2021年06月01日

●「アマゾンラストワンマイルを改革」(第5500号)

 EJは、本日発刊以来5500号に到達しました。日刊メール
マガジンとしてのEJの発刊は1998年10月15日ですので
22年8か月になります。長くEJをご愛読いただき、厚く御礼
申し上げます。これからもがんばります。
 アマゾンにとって「物流」とは、他社を大きく引き離すための
サービスであると考えています。この問題について考えていくこ
とにします。
 米国の物流の2大巨頭といえば、フェデックスとUPSがあり
ますが、日本の物流の巨人と比較すると、次のようになります。
─────────────────────────────
  1.フェデックス ・・・・        佐川急便
  2.   UPS ・・・・ ヤマトホールディングス
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 ところで、「フェデックス」については有名であり、日本でも
多くの人に知られていますが、「UPS」については、はじめて
名前を聞く人も多いと思われるので、少し説明しておくことにし
ます。UPSは、ユナイテッド・パーセル・サービスのことで、
UPSは、次の英語の頭文字です。
─────────────────────────────
      ◎UPS
       United Parcel Service, Inc. UPS
─────────────────────────────
 フェデックスは企業者向け、UPSは個人向けとイメージして
よいと思います。1990年には、当時のヤマト運輸(現ヤマト
ホールディングス)と合弁会社「ヤマト・ユーピーエス」を設立
しましたが、2004年に合弁を解消し、業務提携に変更になっ
ています。
 現在、米国では、アマゾンが、物流の2大巨頭を脅かす存在に
なっているのです。というのは、アマゾンは、EC事業のためと
いうレベルを超えて、配送業を目ざしているとしか思えない物流
網を着々と築きつつあるからです。このアマゾンの物流について
成毛眞氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 特にここ数年のアマゾンの物流の強化には、目を見張るものが
ある。商品輸送用に購入した大型トレーラーは、4000台以上
だ。日本の宅配便最大手のヤマトホールディングスの中型貨物自
動車と大型貨物自動車の合計が約3800台である。国土の広さ
の違いはあるが、アマゾンの物流への取り組みの熱意がわかるだ
ろう。4000台のトレーラーは序の口である。アマゾンは陸送
だけでなく、なんと空輸能力も備えている。
 つまり、自社で航空機を用意しているのだ。アマゾンはボーイ
ング767を貨物航空会社からリースしている。2016年8月
には、ECサイトの顧客に、商品を届けるため「アマゾンワン」
という航空機を使った輸送業務を始めた。2017年2月時点で
貨物用の航空機は16機持っている。しかも、段階的に航空機の
リースを2・5倍の40機まで増やすと発表している。
               ──成毛眞著/ダイヤモンド社
           『amazon/世界の戦略がわかる』
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 物流の世界には、たくさんの専門用語がありますが、アマゾン
が最も力を入れる物流は「ラストワンマイル」です。「ラストワ
ンマイル」というのは、もともと通信業界で使われている言葉で
あり、基地局から利用者の建物までを結ぶ区間のことを意味して
います。物流においては、消費者の最寄りの物流倉庫から建物ま
でを結ぶ文字通り最後の区間である「最後の1マイル」のことを
「ラストワンマイル」というのです。
 物流においては、このラストワンマイルが最もコストがかかる
のです。全国に配置する物流倉庫が少ないときは、多くの場所で
配送に遅れが生じます。アマゾンとしては、ネットで購入された
商品は、少しでも早く利用者に届ける必要があります。そのため
には、物流倉庫の数を増やす必要があります。これもラストワン
マイルの改革のひとつです。
 物流の世界に「フルフィルメント(fulfillment)」 という言葉
があります。直訳で「遂行する」という意味になります。これは
消費者がオンラインで商品を「注文→受取」するときに発生する
業務全般のことを指します。小売業のEC運営者は、フルフィル
メント業務(受注、集荷、梱包、配送、販売、決済、返品、在庫
管理、問い合わせ対応、顧客データ管理)をフルフィルメントセ
ンターに一括で委託することで、自社の「物流拠点」として業務
効率化に貢献できるのです。アマゾンは、日本国内に21のフル
フィルメントセンターを保有しています。
 アマゾンは、米国においてはラストワンマイルをUPSに託し
ていましたが、2011年頃から「脱UPS」を実施していると
いわれています。現在は、USPS(アメリカ合衆国郵便公社)
がその代わりを担っています。2013年時点では、アマゾンの
約7億個の米国出荷のうち、35%がUSPS、UPSは30%
とUSPSがUPSを逆転しています。
 USPSは、日本でいえば日本郵便ですが、サービスが悪く、
米国ではきわめて評判が悪いのです。アマゾンがそのUSPSを
使うようになったのは、サービスの悪い原因を突き止め、その部
分をアマゾン自身が担ったからです。
 それは、倉庫内の荷物の仕分けであり、アマゾンはその部分を
改革し、仕分けを行うようになったのです。そのためUSPSは
仕分けられた荷物を運ぶだけになり、最大の負担が減って、スム
ーズに荷物が届くようになったのです。これによって、米国では
UPSとフェデックスしかできなかった日曜や祝日配送をアマゾ
ンでは、USPSを使って実現させたのです。
 しかし、そのアマゾンも日本では、ラストワンマイルは日本の
物流に任せています。それは、日本の物流のレベルの高さにあり
ます。          ──[デジタル社会論U/028]

≪画像および関連情報≫
 ●アマゾンは「ラストワンマイル」のために、従業員の宅配起
  業を支援する
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   ネット通販の企業にとって、配送拠点から消費者の玄関先
  までの配達業務をどう運営するかは悩みの種だ。「ラストワ
  ンマイル」と呼ばれるこの区間の効率的な処理に向けては、
  かなり極端な実験が行われたこともある。
   例えばウォルマートは2年前、ネットで注文された商品を
  従業員に勤務時間外に自家用車で配達してもらう取り組みを
  試験的に始めた。これは実質的に失敗しており、世界最大の
  スーパーマーケットチェーンでもラストワンマイルを巡って
  は試行錯誤していることが浮き彫りになっている。
   そして今度はアマゾンが、この分野で起業する従業員に対
  して立ち上げ資金を提供すると申し出た。ただし条件があり
  まずはアマゾンでの仕事を辞めなければならないという。
   アマゾンは昨年6月、「デリヴァリー・サーヴィス・パー
  トナー(DSP)」という宅配分野での起業支援プログラム
  を立ち上げた。UPSやフェデックスといった大手運送会社
  への依存を減らすことを目指したものだ。今回はこのプログ
  ラムを拡大し、離職を条件に最大1万ドル(約110万円)
  と3カ月分の給与を支給すると発表したのだ。なお、アマゾ
  ンは先月、米国での「アマゾンプライム」の配送時間をこれ
  までの2日以内から24時間以内に短縮する方針を明らかに
  している。これによってラストワンマイルの重要性が増して
  いる。             https://bit.ly/3uBJAA6
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アマゾン府中FC.jpg
アマゾン府中FC
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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