2021年04月26日

●「DBS銀行とはどんな銀行なのか」(第5478号)

 DXの成功例といわれるシンガポールのDBS銀行について、
もう少し詳しく調べてみることにします。この銀行が有名になっ
たのは、金融専門情報誌『ユーロマネー』が、世界で最も優れた
デジタル銀行として、このDBS銀行を2度にわたって表彰した
からです。
─────────────────────────────
      「ワールズ・ベスト・デジタルバンク」
         2016年度/2018年度表彰
         金融専門情報誌『ユーロマネー』
─────────────────────────────
 DBS銀行の何が評価されたかというと、次の4つを指摘する
ことができます。
─────────────────────────────
1.デジタル取引を行う顧客は、店舗訪問の顧客と比べて、2倍
  の売り上げをもたらし、より多いローンと預金を保有する。
2.デジタル取引を行う顧客の獲得にかかるコストは、従来の顧
  客を獲得するコストに比べると、57%も低くなっている。
3.従来の顧客の取引からは19%のROE(自己資本利益率)
  が得られるが、デジタル取引顧客のそれは27%にのぼる。
4.デジタル取引を行う顧客は、従来の顧客と比べると、16倍
  も多く、自発的取引を行う傾向があることがわかっている。
─────────────────────────────
 DBS銀行は、次の2つのフェーズを経て、デジタルバンクに
変身を遂げたのです。
─────────────────────────────
  ◎第1フェーズ/2009年〜2014年
   デジタルバンクを構築するための基礎を固める時期
  ◎第2フェーズ/2014年以降〜
   全社的にデジタルバンクとして仕上げるための時期
─────────────────────────────
 第1フェーズにおいてDBS銀行が行ったことをまとめます。
 まず、銀行システムの持つ脆弱性を解消する目的で、データー
センターを増設し、セキュリティオペレーションセンター、モニ
タリングセンターを設立しています。
 また、エンジニアリングやテクノロジーの外部依存からの脱却
に挑み、現在では、85%の内製化が実現しています。そして、
チャンネル、プロダクト・サービス、イネーブラー(経営情報シ
ステムなど社内のシステムやインフラ)ごとに、不必要なアプリ
ケーションを売却し、必要なアプリケーションを購入することに
よって、2014年までにデジタルバンクとしてのインフラやプ
ラットフォームを構築しています。
 続いて、第2フェーズにおいて、DBS銀行が行ったことをま
とめます。これは、デジタルバンクとしての仕上げの時期です。
 第2フェーズにおいては、全社的にデジタルバンクになるため
の組織改革に取り組んでいます。プロジェクト型組織からプラッ
トフォーム型組織へとか、アジャイルな開発チームの編成などの
テーマで、組織改革を進めています。
 アジャイル開発とは、既に述べているように、システムやソフ
トウェア開発における臨機応変なプロジェクト開発手法の一つで
あり、「アジャイル」とは「素早い」という意味であり、従来の
ウォーターフォール開発などよりも開発が素早いとことを意味し
ています。
 DBS銀行は、さらにデジタルトランスフォーメーションの柱
として、次の4つの目標を掲げています。
─────────────────────────────
 @クラウドネイティブになる
 AAPIによって、エコシステムのパフォーマンスを上げる
 B顧客第一主義の徹底を図る。
 C人とスキルへ投資する。
─────────────────────────────
 @のクラウドネイティブとは、クラウドのサービス利用を前提
に構築されるシステムやアプリケーションのことです。クラウド
の利点を最大限に活かして構築することで、短期間で効率的にシ
ステムを実装させることが可能です。
 Aは、200以上のAPIを通して、60以上のパートナーと
エコシステムを構築するということを意味しています。これによ
り、様々なパートナーと連携したカスタマーエクスペリエンスの
向上を実現しています。
 Bは、顧客接点のデジタル化を図り、リテール・バンキングの
口座開設がオンラインでできるなど、顧客視点での「当たり前」
を実現しています。
 Cの「人とスキルへ投資」とは、「徹底した顧客第一主義」を
ベースに「データドリブン」、「リスクを取って、実験に挑む」
「アジャイル型」、「学ぶ組織になる」の5つの指針を掲げ、そ
のための学びのスペースやスタートアップとのコラボスペースの
設置などを行ったのです。
 そして、2018年5月、DBS銀行は、「銀行を意識するこ
となく、生活を楽しもう」をミッションとして採用しています。
これを英語では、次のように表現しています。
─────────────────────────────
         Live more, Bank less.
─────────────────────────────
 「バンク・レス」──「銀行はなくなってもいい」。これは、
銀行としては尋常ではない声明であるといえます。この真意は、
DBS銀行としては、「目に見えない銀行」を目指すという意味
です。デジタル化するということは、顧客は銀行の店舗に行かな
くなり、銀行というものが人々の意識からは消えることを意味し
ます。DBS銀行としては、それでもいいから、DBS銀行はと
ことんデジタル化を推進するといっているのです。
             ──[デジタル社会論U/006]

≪画像および関連情報≫
 ●"金融界のアマゾン"DBS銀行のすごい目標
  ───────────────────────────
   日本では一般的には知られていませんが、世界中の金融関
  係者から注目を集めている銀行がシンガポールにあります。
  それがDBS銀行です。DBS銀行は、金融専門情報誌『ユ
  ーロマネー』から「World’s best digital bank」の称号を
  2016年と2018年の2度にわたり獲得しています。
   DBS銀行がデジタルトランスフォーメーションを推し進
  めるにあたりベンチマークとしたのは、同業他社ではありま
  せんでした。彼らが目指したのは、グーグル・アマゾン・ネ
  ットフリックス・アップル・リンクトイン・フェイスブック
  といったメガテック企業です。
   DBS銀行はこれらメガテック企業の頭文字(G・A・N
  ・A・L・F)に自らの頭文字Dを入れて、「G・A・N・
  D・A・L・F(ガンダルフ)」の一角を担う存在になると
  決意しました。
   メガテック企業には、DBS銀行が見習うべき点がいくつ
  もありました。例えばグーグルのオープンソースソフトウェ
  ア志向。アマゾンのAWS上での、クラウド運用。ネットフ
  リックスのデータを利用したパーソナル・レコメンデーショ
  ン。アップルのデザイン思考。リンクトインの「学ぶコミュ
  ニティーであり続ける」こと。フェイスブックの「世界中の
  人々  への広がりを持つ」こと。https://bit.ly/2QxutKb
  ───────────────────────────
DBS銀行.jpg
DBS銀行
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]