敗した大統領はたったの2人、カーターとブッシュ父しかおらず
現職が圧倒的に有利なはずです。しかし、支持率ではバイデン氏
が大きくリードしており、トランプ氏は米国流ドブ板選挙で、猛
然と追い上げてはいるものの、トランプ陣営はかなり苦戦を強い
られています。
しかし、コロナ対策はともかく、経済政策ではトランプ政権の
政策は間違っておらず、この面での支持は高いのです。調査会社
ギャラップによると、「自分と家族の経済状況が4年前よりよく
なっているか」との問いに、56%が「イエス」と答えているの
です。この数字は、オバマ政権での45%よりも10%以上、上
回っています。
さらに加えて、ジャーナリストの堀田佳男氏のレポートによる
と、激戦州のひとつであるペンシルベニア州では、4年前から共
和党の新規有権者登録数は19万8000人も増えています。こ
れに比べて民主党は2万9000人しか増えていないのです。ペ
ンシルベニア州のトランプ集会に参加したある支持者は、地元の
テレビ局に次のように話しています。
─────────────────────────────
私は、トランプ氏が神によって、地上に送り込まれたと思って
います。冗談ではありません。──2020年10月19日発行
「日刊ゲンダイ」より
─────────────────────────────
やっていることは一見むちゃくちゃに見えても、トランプ大統
領のやっている経済政策、対中国政策は正しく、中国は、それに
よって相当追い詰められ、ダメージを受けています。バイデン政
権になっても、対中国政策などの基本は変わることはないものの
バイデン政権では、トランプ大統領のように、ドラスティックに
はできず、中国はそこを狙っているものと思われます。
2020年10月20日付の日本経済新聞に中国関連の次の記
事が掲載されています。
─────────────────────────────
◎中国成長率、「コロナ前」迫る/7〜9月4・9%
財政出動は見込み薄
【北京=川手伊織】中国経済が新型コロナウイルスまん延前
の水準に回復しつつある。2020年7〜9月の前年同期と比
べた実質経済成長率は4・9%に拡大し、19年通年(6・1
%)に近づく。世界に先駆けて経済の正常化が進み、輸入も増
加に転じた。ただ経済危機直後ほどの巨額の財政出動は見込み
薄で、世界経済のけん引力には限界がある。
https://s.nikkei.com/2IFcn4w ─────────────────────────────
コロナ・ショックで世界中が苦しんでいるなか、コロナの発生
元である中国は、そのための十分な情報開示を怠り、コロナの拡
散によるパンデミックを起こさせ、世界中を大混乱に陥れた張本
人でありながら、いわば焼け太りで、早くも経済を急回復させつ
つあります。
しかし、中国に、リーマンショックのときの勢いはないと上記
記事は書いています。リーマンショックのときは、世界中で需要
が蒸発するなかにおいて、中国は4兆元(当時の為替レートで約
52兆円)の大規模経済対策で景気を浮上させ、あっという間に
V字回復を成し遂げています。
しかし、今回は、経済の実力を示す潜在成長率が低下し、大型
の財政出動は見込まれず、当時10%をゆうに超えていた経済成
長率は、7〜9月の実質経済成長率で約5%と、世界経済をけん
引する力はリーマンのときほど強くないということができます。
現在、米中貿易戦争は、2020年1月15日、第一段階の経
済貿易協定に署名したことによる、いわば「休戦」の状態にあり
ます。この第一段階の貿易協定では、今後2年間で中国側が米国
産品の輸入を2000億ドル積み増すことになっています。これ
は、中国側が大きく譲歩する内容です。これが実行されると、中
国の対米輸出が横ばいの場合、対米貿易黒字が2000億ドル減
少することになります。
実は、中国の経済には大きな泣き所があります。トランプ大統
領の仕掛けた、いわゆる米中貿易戦争は、その中国経済の泣き所
を衝いた巧妙な中国潰しなのです。中国の場合、他の先進国のよ
うに、大規模な量的緩和ができない事情にあります。中国のこの
重要な事実について考えていきます。
かつてお金については「金本位制」がとられていました。金本
位制では、国家が保有する金の量によって、通貨の発行量が決ま
ります。もし国家の金の保有量の限度を超えて、通貨を発行する
と、通貨の信用が下落し、悪性のインフレになって、金融が崩壊
してしまいます。
産経新聞特別記者の田村秀男氏は、中国の経済体制を「ドル依
存の経済体制」と呼び、次のように述べています。
─────────────────────────────
中国の通貨制度は「ドル本位制」とでも呼ぶべきもので、ただ
の紙切れにすぎない人民元札の価値がドル(を中心とする外貨)
によって裏付けられています。(中略)保有しているドルの量を
超えて、ドルの裏付けのない人民元を乱発すれば、中国経済は確
実に悪性のインフレに見舞われます。 ──田村秀男著
『景気回復こそが国の守り脱中国、消費税減税で/日本再興』
ワニブックス刊
─────────────────────────────
日米欧の中央銀行の場合、民間金融機関から国債などの証券を
買い上げて、資金供給しますが、中国の中央銀行である中国人民
銀行は、ドルを市中銀行から買い上げて通貨である人民元を発行
します。したがって、ドルの流入量が減ると、人民元発行が大き
な制約を受けることになります。米国は中国のこの弱点を衝いて
いるのです。 ──[『コロナ』後の世界の変貌/099]
≪画像および関連情報≫
