のテーマを取り上げたかというと、このテーマであれば、何でも
書けるからです。新年からは、米中をはじめとする「デジタル通
貨」について書く予定ですが、米大統領選挙の結果によっても大
きく変わる問題であり、その結果を待ちたかったからです。そう
いうわけで今日からしばらく、菅政権について書くことにします。
2020年9月16日、菅義偉内閣が発足しましたが、発足直
後の支持率は、次の通りです。
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◎ 共同通信の支持率 ・・・ 66・4%
◎日本経済新聞/テレビ東京 ・・・ 74・0%
◎ 読売新聞 ・・・ 74・O%
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お祝儀相場が含まれてはいるものの、内閣としては、まずまず
のスタートであるといえます。しかし、10月9日から11日に
かけてのNHKの世論調査の結果に永田町がざわついたのです。
9月の調査より、7ポイントも下落したからです。
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◎NHKの世論調査/10月9日から11日
支持する ・・・ 55%(9月:62%)
支持しない ・・・ 20%(9月:13%)
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支持率が下落した理由はいくつか考えられますが、一番大きな
原因は、学術会議に対する対応のまずさです。これについて、述
べる前に、いくつか述べておきたいことがあります。まず、菅首
相の質問を受けるさいの表情の明らかな変化です。官房長官のと
きの菅氏の表情と、首相になってからの表情は異なるのです。
官房長官のときは、表情はきわめて固く、上から目線であり、
少し怖い感じです。しかし、首相になると、表情は柔らかくなり
ていねいになった感じがします。怖い感じはなくなっています。
官房長官にしても首相にしても、質問を受ける相手はメディア
の記者であることが多いですが、官房長官のときは、菅氏の場合
あくまで記者に対して答えている感じであり、だから、慣れてく
ると、どうしても上から目線になり、ぶっきらぼうな対応になっ
てしまうのです。
この点を鋭く衝いたのは東京新聞の望月衣塑子記者です。彼女
は官房長官が明確に質問に答えていないと感ずると、「私は国民
の知る権利を代表して伺っています。明確にお答えください」と
迫っています。これに対して菅官房長官は「あなたに答えるつも
りはない」とまでいっています。ところが首相になると、明らか
に国民の目を意識しているように感ずるのです。このように、人
によって態度を変えるのは好ましいことではありません。何かあ
ると、その本性が出てしまうからです。
所信表明演説を行った10月26日のことです。菅首相はNH
Kの「ニュースウオッチ」に出演したとき、「民間の若い人、地
方大学を満遍なく選んでほしい」といったことについて、有馬嘉
男アナが、国民への説明が必要なのではと突っ込んだのに対し、
菅首相は、官房長官のときのような表情に戻って、キレ気味に次
のようにいったのです。
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説明できることと、できないことって、あるんじゃないでしょ
うか。105人の人を学術会議が推薦してきたのを政府がいま追
認しろと言われているわけですから。そうですよね?
──菅首相
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この菅首相の発言に対して、「リテラ」は、菅首相を次のよう
に痛烈に批判しています。
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自分は国民に説明できないようなこともやってしまえる立場に
あると言ってしまう、この思い上がりと強権性。実際、菅首相が
現在、任命拒否の根拠にしている、2018年の内閣府の文書は
その最たるものだ。この文書では学術会議の推薦通りに任命する
義務は首相にないとする見解がまとめられているが、当時から菅
氏は自分の手下である杉田和博官房副長官を使って学術会議の人
事に介入していた。この文書も安倍政権が介入を正当化するため
に変更させたものとしか考えられない。 ──リテラ
https://bit.ly/3jKTN86
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そもそも菅首相は、学術会議が提出した「105人の名簿」は
「見ていない」といっているのです。つまり、6人の名前が削除
された99人の名簿しか見ていないわけです。それでは、6人は
誰が削除したのかということになります。考えられることは、菅
首相は、杉田和博官房副長官に対し、「問題のある学者を外せ」
と命令し、6人が削除された名簿を菅首相が受け取ったことにな
ります。そのとき、削除された6人について、理由と共に、杉田
副長官から説明は受けていたはずです。
つまり、菅首相は、学術会議の会員の任命権があるという立場
に立っているわけです。その任命権の根拠は、2018年の内閣
府の文書ということになります。1949年、学術会議発足式典
において、吉田茂首相は、祝辞として次のように述べています。
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日本学術会議はもちろん国の機関ではありますが、時々の政治
的便宜のための掣肘を受けることのないよう、高度の自主性が与
えられているのであります。 ──吉田茂首相
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この吉田茂の言葉によって、少なくとも日本学術会議は、発足
時点では、「政治的掣肘を受けることがない」よう独立している
ことは明らかにいえます。すなわち、首相には、学術会議会員の
拒否権はないということになります。
──[『コロナ』後の世界の変貌/106]
≪画像および関連情報≫
●菅首相は学術会議問題を「官僚のせい」に・・・
“6人任命拒否”のキーマンはこの人物!/文春オンライン
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日本学術会議法第七条「会員は、第十七条の規定による推
薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」「第十七条:日本
学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業
績がある科学者のうちから、会員の候補者を選考し、内閣府
令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとす
る」いわゆる首相の日本学術会議メンバーに対する任命権は
この特別法に基づいている。任命権とは文字どおり「任命す
る権利」であるが、そこには濃淡がある。憲法で定められた
首相の任命権は天皇にあり、国会の「指名」に基づいて国事
行為として任命する。「推薦」「指名」の違いこそあるが、
どちらも形式的な任命であり、選定における罷免権、拒否権
はない。
日本学術会議会員の選定についても「形式的な」任命権と
法解釈されてきた。拒否権についても同様だ。そもそも戦時
の反省を踏まえ、政治介入を許さない独立した組織を目指し
て、つまり、菅政権が法の趣旨を都合よく変えているのであ
る。驕りという以外にないが、この間のやり取りを見ている
と、首相や政府の言い分にはあまりに屁理屈が多く、やはり
分が悪い。ついに首相の菅義偉は、日本学術会議の提出した
105人の候補者リストを見てもいないとまで言い出した。
その無茶な抗弁は、首相自身が任命拒否に関与していないと
言いたいから付け足した理屈なのだろう。だが、となれば、
いったい誰が拒否したのか、となる。
https://bit.ly/2HNau5B
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官房長官時代の菅首相