りのデジタル庁の不祥事について、次のように報道しています。
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◎デジタル庁次官級の接待、平井大臣も一部同席
デジタル庁の事務方ナンバー2で事務次官級の赤石浩一デジタ
ル審議官(58)が事業者から接待を受けたとして24日、減給
10分の1(1カ月)懲戒処分を受けた問題で、接待の一部には
平井卓也デジタル相が同席したことがわかった。赤石氏は事業者
から3回にわたって計約12万円の接待を受けたとして処分を受
けた。平井氏は24日の記者会見で、赤石氏の辞職を否定。「有
能な人材であることは間違いない。引き続きデジタル審議官とし
て、職責を果たしてもらいたいと考えている」と述べた。接待の
一部には、同庁参与の向井治紀氏も同席していた。デジタル庁は
向井氏が官僚OBのため懲戒処分の対象にしないとしているが、
月給10分の2相当を自主返納する意向という。
https://bit.ly/3o5pcrr
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平井大臣をはじめ、内閣官房IT総合戦略室(デジタル庁に統
合)幹部は、デジタル庁発足前から業者(とくにNTT)から接
待を何回も受けており、EJもこの接待問題について、8月27
日〜30日で取り上げています。向井治紀参与なる人物について
は、30日のEJで写真付きで紹介しています。
発足して1か月も経たないうちに、またしても業者の接待を受
けるデジタル庁の幹部──これでは、最初からデジタル庁は特定
業者の色に染まっているように見えます。こんなことでは、日本
のデジタル化の前途は暗い。給与の返納ぐらいで済む問題ではな
いと私は思います。
デジタル庁の最初の仕事は、マイナンバーカードの普及です。
デジタル庁発足前の今年の3月、政府はマイナンバーカードを健
康保険証として利用できるよう計画を進めるといってきましたが
本当に実現するのでしょうか。スタートは、2021年(令和3
年)10月からといっていましたが、9月は今週で終わるという
のに何の音沙汰もありません。どうなったのでしょうか。
マイナンバーカードと運転免許証を一体化するという話もあり
ましたが、これはどうなったのでしょうか。こちらは、2024
年度末ということになっていますが、菅首相は、2020年12
月11日の記者会見で、2024年末に前倒しすると発表してい
ます。同日付の「インプレス・ウオッチ」は、この件を次のよう
に報道しています。
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政府は、マイナンバーカードと運転免許証の一体化の目標を前
倒しした。当初2026年中の開始としていたが、2024年度
末の一体化実現を目標とする。菅総理が2020年12月11日
「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキ
ンググループ」において、「マイナンバーカードを持つメリット
を高めるために、運転免許証とマイナンバーカードの一体化は、
できるだけ前倒し、令和6年度末(2024年度末)までに実現す
る」と表明した。マイナンバーカードと運転免許証の一体化によ
り、住所変更時に市区町村窓口でマイナンバーカードの住所を変
更すれば、警察署への届け出が不要となる。また、郵送で行なわ
れてきた県外対応の迅速化も目指す。 https://bit.ly/3i1LgQ0
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しかし、運転免許証をマイナンバーカードと一体化するメリッ
トはどこにあるのでしょうか。まして運転免許証は、高齢者の更
新に当たっては、認知症テストがあったり、実技テストもあるの
で、複雑になっています。
高齢者の運転免許証については、9月6日のEJで書いたよう
に、デジタルではありませんが、とても合理的に改善されていま
す。公安委員会からの指示にしたがっていれば、すべては完了す
るのです。黄色のはがき、青色のはがき、赤色のはがきの3つが
あって、はがきが来たら指示にしたがって指定の場所に行ければ
よいのです。私の場合は、既に黄色と青色のはがきの指示はクリ
アし、赤色のハガキを待っています。赤色のはがきが来たら、近
くの警察署に行けば、目の検査と写真撮影があり、その日に更新
免許証を受け取ることができます。マイナンバーカードなんかと
一緒にされたら、迷惑そのものです。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化について考えます。
問題なのは、当然といえば当然ですが、これによって紙の健康保
険証を廃止するというのです。健康保険証はないと困るものであ
り、これをやられると、嫌でもマイナンバーカードを申請しなけ
ればならなくなります。これについて、野口悠紀雄教授は次のよ
うに反対しています。
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保険証の発行停止ということになると、マイナンパーカードの
電子証明なしでは、病院で診療を受けられなくなる。これは面倒
なことだ。健康保険証は自動的に送ってくれるが、カードは役所
まで取りに行かなければならない。
健康保険証を頻繁に使っている人(病気にかかっている人、身
体障碍者、高齢者など)は自分では取りに行けない場合も多い。
代理人でも可能な場合があるが、それでも役所に出頭しなければ
ならないことに変わりはない。健康保険証とマイナンパーカード
一体化は、健康保険証に頼らざるを得ない人に不合理な負担を強
いることになる。保険証を停止するのは、それによって地方公共
団体の事務負担が減るからだという。役所の負担が減るのはよい
ことだ。しかしその負担が国民に転嫁されるのでは、やりきれな
い。 ──野口悠紀雄著
『良いデジタル化/悪いデジタル化/生産性を上げ
プライバシーを守る改革を』/日本経済新聞出版
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──[デジタル社会論V/033]
≪画像および関連情報≫
●マイナンバーカードと保険証が合体
/高齢者にとっての利便性は?
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菅政権が発足して数カ月が経ちました。政権による新型コ
ロナウイルス関連の政策が連日注目されるのは当然のことな
がら、この他にも目玉として位置づけられている政策があり
ます。それは、社会全体のデジタル化推進です。
その一環として、2022年度以内にすべての国民が取得
することを目指し、政府はマイナンバーカードの普及促進を
強化しようとしています。このための施策として計画されて
いるのが、健康保険証や運転免許証とマイナンバーカードの
一本化です。
厚生労働省では、マイナンバーカードが健康保険証として
の使用を2021年3月にスタートさせ、2026年末まで
には運転免許証と一本化することを発表していますが、これ
がデジタル化とどう関係するのかピンとこない人もいるかも
しれません。また、マイナンバーカードと健康保険証がひと
つになることで、高齢者にとっても何が便利になるのでしょ
うか?さらに、マイナンバーが漏洩しないのかも気になりま
す。マイナンバーカードと健康保険証の一本化によって、何
がどう変わるのか見ていきましょう。マイナンバーカードと
保険証の一本化は、生活のいろんな場面における手続きのデ
ジタル化の推進につながります。 https://bit.ly/3o3PDhp
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マイナカードと免許証合体の前倒しを発表する菅首相