日」が有名です。中国では、11月11日を、数字の1がたくさ
ん並ぶことから、「独身の日」と呼んでいます。この日をネット
通販の特売セールの日に仕立て上げたのがアリババです。10月
の国慶節(建国記念日)と12月のクリスマスの間の11月に消
費を盛り上げ、自社のECサイト「天猫(テンマオ)」に顧客を
呼び込むことを狙って、2009年から実施しています。
2019年の「独身の日」の売上高の詳細を見てみると、次の
ようになっています。たった1日で、この売上高です。
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ECの流通総額(GMV):2684億元(約4兆円)
発注された荷物数:13億個
顧客数:5億人
参加したブランド(企業数):20万社
1秒当りの処理件数:54・4万件
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ところが、2020年のGMVは7697億元(約12兆円)
です。前年比62・8%増です。例年は、11月11日の一日の
みですが、昨年は11月1〜3日と11日の計4日間だったので
この凄い売上高になったのてす。
もちろんたった1日でこれだけ売れるのには、それなりの仕掛
けがあります。この日に買うとトクだからです。500億元(約
7500億円)に上る大規模な値下げをしたり、高額商品を購入
するさいに、無利息で24ヶ月分割払いを可能にするなど、なり
ふり構わない戦略で取引高を伸ばしています。アリハバが、現在
手がけている事業は、ざっと次のようになっています。
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・BtoB/ECサイト「アリババドットコム」
・BtoC/ECサイト「天猫(テンマオ)」
・越境ECサイト「天猫国際/テンマオ・グローバル」
・CtoC/ECサイト「タオパオマーケットプレイス」
・決済サービス「アリペイ」
・クラウドコンピューティング
アリババ・クラウドコンヒューティング
・スマート製造プラットフォーム「犀牛智造」
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このなかで、2020年になってはじめてわかった事業があり
ます。それが「犀牛智造(シーニュージーザオ)」です。これに
ついて「日経トレンドX」に次の記事があります。
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2020年9月16日、中国EC最大手のアリババ集団傘下で
スマート製造プラットフォームを運営する「犀牛智造(シーニュ
ージーザオ)」は、独自のスマート工場「迅犀(シュンシー)デ
ジタルファクトリー」とその成果を初めて公表した。これはアリ
ババの創業者で前CEOの馬雲(ジャック・マー)氏が、16年
に提唱した「五新(新小売、新製造、新金融、新技術、新エネル
ギー)」戦略のうち、「新製造」の取り組みの1つだ。
──日経Xトレンド https://bit.ly/3u4iHWE
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なぜ、この「犀牛智造」が凄いのでしょうか。
「犀牛智造」は、アリババ傘下の縫製工場です。しかし、ただ
の縫製工場ではないのです。この工場は、アリババの通販サイト
の出店企業の商品を作っています。それも通販サイトで売れた商
品だけを生産するのです。工場内には、ITや人工知能を駆使し
た最新の設備が整っており、それを可能にしています。つまり、
この工場では、在庫を抱えないで済むのです。
極端な表現を使うと、この工場では、それぞれデザインもサイ
ズも異なるアパレル製品の自動製造化を実現しているのです。全
ての生産ラインが自動化され、デジタル化が極限まで追求されて
います。例えば、縫製ラインでは、1台1台のミシンが、すべて
プラットフォームに接続した情報端末になっており、オペレータ
ーが手慣れた様子でタブレットの表示を確認しながら、ミシンを
操っています。
この「犀牛智造」の凄さについて、2021年2月13日付の
朝日新聞朝刊は、次のように解説しています。
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アリハバの通販サイトで商品が売れると、その情報が工場に瞬
時に届き、売れた分だけの生産を始める。アパレルに限らず、通
常の製造業は、予測に基づいて売る前に作り、売れなかったら、
在庫を抱える。そうしたリスクをアリババに頼めば、すべて解決
できるというわけだ。(中略)
このプラットフォームが広がれば、10兆元(約160兆円)
規模の中国のネット通販市場で半分以上を占めるアリババ上で商
品を売れる。支払いはユーザー10億人超のアリペイを使い、犀
牛が商品を製造する。新たな独占の形が生まれようとしている。
──2021年2月13日付、朝日新聞「けいざい+」
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これがアリババの「新製造」のひとつのスタイルです。これま
でそうしたアリババについて、中国政府は賞賛し、2018年改
革開放40周年に貢献した100人の1人としてジャック・マー
氏を選び、表彰しています。しかし、昨年のクリスマスイヴに、
規制当局はアリババの家宅捜査に踏み切っているのです。
原因は、昨年10月のアリババの創業者、ジャック・マー氏が
中国の金融当局の批判ともとれる発言を行ったことです。これに
ついては、1月15日のEJ第5408号でも詳しく述べていま
す。中国では、民間企業が、このようなかたちで、突出して成長
することを嫌がるのです。中国共産党の政権維持にとって、民間
企業の発展はマイナスであり、アリババのように行き過ぎてしま
うと、手のひら返しで排斥されてしまうのです。
──[デジタル社会論/032]
≪画像および関連情報≫
●コラム:中国アリババ、最悪のクリスマスイブに
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[香港/12月24日ロイター]──中国の電子商取引大
手アリババ・グループにとっては、最悪のクリスマスイブと
なった。中国政府は24日、同社が独占的な行為に関与した
疑いがあるとして正式に調査を開始。香港株式市場の同社株
は約9%下落し、時価総額600億ドルが吹き飛んだ。金融
規制当局は、アリババ傘下の金融会社アント・グループにつ
いても調査を進めている。
アリババのカリスマ創業者、馬雲(ジャック・マー)氏は
中小企業の味方としてイノベーションを推進。国内で高い人
気を集めている。こうした熱狂的な支持が、政治的な責任を
問われる下地になったのかもしれない。
馬雲氏は今年10月、フィンテック企業に対する過剰規制
に公の場で苦言を呈した。一部では、これがもとでアント・
グループの新規株式公開(IPO)が差し止められたとの見
方も出ている。アントは事実上、馬雲氏が経営権を握ってお
り、IPOは過去最大規模になると予想されていた。
確かに、中国政府はアリババとアントに意趣返しをしたよ
うに見える。だが恐らく、理由は、両社の市場支配力以外の
何物でもない。アントのモバイル決済サービス「支付宝(ア
リペイ)」は、テンセントの決済サービスとともに国内市場
を支配。アントは、国内でも特に人気が高いマネーマーケッ
トファンド(MMF)も運用している。
https://bit.ly/3jPo7QA
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犀牛智造