17区」を引き
継いで2012年に初当選しています。牧島氏の父の牧島功氏は
神奈川県議で、神奈川県連の重鎮です。
 したがって、牧島氏は、れっきとした河野派であり、今回の総
裁選では河野太郎総裁実現のために熱心に汗をかいています。そ
れでいて大臣になれた稀有の存在です。それはそれとして、牧島
氏のデジタルの経験はどうなのでしょうか。
 実は、牧島氏はデジタル政策に通じた若手議員として知られて
いたのです。平井前デジタル相が主宰する自民党デジタル社会推
進特別委員会の事務局長として、2020年6月11日にはDX
推進などを盛り込んだ政策提言も取りまとめています。なかなか
のデジタル通のようです。当然デジタル関連の業者は、将来デジ
タル業務に関わる人物をリサーチしています。
 実は、この牧島かれん大臣もNTTから接待を受けているので
す。『週刊文春』/10月14日号は、その事実をスッパ抜いて
います。もちろん大臣になる前であり、それが問題になるという
わけではありませんが。まして、平井氏と一緒にやっていたので
あれば、業者の目にとまらないはずはありません。
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 実はNTTの内部資料によれば、牧島氏も、19年6月13日
と昨年6月9日の2回、NTTの秘書室長からKNOXで接待を
受けている。牧島氏が苦手の食材も明記され、料金は1人5万円
「最も高いコース」(NTT関係者)だという。
 折しも、牧島氏は党デジタル社会推進特別委員会の事務局長と
して、2回目の接待直後に当たる昨年6月11日、DX推進など
を盛り込んだ政策提言を取りまとめている。デジタル関係に精通
した若手議員として、業界で知られていたのだ。
 牧島氏の回答。「会食を伴う意見交換を行ったのは事実です。
(飲食費を)支払った記憶はございません。政治家として様々な
方と意見交換を行うことは重要であり、問題ないといと考えてい
ます」         ──『週刊文春』/10月14号より
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 それにしても平井氏とNTTと仲は親密であるようです。しか
し、NECは嫌いであるようです。KNOX(ノックス)という
のは、NTTグループが経営する接待用の会員制レストラン(東
京・港区)のことです。
 ここで、NTT、NECの2社の名前を出しましたが、これら
は前にも述べたように、「エスアイヤー/SIer」と呼ばれる
業者です。SIerは、コンピュータの仕組みがメインフレーム
からオープンシステムに移行したことによって登場した業者のこ
とです。このSIerについて、野口悠紀雄教授は次のように述
べています。
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 メインフレームの場合には、1社のみのハードウエアおよびソ
フトウエアで構成されることが多かった。それに対してオープン
システムでは、マルチベンダーとなる場合が多い。「ITベンダ
ー」とは、企業が必要とする情報機器やソフトウエア、システム
サービスなどを販売する企業のことだ。
 このようなオープンシステムを組織化する役割を担ったのが、
SIer(システムインテグレイションを行う業者)である。さ
まざまなべンダーのソフトウエアやハードウエアを統合する。
 有力なSIerとして、富士通、日立製作所、NTTデータ、
NTTコミュニケーションズ、NEC、IBM、日鉄ソリューシ
ョンズなどがある。
 なお、ITベンダー、SIベンダー、SIerなどという名称
の違いについて、明確な定義はない。経済産業省の「DXレポー
ト」は、「ベンダー企業」という名称を用いている。
                     ──野口悠紀雄著
      『良いデジタル化/悪いデジタル化/生産性を上げ
       プライバシーを守る改革を』/日本経済新聞出版
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 デジタル庁は、いくつもの巨大な国家プロジェクトが仕事とし
て出てくる可能性のある組織です。したがって、SIerとして
は、そのトップや幹部はもとより、将来そういう仕事に就くと思
われる若手についても、あの手この手で接近を図り、接待しよう
とします。ITに詳しく、自民党デジタル社会推進特別委員会の
事務局長を務める牧島議員などが早くからSIerの目にとまっ
ていたのは当然のことです。
 問題は、日本の場合、組織とSIerの関係が固定的になって
しまうことです。なぜそうなるかというと、組織のトップがIT
の知識が乏しく、契約になると、そのSIerに丸投げしてしま
うことが多いのです。みずほの「MINORI」には、SIer
として、日本IBM、富士通、日立、NTTデータなどが加わり
それでいて、どの社も、MINORIの真の全容を把握できてい
ないという驚くべきものです。本当のことを知る者は誰もいない
というブラックホールのような恐ろしさです。したがって、何が
起きても不思議はないのです。
 税金が使われる国会議員の場合、業者との食事会、宴会、懇談
会などは、飲食が伴う場合、ワリカンでもやめるべきです。SI
erと情報交換したいのであれば、あくまで会議で行うべきであ
ると考えます。どうしても飲食したいのであれば、それは役所の
費用で行うべきです。そうすれば、何も問題は起きないのです。
             ──[デジタル社会論V/043]

≪画像および関連情報≫
 ●SIerはなくなる?!
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   ネットでは良くない話が多いSIerですが、これからI
  Tエンジニアを目指す方にとっては、有力な就職先の候補で
  す。「将来、SIerが無くなる」と言われれば、気になる
  のは当然でしょう。
   しかし、SIerは、多くの企業にとって大事なパートナ
  ーです。そう簡単には無くなりませんが、今のままのSIe
  rでは、将来性はないかも、、、
   そこで今回は、将来性のあるSIerとは、どのようなS
  Ierなのか、ITエンジニアを目指す方に、SIerの将
  来性について解説します。
   最近のネットでは、SIerに関する良くない話題が多く
  取り上げられています。そのような記事を目にして、SIe
  rの将来性に疑問を持たれ方が多いのでは、、?
   しかし、SIerは、企業の情報システムを支える重要な
  必要な存在です。また、SIerが持っている情報システム
  開発する知識やスキルは、簡単には代えられません。
   まずは、このようなSIerの概要について解説します。
  SIerとは、
   システムインテグレーターを意味する「SI」に「〜する
  人」という接尾辞「er」を付けた和製英語。SIerは、
  「エスアイヤー」と読みます。SIerとは、企業や官庁な
  どで使われている情報システムの企画、構築、運用を請け負
  うIT企業を指す言葉。日本では、情報システムを運用して
  いる会社はたくさんありますが、自社で企画や構築をできる
  会社は多くありません。ほとんどの会社が、専門のIT企業
  であるSIerに発注しています。
                  https://bit.ly/3v972XD
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牧島かれんデジタル担当相.jpg
牧島かれんデジタル担当相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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