2020年12月07日

●「有権者への費用負担は買収である」(第5385号)

 「桜を見る会」の前夜祭の経費負担問題について、12月4日
の朝日新聞デジタルは、次のように報道しています。
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 安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食
会の費用を安倍氏側が補填していた問題で、東京地検特捜部は、
安倍氏の公設第1秘書で政治団体「安倍晋三後援会」の代表と事
務担当者の2人を、政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴
する方向で検討に入った。罰金刑となり正式裁判は開かれない見
通しとなった。関係者によると、立件対象は2016〜19年の
4年分とし、安倍氏側の補填分を含む総費用(支出)と参加者の
会費(収入)で計約3千万円の不記載を認定するとみられる。安
倍氏の関与については本人の認識を聴いて最終判断する方針で、
安倍氏の任意聴取を要請した。    https://bit.ly/2Iez4Nh
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 メディアはこのニュースを淡々と伝えていますが、これだけの
ことをしているのに、東京地検特捜部はなんと「交通事故と同じ
略式起訴で罰金刑で済まそうとしている」のです。東京地検特捜
部のゴマ刷り忖度ここに極まれりという感じです。そして、安倍
前首相に事情聴取のお伺いを立てているというのですから、呆れ
てしまいます。特捜部は、秘書と同様に、安倍氏をさっさと呼び
付けて、事情聴取すればいいのです。現職の首相ではなく、すで
に単なる一議員に過ぎないし、国会でそれに関するウソの答弁を
さんざんしてきているのですから。
 特捜部がそういう結論を出そうとしていることを察した「桜を
見る会」で告発した弁護士団は、12月1日、記者会見を開き、
安倍首相らの起訴を求め、東京地検特捜部に要望書を提出してい
ることを明かしています。これについて、12月1日の東京新聞
は、次のように報道しています。
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 夕食会は政治団体「安倍晋三後援会」が2013年以降、安倍
氏の地元山口県の支援者らを招き、東京都内の高級ホテルで毎年
開催。1人5000円の会費だけではホテルへの支払額に満たず
安倍氏側が19年までの5年間で約900万円を補填した疑いが
ある。弁護士有志らは今年5月以降、法律家ら941人分の告発
状を東京地検に提出している。
 要請書では「前首相への忖度で捜査の手を緩め、不処分や略式
起訴のような軽い処分を選択すれば、検察への国民の信頼が地に
落ちることは確実だ」と指摘。安倍氏や公設第1秘書、後援会の
会計責任者を正式に起訴するよう求めた。要請書提出後に東京都
内で記者会見をした小野寺義象弁護士は「組織的に補填を行って
いたのか。原資は何なのか。真相を究明してほしい」と話した。
           ──2020年12月1日付、東京新聞
                  https://bit.ly/33KyFJI
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 「ドリル優子」というのをご存知ですか。今回の事件は、それ
とよく似ています。2014年に発覚した小渕優子元経産相の政
治資金事件のことです。罪に問われたのは、安倍首相の秘書と同
じ政治資金規正法違反です。地元有権者を都内に招いて開催した
「観劇会」などの実費と、収支報告書の記載には、3億円以上の
ズレがあったのです。ところが特捜部の捜査直前に、観劇会招待
のデータの入っているPCのハードディスクをドリルで破壊し、
証拠隠滅を図ったのです。だから、それ以来小渕優子議員のこと
を「ドリル優子」と呼ぶようになったといわれています。
 しかし、これだけのことをしておきながら、報告書の作成に関
わった元秘書2人を在宅起訴して終わりです。小渕議員は「説明
責任はキチンと果す」といいましたが、いまだにその約束を果し
ていないのです。国民は忘れると思っているのでしょうか。
 それでも「ドリル優子」の件は、在宅起訴とはいえ、刑事裁判
に持ち込んだのはまだマシです。安倍氏の前夜祭の件は、検察官
が簡易裁判所に略式命令を請求し、非公開の書面審理だけで刑を
いい渡す「略式起訴」にしようとしているのです。
 政治資金に詳しい神戸大学の上脇博之神戸学院大教授は、今回
の件について、次のように述べています。
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 いくら非常識の安倍氏とはいえ、高級ホテルの立派な宴会場で
有権者を飲み食いさせれば、1人5000円の会費で、賄い切れ
ないと感づいたはず。自分は一切何も知らず秘書に罪をかぶせる
のは、あり得ません。そもそも1000万円近い補償の原資はど
こから捻出したのか。説明できないカネなら、新たな罪が芋ずる
式に出てくる可能性もある。だからこそ、特捜部には徹底捜査と
正式な起訴が求められます。
       ──2020年12月4日発行「日刊ゲンダイ」
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 もうひとつ大きな問題があります。小渕優子議員のときも、安
倍前夜祭も、「後援者(地元有権者)を招待し、有権者の参加費
を補填」しています。これは「買収」で公職選挙法違反になりま
す。もし、野党議員がそれをやったら、検察は公選法違反で立件
するでしょう。しかし、小渕優子議員のときも、今回の安倍氏の
ときも、東京地検特捜部は最初から公選法で立件しようなどとは
考えず、最初から公選法違反での立件を見送っています。検察は
自民党議員には甘いのです。まして今回は前首相ですから、とて
も恐れ多くて、手が出せないのでしょう。だから、在宅起訴より
もさらに甘い略式起訴です。東京地検特捜部は法律家ら941人
分の告発状を軽んじ、国民を愚弄しています。
 2016年には、甘利事件が起きています。千葉県内の建築業
者から都市再生機構の補償交渉を口利きした見返りに現金を繰り
返し受領した疑惑で、動かぬ証拠があって、甘利氏本人も大臣室
で現金を受け取ったことを認めていますが、ここはおそらく、黒
川弘務守護神の活躍で、秘書も含めて全員の立件が見送られてい
ます。      ──[『コロナ』後の世界の変貌/129]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍前首相はマスク越しに薄ら笑い 「桜前夜祭」国会内
  囲み取材で反省ゼロ対応
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   まったく反省している様子は感じられなかった。自身の後
  援会が主催した「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題で、4日
  国会内で記者団の取材に応じた安倍前首相のことだ。
   安倍氏は「誠意を持って対応する」と言っていたが、東京
  地検特捜部から任意聴取の要請があったどうかについては、
  「報道は承知している」と繰り返すばかり。国会議員として
  また総理大臣として1年も虚偽答弁を続けた責任を問われて
  いるにもかかわらず、まったく他人事だったから呆れる。マ
  スク姿でも薄ら笑いを浮かべている様子はハッキリと分かっ
  た。メディアで「公設第1秘書を略式起訴」などと報じられ
  ているため、自分は大丈夫などと思っているのだろうが冗談
  ではない。公選法違反(買収)の疑いもある、これだけの大
  事件を略式起訴で終わらせていいはずがない。
   2017年の電通「違法残業事件」で、東京地検は法人の
  電通を労働基準法違反罪で略式起訴したものの、東京簡裁は
  事件の重大性から書面審理だけで略式命令を出すのは「不相
  当」と判断。裁判を開くことを決定した例があるが、国会内
  で囲み取材に応じながら反省する様子がない安倍氏を見た特
  捜部だって、「なめるな」と思っているのではないか。もは
  や任意聴取で済まさず、特捜部は安倍事務所などに強制捜査
  に入るべきだ。         http://exci.to/3geDhx6
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マスクのまま記者の質問に答える
マスクのまま記者の質問に答える
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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