ことです。全国の銀行やコンビニエンスストアと提携し、スター
トさせたのです。ここから同社のLINEペイを含むフィンテッ
ク事業がはじまったのです。
2018年1月31日、LINEの出澤剛社長は、2017年
度の通期決算説明会で次のように述べています。
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今年は、フィンテックとAI領域へ集中投資する。仮想通貨事
業は、セキュリティを第一に考える。 ──LINE出澤剛社長
https://bit.ly/3qpP5Sa
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この時点でLINEペイの決済高は、4500億円を超えてい
ます。LINEでは、本格的なビジネスの進出に備えて、2つの
アカウントを持てるようにしています。当初は、家族や親しい友
人・同僚とのクローズドなコミュニケーション用途のアカウント
だけだったのですが、これに加えて、法人・個人問わず、あらゆ
るユーザーがコミュニケーション・ビジネス用途で活用できる公
開型アカウント「LINE@」を持つことができるようにしたの
です。なお、2019年4月から、このアカウントを「LINE
公式アカウント」と呼ぶようになっています。
これにより、例えば、店舗・施設・ブランド・メディア・EC
事業などの情報発信や、顧客・取引先との連絡、サービス利用予
約などのビジネスシーンでの利用、フリーランスで活動している
デザイナー・アーティスト・読者モデルなどにおけるファンとの
コミュニケーションなど、さまざまな用途でLINEを活用でき
るようになります。
AIに関してはどうでしょうか。LINEは、2019年12
月23日、ヤフー!ジャパンと経営統合に関する最終合意を締結
しヤフーと共に「AIカンパニーを目指す」と宣言しています。
その具体的な産物として、次の2つのスマートスピーカー(AI
スピーカー)がリリースされています。
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1.クローバー・ウェーブ
2.クローバー・フレンズ
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これら2つのスマートスピーカーでは、「クローバー・ウェー
ブ、以下ウェーブ」の方が「クローバー・フレンズ、以下フレン
ズ」より高級品です。そもそもウェーブとフレンズでは、スピー
カーの質も違いますし、ウェーブでは、標準で赤外線リモコンの
機能が付いており、「電気をつけて」とか、「テレビをつけて」
など、赤外線で家電操作ができます。グーグルやアマゾンのAI
スピーカーで音声によって家電を動かすには、他にいくつか購入
する必要がありますが、ウェーブでは、アプリの設定だけでそれ
をすることができるのです。ウェーブでは赤外線リモコンを使っ
てそれを可能にしています。
このLINEのスマートスピーカーについて、田中道昭氏は次
のように述べています。
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アマゾンの「アレクサ」、グーグルの「グーグルホーム」と同
様のスマートスピーカーを手がける日本企業は、LINEだけで
す。サードパーティの企業や、個人が利用できるソフトウェア開
発キットを公開したことで、クローバーで利用できる機能(スキ
ル)は120以上に増加しています。スマホ上のコミュニケーシ
ョンアプリとして成長してきたLINEですが、AIアシスタン
トを「スマホの次」のプラットフォームとして捉えていることは
間違いありません。 ──田中道昭著
『アマゾン銀行が誕生する日/2025年の
次世代金融シナリオ』/日経BP
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確かに、AIアシスタント(音声アシスタント)を手掛ける日
本企業は多いですが、スマートスピーカーを作っている日本企業
はLINEだけです。LINEの「クローバー」以外では、次の
3つがあります。
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@「しゃべってコンシェル」/ NTTドコモ
A「ヤフー!音声アシスト」/ヤフー!ジャパン
B 「エモパー」/ シャープ
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LINEは、クロバーを開発したことによって、2017年に
トヨタ自動車やファミリーマートと提携しています。とくにトヨ
タとの提携には、LINEによってもトヨタによってもメリット
あります。2017年6月15日付、日本経済新聞は次のように
報道しています。
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LINEは15日、独自開発している人工知能(AI)でトヨ
タ自動車、ファミリーマートと提携すると発表した。コネクテッ
ドカー(つながるクルマ)や次世代のコンビニエンスストアの開
発で協力する。AIは、米グーグルや米アップルなど世界のIT
(情報技術)の巨人が今最も力を入れる分野のひとつ。日本を代
表する大企業との協業はLINEが巨人たちと戦う有力な武器に
なるのか。
3時間以上に及んだLINEの戦略説明会。「普通ならこれで
終わりですが、今日はまだ続きがあります」。LINEで事業戦
略やマーケティングを統括する舛田淳取締役がこう紹介したのが
トヨタとファミマとの提携だった。トヨタでコネクテッドカーカ
ンパニーのプレジデントを務める友山茂樹専務とファミマの沢田
貴司社長が登壇し、LINEとの協業の狙いを語った。
https://s.nikkei.com/3jiQHvu
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──[デジタル社会論U/048]
≪画像および関連情報≫
●LINEはスマートスピーカー「1人負け」を抜け出せるか
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LINEは、2018年6月28日、千葉県舞浜において
今後の方向性を示す「LINEカンファレンス2018」を
開催した。金融やメディア、コマースの戦略が語られるなか
LINEが注力していたもののひとつが、同社のスマートス
ピーカー「Clova」だ。
昨年秋に登場したクローバーだが、国内市場ではグーグル
「グーグルホーム」とアマゾン「アマゾンエコー」の話題ば
かりになっており、どちらかといえばスマートスピーカー市
場は「2強1弱」として語られることが多い。そんななか、
LINEがどのような戦略でスマートスピーカー市場で巻き
返してくるかが注目であった。
今回の発表を見ていると、LINEがグーグルやアマゾン
とは一線を画し、独自路線でスマートスピーカー市場を戦お
うとしているのがよく分かる。たとえば、初代クローバーの
ウェーバーは味気ない単なる円錐台のデザインだったが、2
代目からは、同社のキャラクターであるブラウンとサリーを
をあしらったクローバー・フレンズを投入。さらにはドラえ
もんのデザインを施したクローバー・フレンズ・ミニを発売
済みだ。今回のカンファレンスでは新製品として「ミニオン
ズ(MINIONS)」を発売すると明らかにした。どちら
かといえば、海外のスマートスピーカーは「スピーカー」に
徹しており、無機質なデザインばかりだ。
https://bit.ly/3y2ZXbj
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クローバーフレンズ/クローバーウェーブ