2021年01月25日

●「感染者との接触をどう探知するか」(第5414号)

 1月22日のEJで、新型コロナ接触アプリ「COCOA」を
取り上げましたが、わかりにくいのと、不正確な部分もあったの
で、もう少し詳しく説明することにします。
 そもそもこのアプリは、本当に役に立つのでしょうか。
 COCOAは、社会全体で60%以上がインストールしないと
機能しないといわれています。しかし、2017年現在、ガラケ
ーを含むモバイル端末全体では普及率は84%に達しているもの
の、スマホの保有率はまだ60・9%しかなく、60%以上がイ
ンストールされるのはほとんど不可能です。
 しかし、COCOAには次の特色があります。匿名性が厳重に
担保されているのです。
─────────────────────────────
   1.位置情報などの個人情報を一切利用しない
   2.スマホを特定するようなIDも利用しない
   3.陽性者のアプリへの登録は本人の意思次第
─────────────────────────────
 それでは、これほど徹底して、個人情報を利用しないのに、な
ぜ感染者との接触を探知できるのでしょうか。
 COCOAは、厚労省が管理する「HER─SYS」(新型コ
ロナウイルス感染者等把握・管理支援システム)と、「通知サー
バー」によって構成されています。HER─SYSというのは、
保健所や自治体などが、感染者の情報・状況を管理するためのシ
ステムです。「通知サーバー」というのは、COCOAがアクセ
スするためのサーバーのことです。しかし、COCOAがHER
─SYSに直接アクセスすることはありません。
 22日のEJで、COCOAには、ブルーツゥースという無線
技術が使われると述べましたが、正確には「BLE」という技術
が使われています。BLEとは次の言葉の省略形です。
─────────────────────────────
       ◎BLE/Bluetooth Low Energy
         クラス1:約100メートル
         クラス2: 約10メートル
         クラス3:  約1メートル
─────────────────────────────
 つまり、BLEは、低電力消費・低コスト化に特化した規格の
ことです。クラスには3種類がありますが、COCOAは、クラ
ス3が使われています。既に述べているように、日本における濃
厚接触の定義は、「1メートル以内、かつ15分以上の接触」と
されています。
 COCOAは、BLEのクラス3を利用しているので、COC
OAをインストールしているスマホ同士が1メートルの範囲内に
入り、15分以上そのままだと、スマホ同士で「接触符号」を交
換し、それぞれのスマホに保存します。
 どんな状況が考えられるかというと、電車に乗って座席に座っ
たときを考えてください。左右前方のほとんどの人がスマホを操
作しており、それらのスマホにCOCOAがインストールされて
いれば、1メートル以内の範囲であれば、「接触符号」を交換し
合うことになります。「接触記号」は、毎日ランダムに生成され
る「日次鍵」と時刻から、「ハッシュ関数」で生成されます。ハ
ッシュ関数というのは、その数値から元へは戻せない一方的関数
のことです。なお、これらの「接触符号」は、14日が経過する
と順次消去されます。
 さて、COCOAをインストールしているユーザーの誰かが、
PCR検査を受けて、コロナに感染していたことがわかったとし
ます。この場合、そのユーザーはアプリに登録することになりま
すが、そのさい保健所から発行される「通知番号」をアプリに入
力することになっています。ちなみに、感染者が登録するかどう
かは本人の意思しだいです。強制されることはありません。なお
登録しても、それが他の人に知られることはありません。
 「通知番号」が入力されると、アプリは、感染していた可能性
のある期間の「日次鍵」と時間情報をまとめた「診断鍵」と呼ば
れる情報を通知サーバ−に送ります。通知サーバーは、受け取っ
た「診断鍵」をCOCOAをインストールしている全ユーザーに
送信します。
 スマホ側では、「診断鍵」に含まれる情報から、陽性者の「接
触符号」を生成し、過去に交換して、スマホに保存中の「接触符
号」と比較します。もし、一致するものがあると、感染の可能性
があるので、ユーザーに通知をします。例えば、次のようなメッ
セージがアプリに表示されます。
─────────────────────────────
 COVID−19にさらされた可能性があります。
 新型コロナウイルス陽性登録者と接触した可能性があります。
 詳細はこちら。Appからその接触の日付、期間および信号の
 強さにアクセスしました。
─────────────────────────────
 ところで、iOS、アイフォーンの場合、iOS13・7以上
の場合、「設定」を開くと、「接触通知」のボタンが新設されて
います。これを次のように操作すると、14日間の「接触チェッ
クの記録」を調べることができます。
─────────────────────────────
 「接触通知」→「接触のログ記録の状況」を「>」→「接触チ
ェックの記録」を「>」→「日付」の表示を選択して「>」
─────────────────────────────
 以上の操作をすると「新規ファイル」がずらっと表示されてい
ますが、これが接触した人の「接触符号」です。1人ひとりタッ
プして、「一致したキーの数」が「0」であれば、通知サーバー
から届いた感染者のキーと一致しないということで、感染者と接
触していないことになります。もし「0」でないときは、感染者
と接触した疑いがあるので、保健所に連絡して相談を受ける必要
があります。        ──[デジタル社会論/015]

≪画像および関連情報≫
 ●ある日、スマホに「濃厚接触」通知が!
  ───────────────────────────
   厚生労働省は2020年6月19日、接触確認アプリCO
  COAをリリースした。スマートフォンにインストールして
  おくと、新型コロナウイルスに感染した人との接触情報を知
  らせてくれるという。筆者がリリース翌日使い始めると、8
  月末に接触通知を受け取り、PCR検査をすることになった
  のである。この3カ月余、アプリを使った感想と見えてきた
  課題をまとめた。
   「ウイルスにさらされた可能性があります」―。8月28
  日(金)未明、スマホでメールをチェックしている最中、突
  然プッシュ通知が現れた。「まさか!」。一気に鼓動が速く
  なった。どのアプリからの通知なのか、確認する間も無く消
  えてしまった。だが、心当たりは1つしかない。2カ月前に
  入れたCOCOAだ。
   あわててアプリを開いてみると、「陽性者との接触は確認
  されませんでした」との表示が・・。「見間違いだろうか」
  ──。困惑したのも無理はない。事前の計算では、使用2カ
  月ほどなら通知が届く確率は極めて低いはずだったからだ。
  厚労省のホームページによると、COCOAの仕組みは以下
  の通りだ。このアプリをスマホに入れ、「ブルートゥース」
  という無線通信機能をオンにすると、半径1メートル以内に
  15分間とどまった他のスマホの識別情報を記録していく。
  この識別情報はだれのスマホか特定できないようランダムに
  生成し匿名化する。       https://bit.ly/2M1ueEX
  ───────────────────────────
COCOAの仕組み.jpg
COCOAの仕組み
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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