の経営トップが参考人招致され、集中審議が行われたことを覚え
ている人は多いと思います。メインは東北新社の外資規則違反問
題です。この問題を総務省が意図的に見逃したのではないかとの
疑惑が膨らんだからです。この事案には、東北新社に菅首相の長
男が勤務しており、接待の関係者であったことから、大きな話題
になったのです。この接待問題がNTTによる平井卓也デジタル
担当相に対する接待問題に飛び火します。これに関し2021年
6月25日付の朝日新聞デジタルは次のように報道しています。
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平井卓也デジタル改革担当相は25日の閣議会見で、NTT幹
部と8回の会食をしたと明らかにした。このうち2回は昨年9月
の大臣就任後だったが、会費は割り勘で支払ったとし、「大臣規
範にのっとった対応をしており、国民から疑念を招くようなこと
をしていない」と主張した。
24日発売の週刊文春は、平井氏がNTT会長の篠原弘道氏や
社長の澤田純氏から高額な接待を受けていたと報じた。平井氏は
会見で、会食した事実は事実を認めたうえで、「私と出席した事
務方の分は(費用を)きっちり払っている」と述べた。会食の理
由は「最先端の技術と今後のデジタル改革の方向性についての意
見交換」と説明した。双方の参加者名は明らかにしなかった。
国家公務員倫理規程は、利害関係者からの接待を禁じ、割り勘
でも1回1万円超の会食は事前に届ける必要がある。文春が同席
した可能性があると報じた官僚について、内閣官房IT総合戦略
室は「担当者が不在」として、取材に応じていない。
──2021年6月25日付、朝日新聞デジタル
https://bit.ly/3mEzVZv
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先週のEJでも述べたように、五輪アプリの構築についてのN
ECとNTTコミュニケーションのいわゆる”取り分”は、NE
Cが4億9500億円であるのに対して、NTTコミュニケーシ
ョンは45億7600億円と大きな差があります。
「デジタル新潮」によると、内閣官房IT総合戦略室の関係者
の言として、次のように伝えています。
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むしろNTTコム(NTTコミュニケーション)の方が問題で
す。再委託先に仕事の大半を投げていて、その金額は13億円あ
まり。そのほか、プロジェクトの管理だけで、別途10億円の予
算をつけています。「管理」とは名ばかりで、幹部連中が集まっ
て、進行状況を会議で話しているだけなのですが・・・。それで
満足したのか、NTTコムの方が減額要求にはすぐに応じたと聞
いています。 ──2021年6月15日付「デイリー新潮」
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平井卓也デジタル改革相がNECに怒りをぶつけている理由と
思われるのは、厚労省がNECに発注したワクチン接種円滑化シ
ステム(V−SYS)の不具合にあるのではないかといわれてい
ます。平井デジタル改革相がNECへ「恫喝発言」を行ったのは
今年の4月上旬のことであり、ワクチン配付がV−SYSのトラ
ブルで停止した時期とほぼ一致しているからです。ちなみにこの
システムは随意契約で20億5876億円です。
ところで、平井デジタル改革担当相がNTTに接待を受けたこ
とについて、「私と出席した事務方の分は、(費用を)きっちり
払っている」といっていますが、ここで平井氏が、「事務方」と
いっている人物について情報があります。これは、「週刊文春」
が入手したNTTの内部資料によって判明したものです。
それは、内閣官房IT総合戦略室の向井治紀室長代理です。な
ぜ、この情報が重要なのは、2020年10月から平井大臣と一
緒に3か月連続で接待を受けているからです。2020年10月
といえば、菅内閣発足直後です。既にこのとき、菅首相はデジタ
ル庁の創設を決め、平井デジタル改革担当相に準備を指示してい
ます。NTTからの接待はこの時期に行われており、そのとき平
井大臣と同行した人物は、実質的に国のデジタル政策を策定する
キーマンであるといえるからです。
向井治紀氏は、東京大学法学部卒業後、旧大蔵省に1981年
に入省し、太田充前財務次官はその2年後輩に当たります。内閣
府関係者は、向井治紀氏について、次のように述べています。
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向井氏は理財局次長などを経て、2010年から内閣官房でマ
イナンバー制度の立ち上げなどに携わってきました。霞が関では
「ミスター・マイナンバー」の異名を持つ人物です。現在は今年
9月に発足予定のデジタル庁の設置準備を担う内閣官房IT総合
戦略室の室長代理と、内閣府番号制度担当室長を兼務している。
マイナンバーはデジタル庁に一元化されることもあり、平井卓也
デジタル相は向井氏を側近として重用しています。
──2021年6月30日付、「文春オンライン」
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朝日新聞の伊藤裕香子朝日新聞社編集委員は、2020年11
月4日に開催された向井治紀氏の「デジタル庁とマイナンバー」
と題する講演について次のようにコメントしています。
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デジタル庁は「これまでと全く違う、現場第一主義の社会に実
装する謙虚な組織」とし、マイナンバーは、セキュリティー、利
便性、コスト安の3つを同時に進めると話す。使命は、コストの
かからない社会をつくること。新組織の形態や、マイナンバーカ
ードで広がるサービス内容など、具体的な制度設計への言及も、
盛りだくさんにあった。便利はリスクと裏表の関係にあり、暮ら
しに身近な話題だけに、多くの質問が寄せられた。
https://bit.ly/3kozShG
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──[デジタル社会論V/015]
≪画像および関連情報≫
●デジタル庁で、日本の「デジタルの未来」は本当に良い
方向へ変わるのか?
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さて、デジタル庁について考える前に、この6月に噴出し
た平井卓也デジタル改革担当相の醜聞について触れないわけ
にはいきません。ごく簡単にまとめさせていただきます。
まず、NEC恫喝(どうかつ)問題です。オリパラ向けに
政府が発注したアプリの事業費削減をめぐる内閣官房IT総
合戦略室の会議で、平井大臣が「NECには死んでも発注し
ない」「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられ
る」と発言し、さらに幹部職員にNECを「脅しておいて」
と求めたことを示す平井大臣の音声が流出しました。
背景としては、オリパラに向けて海外から来る120万人
が使用する予定だったアプリの開発費73億円が、海外から
の観戦客がゼロになったことで急きょ、IT事業費の削減に
ついて話し合われたもようで、恫喝があったのかどうかはう
やむやですが、結果として政府はその後38億円に費用を減
額したと発表しています。
このニュースを見ると、発注した費用を後から値切る、象
徴的に干す相手を作って他社の価格も抑えるというのがデジ
タル大臣の手法に見え、不安を感じます。続いて平井大臣と
内閣官房IT総合戦略室の幹部がNTTから何度も接待を受
けていたことが判明し、巨額の発注も行われていたことが報
道されます。さらには平井大臣が親密なITベンチャー企業
をごり押しする音声が判明し、のちに大臣規範に抵触する形
でそのITベンチャーの株を平井大臣が購入していたことま
で表に出ます。 https://bit.ly/3BdJPVN
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向井治紀氏