2021年07月20日

●「世界一のデジタルバンク/DBS」(第5535号)

 日本のコロナ対策の話から、金融機関のDX(デジタルトラン
スフォーメーション)の話に戻すことにします。本テーマ「デジ
タル社会論/1」で少し触れたシンガポールの銀行「DBS」の
話です。DBSには次の2つの名前があります。
─────────────────────────────
     ◎本来の名前
      The Development Bank of Singapore
     ◎現在の名前
      Digital Bank 0f Singapore
─────────────────────────────
 DBS銀行を世界的に有名にしたのは、2016年度と201
8年度の2回にわたって、金融専門雑誌『ユーロマネー』による
「ワールズ・ベスト・ディジタル・バンク」の称号を取得してい
ることです。
 このようにいわれても、DBS銀行が、なぜベストバンクなの
かピンとこないと思います。持ち株会社であるDBSグループ・
ホールディングスの2018年3月期の数字を基にして、日本の
3メガバンクと比較してみることにします。
 まず、「従業員数」「総資産」「純利益」の3つについて、比
較します。
─────────────────────────────
    ●従業員数
     三菱UFJFG ・・・・ 11・7万人
     三 井住友FG ・・・・  7・3万人
       みずほFG ・・・・  6・0万人
         DBS ・・・・  2・6万人
    ●総資産
    三菱UFJFG ・・・・ 306・9億円
     三井住友FG ・・・・ 199・0億円
      みずほFG ・・・・ 205・0億円
        DBS ・・・・  42・5億円
    ●純利益
     三菱UFJFG ・・・・ 9896億円
      三井住友FG ・・・・ 7343億円
       みずほFG ・・・・ 5765億円
         DBS ・・・・ 3693億円
   ──『週刊ダイヤモンド』/2018年12月8日号より
─────────────────────────────
 「従業員数」については、DBSは、日本の3メガバンクに比
べると非常に少ない数です。従業員の内訳はわかりませんが、エ
ンジニア比率は非常に高いようです。DBS銀行のピユシュ・グ
プタCEOは次のように述べています。
─────────────────────────────
 私たちは従来型の銀行というよりは、金融サービスを提供する
テクノロジー企業と自らを捉えるようになっている。銀行業務を
行うスタッフの2倍のエンジニアを抱えているという事実が、私
たちの会社の性質におけるシフトを物語っているだろう。
    ──ピユシュ・グプタCEO https://bit.ly/3epCE44
─────────────────────────────
 DBSの「純利益」は、3693億円とみずほFGに迫る水準
であり、これは小ぶりの従業員と資産を効率よく使って稼いでい
ることをあらわしています。さらに、「ROE」と「時価総額」
について、比較すると、次のようになります。
─────────────────────────────
    ●ROE
         DBS ・・・・    9・7%
      三井住友FG ・・・・    8・8%
       みずほFG ・・・・    7・7%
     三菱UFJFG ・・・・    7・5%
    ●時価総額
     三菱UFJFG ・・・・   8・8兆円
      三井住友FG ・・・・   5・8兆円
         DBS ・・・・   4・8兆円
       みずほFG ・・・・   4・8兆円
   ──『週刊ダイヤモンド』/2018年12月8日号より
─────────────────────────────
 これによると、驚くなかれ、ROEではDBSは、9・7%と
日本3メガバンクを押さえてトップなのです。しかも、時価総額
では、約4・8兆円とみずほFGに匹敵するのです。
 ところで「ROE」とは何でしょうか。ROEは、次の言葉の
省略したものです。
─────────────────────────────
    ROE=自己資本利益率(株主資本利益率)
                Return on Equity
─────────────────────────────
 ROEは、その企業が独自に持つ資本で、どれだけ効率的に儲
けを出しているかを示す指標です。例えば、総資産が100億円
で当期純利益が1億円というA社とB社があったとします。しか
し、A社は自己資本は10億円、B社は50億円だったとした場
合、A社の方が、少ない自己資本でB社と同等の利益を出してい
るとして評価が高くなります。つまり、自己資本を有効に活用で
きているとみなされるのです。
 時価総額というのは、ある上場企業の株価に発行済株式数を掛
けたものであり、企業価値を評価する際の指標です。時価総額が
大きいということは、業績だけでなく、その企業の将来の成長期
待が大きいことを意味します。DBSは、その時価総額において
みずほFGと4・8兆円で並んでおり、将来の成長期待の大きい
銀行であるということができます。つまり、DBSは市場評価が
それだけ高いことを意味しているのです。
             ──[デジタル社会論U/062]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜDBSは世界一の「デジタル銀行」に選ばれたのか?
  ───────────────────────────
   銀行のデジタル化が進むと顧客が銀行に来なくなるどころ
  か、ビジネスの表層から銀行はなくなってしまいます。なぜ
  なら銀行が行なう金融ビジネスはデータのやり取りで完結で
  きてしまうからです。融資をする場合は銀行が持つ金銭残高
  のデータから貸す分だけを借り手の口座に移動すればよく、
  送金をする場合は、送金元から送金先の口座に送金額のデー
  タを送付すればよくなります。そうなると銀行に行く必要が
  出てくるのは実物の現金が必要な時だけになりますが、キャ
  ッシュレスが進めばそれすら不要になってしまいます。
   しかし、支店に直接足を運ぶ顧客よりデジタル化した環境
  で取引を行なう顧客のほうが利益をもたらすことにDBSは
  気づきました。また「デジタル」を実際の店舗とは異なる窓
  口と捉えるのではなく、店舗の窓口そのものをデジタル化し
  ていくという考え方でデジタル化を推進しました。
   DBSではこれを「破壊」と表現しつつ、顧客が銀行の店
  舗に来なくなりビジネスの表面からDBSが消えてしまうこ
  とを恐れずに、自己破壊を推し進めることにしました。ちょ
  うど日本のメガバンクがインターネット専業銀行に転換する
  ようなイメージです。      https://bit.ly/3rgODWK
  ───────────────────────────
DBS銀行/2.jpg
DBS銀行/2
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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