2021年08月16日

●「コロナは自宅療養に向いていない」(第5551号)

 緊急事態宣言が発令されているのに、新型コロナウイルスの感
染拡大に歯止めがかからない状態が続いています。13日の新規
感染者数は、2万366人で、東京都は5773人で過去最多を
更新しています。重傷者は8月14日正午現在、1521人で、
これも過去最多の更新です。まさに現在日本は、本物の「緊急事
態」に陥っています。
 コロナの問題とデジタル化の問題は密接に関係しており、今朝
はこの問題について書きます。現在、「自宅療養者」と称する入
院待機者は、計3万人を超えています。
 この時期に政府は、突然「コロナによる入院は重症者に限る」
という方針を出しています。目的は、感染者が急拡大し、軽症者
を自宅に戻し、重症者のために、ベットを空けざるを得なくなっ
たことにあります。これは、医療体制の崩壊そのものですが、こ
のことを発表するさいの菅首相や田村厚労相の話しぶりをみると
深刻ぶりはなく、平然と話しているように見えたのです。
 しかも既にそのときに入院を待機している自宅療養者が約1万
7000人(本稿執筆時の8月14日現在、約3万人)もいたの
です。これらの自宅にいる感染者は全員が軽症者ではなく、入院
が必要であるのにベットが空かないので、やむを得ず自宅にいる
患者の数です。政府はこれらの患者の存在を知っているのに入院
制限をアナウンスしたのです。
 政府の入院制限に対しては、野党はもちろんのこと、与党のな
かからも強い批判が出て、政府は修正を余儀なくされたのです。
どのように修正したかというと、中等症を次の2つに分け、中等
症Uに関しては「入院が必要」と認めたのです。
─────────────────────────────
 中等症T ・・・ 酸素の吸入は必要がない → 自宅療養
 中等症U ・・・ 酸素の吸入が必要である → 入院必要
─────────────────────────────
 しかし、その時点で自宅で入院を待機している感染者のなかに
は中等症Uの患者が多くおり、これらの人が入院できるわけでは
ないのです。現在、この入院待機者が約3万人に膨れ上がってい
ます。今回の入院基準の修正によっても、これらの待機者が減る
状況にはなく、積み上がる一方です。
 コロナ感染症は、重度の肺炎を引き起こす恐ろしい病気です。
しかも軽症から重症化するスピードが早い。しかし、多くの日本
人に肺炎は主として高齢者がなる病気のひとつとして認知されて
いますが、世界では若年者がかかりやすい病気として知られてお
り、とらえ方が異なります。
 「肺炎」の専門サイトによると、肺炎の死亡率について、次の
ように説明しています。
─────────────────────────────
 厚生労働省によると、肺炎にかかって亡くなる人の割合は、主
な死亡原因で亡くなる方全体の9・4%を占め、悪性新生物(が
ん)の28・7%、心疾患の15・2%の次に、多くなっていま
す。肺炎は世界的に見ても、死亡率の高い病気なのです。
 驚くべきことに、海外の肺炎で亡くなる年代はおもに児童や乳
幼児と若年者に多く、2015年には肺炎が5歳未満の子供の死
因理由として15%を占めています。また、世界中で見ても92
万人の子供が肺炎で死亡しているのです。
                  https://bit.ly/3xLztdy
─────────────────────────────
 政府は、自宅療養者に対して、保健所ないし医師から、電話や
LINEなどによって、病状を聞き、それによって適切に対応し
ているとしていますが、実際には保健所のマンパワーが絶対的に
不足しており、当時1万人以上もいる自宅療養者のすべてに、適
切な対応がとれるはずがないのです。
 ところで、医師が、肺炎という病気をどのようにして診断する
かご存知でしょうか。
 医師は、患者に対して息を吸ったり吐いたりさせ、その呼吸音
を聴診器で聞き取ります。続いて、パルスオキシメーターを指に
挟んで、血中の酸素濃度の数値を調べます。その数値が96%以
上あれば、肺炎ではないと診断できます。
 呼吸音の異常や、パルスオキシメーターの数値が低いなど、肺
炎が疑わしい場合は、CTを撮って、肺炎の有無を確認するので
す。CTを撮ってはじめて肺炎が確認できます。医師は「息苦し
くないですか」とよく聞きますが、息苦しさは本人は意外に気が
付かないものです。実際問題として、本人が、気づくようになっ
たときは遅いのです。
 自宅療養者に対しては、保健所からパルスオキシメーターが貸
与される決まりになっていますが、これも自宅療養者が激増して
いるので、行き届いていないようです。既に述べているように、
自宅への聞き取り連絡もほとんどできない状況です。このことか
ら医師によるオンライン診療の実施も検討されているようです。
 しかし、肺炎の場合、医師による聴診器による呼吸音の聞き取
りも、CT撮影もオンライン診療では不可能です。息苦しいかど
うかの聞き取りも本人に強い自覚症状がないので、十分ではあり
ません。やれるのは、パルスオキシメーターの数値のみです。そ
ういう意味において、肺炎は遠隔診療に最も不向きで、困難な病
気であるといえます。
 8月13日、菅首相は「酸素ステーションを作る」といってい
ますが、そのようなものがすぐに作れるのでしょうか。肺炎とい
う病気の性格がわかっていれば、十分時間があったのですから、
なぜもっと早く作ることはできなかったのでしょうか。すべてが
後手に回っています。
 もうひとつ問題なのは、野党が首相出席による国会の閉会中審
査を求めているのに、菅首相は一度も出てこないことです。これ
は怠慢といわれても仕方がないと思います。首相に聞いたらきっ
と「それは国会がお決めになることです」と答えるでしょう。
             ──[デジタル社会論V/005]

≪画像および関連情報≫
 ●菅首相、感染激増で「再選どころではない」窮地に
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   (入院制限に対する)こうした政府の迷走に、8月4日の
  閉会中審査で公明党の高木美智代氏が「撤回を含め、検討し
  直してほしい」と要求。立憲民主党の長妻昭副代表(元厚労
  相)は「人災だ」と口を極めて批判した。これを受けて立憲
  民主、共産、国民民主の主要野党3党の国対委員長は同日の
  会談で、政府に方針撤回と臨時国会の早期召集を求めること
  で一致した。菅首相や政府への批判が渦巻く中、自民党の二
  階幹事長が3日、菅首相の任期満了(9月30日)に伴う自
  民総裁選について、「再選が当たり前」と発言したことも批
  判を増幅させた。二階氏は「現職が再選される可能性が極め
  て高い。菅首相に「続投してほしい」との声が国民の間にも
  強い」と菅首相続投支持を明言した。
   二階氏はさらに、「総裁選は総裁たりうる人が手を挙げる
  そういう人が複数あった場合に選挙になる。今のところ複数
  の候補になる見通しはない」として、現状では菅首相の無投
  票再選が当然との見方を示した。
   この二階氏発言もネット上で大炎上。「二階氏はボケてい
  る」「真夏の怪談で失笑の嵐」「(菅首相と)2人でどこか
  違う国へ行って永遠にやっていれば良い」などと過激で辛辣
  なコメントがあふれた。緊急事態宣言発令以降も東京を中心
  に新規感染者は増え続け、一向にピークもみえてこない。
                  https://bit.ly/3jS2RtY
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入院基準について話す菅首相.jpg
入院基準について話す菅首相


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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