2021年05月26日

●「大規模接種センター出現の大混乱」(第5496号)

 ワクチンの接種で大混乱が起きつつあります。この問題もデジ
タル社会と関係があるので、今日のEJではこの問題について考
えることにします。政府として、約3600万人の高齢者の接種
終了を7月末と決めたことにより、都道府県レベルで、それぞれ
大規模接種センターを設立する動きが加速しています。東京都で
は東京ドームも大規模接種センターとして使われるそうです。
 2021年5月24日付の朝日新聞は、この動きに関して次の
ように報道しています。
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 ◎1回目受けた高齢者まだ数%/「混乱あっても前に」
 次々と会場設置の方針を表明する各府県。背景にあるのは「焦
り」だ。高齢者への接種開始は4月12日。しかし内閣府や昨年
1月の住民基本台帳の人口をもとに朝日新聞が算出したところ、
接種を1回受けた高齢者は全国で2・6%(5月16日時点)に
とどまる。      ──2021年5月24日付、朝日新聞
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 しかし、自治体での通常の予約に加えて、大規模接種センター
での接種をはじめると、当初の自治体での登録と、大規模接種セ
ンターへの予約の二重登録者が多く出ることは避けられなくなり
ます。その理由は、自治体で接種の予約はとれたものの、接種が
8月や9月以降になった人も多いと思います。しかし、大規模接
種センターならもっと早く打てるとなると、既に予約が完了して
いても、それらの人が大規模接種センターでの予約に殺到するこ
とは火を見るよりも明らかです。
 この場合、大規模接種センターで予約がとれた場合、先にとれ
ている自治体の予約を取り消す必要がありますが、すべての人が
それをやるとは限らないし、いずれにしても自治体の接種計画に
大きな狂いが生ずることになります。
 どうして大規模接種センターに殺到するかというと、高齢者に
とっては、ワクチンが打てるかどうかが命の問題に関わってくる
からです。なぜなら、今コロナに罹患すると、入院もできず、治
療も受けられず、自宅待機(これは自宅放棄である)になってし
まう可能性が高いからです。これは政府に責任があります。
 それでは、自治体の予約はなぜ取りにくいのでしょうか。
 そもそも接種券には、予約をいつから受け付けるかが書かれて
いないのです。私はそれを知るために、事前に指定のURLにア
クセスして、受付日と時間を知ったのです。受付サイトには次の
メッセージが出ていました。
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   5月10日/午前8時30分から(24時間受付)
─────────────────────────────
 私の場合、10日の受付開始時間ジャストにネットにアクセス
したところ簡単に接続できました。最初に医療機関を指定して予
約するか、接種日を指定して予約するかの選択がありましたが、
迷わず後者を選択し、第1回接種日と第2回接種日の両方の予約
に成功し、5月21日に既に1回目の接種を完了しています。2
回目の接種日は6月11日です。
 ちなみに、PCでもスマホでも予約登録できますが、スマホの
方が、画面も小さいし、かえって難しいと思います。LINEで
の簡単なメッセージ交換ができる程度の高齢者のレベルでは、と
ても予約登録は困難です。これからのデジタル社会に備えて、ス
マホからではなく、ICTはPCからマスターすべきです。
 懸念することはまだあります。本日、5月26日時点でも、ま
だ接種券が届いていない高齢者が多くいるのです。これについて
5月24日付の日本経済新聞は次のように報道しています。
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 大都市圏では滞りが目立つ。「まだ接種券も届いていない。7
月には2回目を打ちたいけれど、大丈夫かしら」。東京都練馬区
の女性(69)は不安を口にする。同区は予約殺到の混乱を避け
るため接種券の送付を75歳以上から開始し、65〜74歳は5
月25日に発送する。荒川区は26日の発送だ。券が届いても予
約を受け付けるサイトや電話につながらないケースを相次いだ。
 菅義偉首相は4月23日、高齢者接種の7月末終了を打ち出し
多くの自治体が計画の急な変更を迫られている。
         ──2021年5月24日付、日本経済新聞
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 問題は、政府の場当たり的な接種計画の変更にあります。世界
的に見ても接種率の低い日本の現状に焦ったのか、菅首相は当初
8月末日であった高齢者への接種完了を7月末日に1か月引き上
げたのです。そこで登場したのが、東京と大阪の大規模接種セン
ターであり、それに加えて各自治体独自の接種センターの登場で
す。これらの接種センターでの予約には接種券が必要です。
 そもそもほとんどの自治体では、混乱を避けるために年齢を制
限して、計画的に接種券を送付していたのです。ところが政府に
よって接種完了期日が前倒しされ、大規模接種センターでの接種
が可能になっています。しかし、多くの高齢者は、早く接種を受
けるために大規模接種センターを予約したくても、接種券がない
という状態になったのです。これは、自治体が悪いのではなく、
政府の計画変更に原因があります。
 もっと深刻な問題があります。現在でも予約がとれない高齢者
は大勢います。政府が高齢者の接種完了を7月末にしたのは、一
般人の接種を8月からはじめたいからです。おそらくその時点に
おいても、高齢者の接種はまだ終わっていないはずです。
 高齢者に限定されていても接種予約がとれない高齢者について
は、一般人の予約が始まると、競争が激しくなり、さらに予約が
とりにくくなります。もし、政府が何も手を打たないと、それら
の高齢者は、「接種を希望しない人」として処理されてしまうこ
とになります。接種会場が増えること自体はよいことですが、政
府は、接種したくても接種できない高齢者が出ないよう配慮すべ
きです。         ──[デジタル社会論U/024]

≪画像および関連情報≫
 ●「正しく入力したのに…」/大規模接種の予約、続く混乱
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   政府が東京と大阪に設置する新型コロナウイルスワクチン
  の「自衛隊大規模接種センター」のインターネット予約をめ
  ぐり、「システムに正しく入力しても、予約ができない」と
  いった住民からの問い合わせが、都内の自治体に相次いでい
  る。防衛省はシステムに不備があったとし、5月21日中に
  改修する方針を示した。続く混乱に、自治体からは、「国は
  しっかりとしたシステムを作ってほしい」と批判の声が、上
  がっている。
   「予約システムに接種券の番号を正しく入力しているが、
  予約ができない。区の番号がおかしいのではないか」。東京
  都板橋区では、大規模接種センターの予約受け付けが始まっ
  た17日以降、区民からの苦情や問い合わせが数十件寄せら
  れた。区の担当者によると、防衛省側に照会したところ「シ
  ステム上の問題」と説明されたといい「区としてはどうしよ
  うもない」と、頭をかかえる。区民からの問い合わせには、
  「板橋区が送った番号は間違いないのでご安心ください。シ
  ステムのことは、国に聞いてもらえますか」と説明している
  という。大規模接種センター東京会場の接種対象は、東京、
  千葉、神奈川、埼玉の1都3県の在住者。予約の集中を避け
  るため、17日から東京23区の65歳以上の高齢者から先
  行してインターネット予約が始まっている。
                  https://bit.ly/3feB05T
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大規模接種センター/東京.jpg
大規模接種センター/東京


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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