2021年01月14日

●「アリババの『芝麻信用』とは何か」(第5407号)

 「芝麻信用」というものをご存知ですか。信用組合の名前では
ありません。中国アリペイの信用スコアのことです。
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           芝麻信用
           ゴマしんよう・Sesame Credit
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 中国のIT企業「アリババ」が運営するショッピングサイトに
「タオパオ」というのがあります。当初タオパオは、出品業者の
不正が多く、悩んでいたのです。出店業者の不正とは、サイトで
プレゼンしている通りのの品物が届かないことです。
 しかし、出店業者に対するユーザーによる評価制度を導入する
ことで、そういう不正業者は減少し、信用される行動をとった方
がとくであるという認識が広まったのです。
 この経験から、アリハバでは、ユーザーに対しても、信用され
る行動をしている人には利益を与え、逆に、信用に反する行動を
とった人にはサービスに差をつける信用スコアの導入を検討し、
傘下の複数のサービスにまたがって利用できる「信用スコア」を
開発したのです。これが「芝麻信用」です。アリババ傘下の「ア
ントフィナンシャル」が運営する決済サービス「アリペイ」の機
能の一つとして、2015年から提供されています。
 詳細は不明ですが、芝麻信用は、スコアリングには、次の項目
が利用されています。
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      @     アリペイでの支払い履歴
      A        個人の学歴や職歴
      Bマイカーや住宅など資産の保有状況
      C            交友関係
      D             その他
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 このうち、AとBについては、アリペイ上では把握できません
が、サービスを登録するときに必須の入力項目にして、入手して
いるものと思われます。
 芝麻信用のスコアは、次の5つの領域を総合的にチェックし、
作成します。
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   1.身分特質 ・・ ステイタスや高級品消費など
   2.履約能力 ・・    過去の支払い履行能力
   3.信用歴史 ・・    クレジットヒストリー
   4.人脈関係 ・・          交友関係
   5.行為偏好 ・・    消費面の際立った特徴
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 そして、これら5つの領域それぞれの指標を総合的に点数化し
信用ランクを次の5つに分類しています。正確なスコアリングの
分布は公表されていませんが、550〜699の範囲にほとんど
が分布されているそうです。
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       950〜700 ・・ 信用極好
       699〜650 ・・ 信用優秀
       649〜600 ・・ 信用良好
       599〜550 ・・ 信用中等
       549〜350 ・・ 信用較差
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 中国では、公共サービスを含め、極端なデポジット社会です。
デポジットというのは、事前預託金ないし保証金のことで、ほと
んどのサービスにデポジットが必要になります。レンタカーなど
のレンタルサービスをはじめ、病院での診察や公共図書館の本の
貸出しなどにもデポジットが必要になります。国民を信用してい
ないのです。
 しかし、芝麻信用で「信用がある」と認定された人に対しては
ほとんどのデポジットは不要になります。また、アリペイを提供
しているアントフィナンシャルグループの提供する金融商品では
金利優遇などのサービスも享受できます。つまり、信用のある人
は中国では多くの面において優遇されるのです。
 ちなみに、中国の信用スコアは、芝麻信用のような金融事業者
が展開するものだけでなく、地方政府などが展開するものもある
のです。この地方政府による信用スコアは、地域住民の行動を監
視し、スコア化するもので、あるべき行動を取らせることを目的
としてスコアを管理するのです。要するに、住民をランク付けし
ているわけです。
 こういう考え方は、日本には到底馴染まないものです。これに
ついて、ITメディアの山谷剛史氏は、芝麻信用と比較して地方
政府によるスコアについて次のように述べています。
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 地方政府系の信用スコアは、一部地域で新型コロナウイルス対
策として使われた。パンデミックとなった武漢に医療スタッフや
医療物資や義援金を送った人はスコアが上がり、新型コロナ対策
に非協力的だったり、ネットでデマを流したりした人はスコアが
下がる仕組みだ。スコアが上がれば行政手続き審査が省かれ、競
売などでも有利になる。逆に、スコアが下がれば審査に時間がか
かり、ビジネスなどで不利に働く。
 一方、芝麻信用に代表される民間企業の信用スコアは、クレジ
ットカードが普及しきっていない中国において、与信サービスと
して登場した。金融企業系の信用スコアを上げるには、個人情報
を入力する必要がある。家や車の所有状況、水道光熱費の引き落
とし状況、出身大学といった個人情報を入力すると、スコアは顕
著に上がる。クレカの与信を勤続年数や年収で判断するのと同様
に、そういったステータスが、個人の信用度を推し量る上で重要
とされているからだ。        https://bit.ly/3q8FwFY
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              ──[デジタル社会論/008]

≪画像および関連情報≫
 ●中国で浸透する「信用スコア」の活用、その笑えない実態
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   たいていの場合、イギリスではクレジットスコア(金融機
  関が与信審査で参考にする数値)はクレジットカードやロー
  ンの申請の判断にしか使われない。しかし中国では、政府が
  より広範な「社会信用システム」なるものの構築を進めてい
  る。人々を日々の行動などさまざまな基準で採点し、14億
  人いる中国国民の「信用度」を査定することが、最終的なゴ
  ールだ。
   近未来の世界の悪夢のように聞こえるかもしれないが、運
  用はすでに始まっている。中国ではこの社会信用システムの
  せいで航空券や鉄道のチケットを売ってもらえなかったり、
  NPOなどの組織の立ち上げが禁止されたり、特定のデート
  サイトが利用できなくなるといった事態が現実に起きている
  のだ。一方で、スコアが高ければさまざまな「特典」が受け
  られる。
   政府は14年にこのプロジェクトに着手した。20年まで
  の全国展開を見込んでおり、個人の行動を追跡して採点する
  だけでなく、民間企業や政府職員の業務なども評価対象とす
  る計画だ。システムが完成すれば、すべての中国国民は公的
  および私的機関から提供された自分の個人データの統合ファ
  イルをもつことになる。まだ試験運用の段階だが、現在はバ
  ラバラになっているデータベースをひとつにまとめる準備が
  行われている。         https://bit.ly/2LFTyQ4
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芝麻信用信用スコア.jpg
芝麻信用信用スコア/span>
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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