2020年11月27日

●「ダウ平均はじめて3万ドルを達成」(第5379号)

 世界中でコロナ禍が一向に収まりませんが、なぜか株高が続い
ています。11月24日のロイター通信の記事です。
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 [24日/ロイター]──24日のニューヨーク株式市場で、
ダウ工業株30種平均が大幅上昇し、史上初めて3万ドルの大台
を突破した。新型コロナウイルスのパンデミックで経済が痛手を
受け、なお数百万人の失業者が存在する中で、株式市場に心理的
な追い風が吹いた形だ。
 有望な新型コロナウイルス感染症ワクチンが相次ぎ登場したこ
とや、米政権移行がより円滑に進みそうだとの見通しが、市場心
理を上向かせている。ただプロの投資家にとって、3万ドル超え
はそれほど重大な意味は持たない。  https://bit.ly/3nSdHjK
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 ダウ工業株30種平均(ダウ平均)は、S&Pダウ・ジョーン
ズ・インデックス社が、アメリカのさまざまな業種の代表的な銘
柄を選出し、平均株価をリアルタイムで公表する株価平均型株価
指数のことです。正確にいうと、最高値は、3万46ドル24セ
ントであり、ダウ平均が3万ドルを超えるのは、今回がはじめて
のことです。
 このダウ平均と日経平均株価は、単位がドルと円で違うのに、
数字が大変よく似ているのです。11月26日の正午ジャストの
2つの株価は次のようになっています。この数値は、5秒ごとに
変化して表示されます。ちなみに日経平均株価は、日本を代表す
る225社の株価の平均です。
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        ダウ平均 ・・ 29872ドル
      日経平均株価 ・・ 26470 円
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 日経平均株価は3万円を突破したことがあります。1989年
12月29日、日経平均株価は3万8915円の史上最高値を記
録しています。
 さて、問題は、なぜこの時期に株価が上がっているかです。ダ
ウ平均の大台超えは次の通りです。
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      1万ドル超え ・・・・ 1999年
      2万ドル超え ・・・・ 2017年
      3万ドル超え ・・・・ 2020年
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 ダウ平均が1万ドルを超えた1999年は、インターネットの
普及で、ICT技術が脚光を浴びたからです。2万ドルを超えた
2017年は、金融株やエネルギー株が主導し、3万ドルを超え
た2020年の現在は、GAFAM(グーグル、アップル、フェ
イスブック、アマゾン、マイクロソフト)に代表されるICT株
が牽引しています。GAFAMの5社の時価総額は7・1兆ドル
(約750兆円)と日本株全体を超えています。
 株価が上がる原因に次のことも関係しています。それは、バイ
デン政権に参加することが予定されている次の3名がいずれも緩
和派であることです。
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     ジャネット・イエレン ・・  財務長官
     ジェローム・パウエル ・・ FRB議長
     ラエル・ブレイナード ・・ FRB理事
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 当初、ブレイナードFRB理事が財務長官になるのではないか
と噂されましたが、財務長官は、元FRB議長のジャネット・イ
エレン氏に決まっています。ブレイナード理事に対しては、バイ
デン次期大統領の関係者がFRB内にとどまるべきだと伝えたよ
うです。ブレイナード氏は、そうした中、オバマ前大統領に指名
された唯一の民主党系メンバーで、2022年にパウエル議長の
任期が終了した際には、後任として筆頭候補となる可能性がある
ものと思われます。
 日本経済新聞では、NY株が2万ドルを付けた2017年以降
一貫して、世界株の上昇をリードしてきたとして、次のように分
析しています。
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 ダウ平均は、リーマンショック後の回復場面では、先進国全体
を示す代表的な指数MSCI全世界株指数(現地通貨建て)や日
経平均を上回る上昇を見せた。ダウ平均が2万ドルに乗せた17
年1月以降、ダウが50%上がる間に、MSCI全世界株指数は
40%、日経平均は38%、欧州のストックス600指数は7%
上海総合も7%の上げにとどまっている。
 20年に入っては、2月12日に最高値の2万9551ドルを
つけた後、コロナショックを受けて1ヶ月あまりで2万ドルを割
り込むまで急落したが、その後は新型コロナウイルスのワクチン
開発が進んでいることを好感して切り返した。
 11月の大統領選後の急伸を経て、24日に大台に乗せたのは
民主党バイデン候補の政権移行手続きが始まったことがきっかけ
だ。(中略)米中間の企業をめぐる対立構図がなくなり、世界経
済が正常化に向かうことで、米国経済が再び成長軌道に乗るとの
見方だ。    ──2010年11月26日付、日本経済新聞
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 しかし、株高の恩恵は大きく偏っているのです。FRBによる
と、米国民を資産階層で分けると、上位1%が全体の半分強の株
式・投資信託を保有し、下位50%の保有額は、1577億ドル
に過ぎないのです。この額は、アマゾンのジェフ・ベゾスCEO
1人を下回る数値です。
 2万ドルを付けた2017年から約3年で、株価は1万ドル上
昇しています。これによってわかることは、この未曾有の株高は
緩和マネーが支えており、実体経済とは大きなズレがあることで
す。       ──[『コロナ』後の世界の変貌/123]

≪画像および関連情報≫
 ●米株はダウ3万ドル突破、ワクチン開発進展や米政権移行
  開始で
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   [ニューヨーク 24日/ロイター]米国株式市場は続伸
  して取引を終了。ダウ工業株30種は初めて3万ドルを突破
  した。景気回復への期待や新型コロナウイルスのワクチン開
  発を巡る進展、米国の政権移行開始に支援された。
   S&P総合500種の主要11セクターは景気動向に敏感
  な銘柄を中心に10セクターが上昇。工業株は過去最高値を
  付けた。トランプ米大統領は23日、バイデン次期政権への
  移行プロセスを開始することを一般調達局(GSA)によう
  やく許可した。
   バイデン氏が次期財務長官に連邦準備理事会(FRB)の
  イエレン前議長を指名するとの報道も、市場の地合いを押し
  上げている。新型コロナのワクチンに関しては最近のデータ
  で、年末までに利用できるようになる可能性が示されており
  S&P500は月間で4月以来の良好なパフォーマンスを記
  録する勢いだ。当初の感染拡大を受けた市場の混乱で売り込
  まれていたバリュー株の需要が高まっている。
   ベアードの投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏
  は、「選挙に関して不透明感がやや後退した。市場はイエレ
  ン氏に関するニュースについてもかなり好意的に受け止めて
  いるとみられる。あらゆることがやや前進した良い日のよう
  だ」と指摘した。        https://bit.ly/2V0gpYi
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NY株、世界株高リード
NY株、世界株高リード
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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