●【田村秀男のお金は知っている】
中国の通貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」
───────────────────────────
米紙ウォールストリート・ジャーナル13日付(電子版)
が、「中国が世界経済回復を牽引できない理由」と題する解
説記事を載せていた。2008年9月のリーマン・ショック
時には、原材料などへの中国の需要急増が世界全体の成長を
押し上げたのとは対照的に、中国は現在、景気刺激のための
支出を抑制している。このため、リーマン危機のような役割
を中国が果たすのは不可能とする中国市場依存度の高いドイ
ツ工業団体代表の発言を引用している。中国市場にますます
のめりこんでいる日本の経団連の楽観論とは大違いだ。
同記事は習近平政権がなぜしょぼい景気対策しか打てない
のか、について触れていない。評論家の石平さんから「田村
理論」だと評されている拙理論なら答えは簡単だ。中国の通
貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」であり、ドルの流入
具合が悪ければ財政・金融面での拡大策がとれないという欠
陥がある。西側世界では米金融専門家を含め中国経済を市場
経済と同列で論じるのが一般的だが、戦前からの中国共産党
政策の歴史を綿密にたどってゆけば、いまなお財政・金融政
策の基本は極めて特異なドル本位であることがわかる。
https://bit.ly/3j81dSw
───────────────────────────
いよいよ米国の大統領選まであと2週間です。戦後、再選に失
敗した大統領はたったの2人、カーターとブッシュ父しかおらず
現職が圧倒的に有利なはずです。しかし、支持率ではバイデン氏
が大きくリードしており、トランプ氏は米国流ドブ板選挙で、猛
然と追い上げてはいるものの、トランプ陣営はかなり苦戦を強い
られています。
しかし、コロナ対策はともかく、経済政策ではトランプ政権の
政策は間違っておらず、この面での支持は高いのです。調査会社
ギャラップによると、「自分と家族の経済状況が4年前よりよく
なっているか」との問いに、56%が「イエス」と答えているの
です。この数字は、オバマ政権での45%よりも10%以上、上
回っています。
さらに加えて、ジャーナリストの堀田佳男氏のレポートによる
と、激戦州のひとつであるペンシルベニア州では、4年前から共
和党の新規有権者登録数は19万8000人も増えています。こ
れに比べて民主党は2万9000人しか増えていないのです。ペ
ンシルベニア州のトランプ集会に参加したある支持者は、地元の
テレビ局に次のように話しています。
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私は、トランプ氏が神によって、地上に送り込まれたと思って
います。冗談ではありません。──2020年10月19日発行
「日刊ゲンダイ」より
─────────────────────────────
やっていることは一見むちゃくちゃに見えても、トランプ大統
領のやっている経済政策、対中国政策は正しく、中国は、それに
よって相当追い詰められ、ダメージを受けています。バイデン政
権になっても、対中国政策などの基本は変わることはないものの
バイデン政権では、トランプ大統領のように、ドラスティックに
はできず、中国はそこを狙っているものと思われます。
2020年10月20日付の日本経済新聞に中国関連の次の記
事が掲載されています。
─────────────────────────────
◎中国成長率、「コロナ前」迫る/7〜9月4・9%
財政出動は見込み薄
【北京=川手伊織】中国経済が新型コロナウイルスまん延前
の水準に回復しつつある。2020年7〜9月の前年同期と比
べた実質経済成長率は4・9%に拡大し、19年通年(6・1
%)に近づく。世界に先駆けて経済の正常化が進み、輸入も増
加に転じた。ただ経済危機直後ほどの巨額の財政出動は見込み
薄で、世界経済のけん引力には限界がある。
https://s.nikkei.com/2IFcn4w ─────────────────────────────
コロナ・ショックで世界中が苦しんでいるなか、コロナの発生
元である中国は、そのための十分な情報開示を怠り、コロナの拡
散によるパンデミックを起こさせ、世界中を大混乱に陥れた張本
人でありながら、いわば焼け太りで、早くも経済を急回復させつ
つあります。
しかし、中国に、リーマンショックのときの勢いはないと上記
記事は書いています。リーマンショックのときは、世界中で需要
が蒸発するなかにおいて、中国は4兆元(当時の為替レートで約
52兆円)の大規模経済対策で景気を浮上させ、あっという間に
V字回復を成し遂げています。
しかし、今回は、経済の実力を示す潜在成長率が低下し、大型
の財政出動は見込まれず、当時10%をゆうに超えていた経済成
長率は、7〜9月の実質経済成長率で約5%と、世界経済をけん
引する力はリーマンのときほど強くないということができます。
現在、米中貿易戦争は、2020年1月15日、第一段階の経
済貿易協定に署名したことによる、いわば「休戦」の状態にあり
ます。この第一段階の貿易協定では、今後2年間で中国側が米国
産品の輸入を2000億ドル積み増すことになっています。これ
は、中国側が大きく譲歩する内容です。これが実行されると、中
国の対米輸出が横ばいの場合、対米貿易黒字が2000億ドル減
少することになります。
実は、中国の経済には大きな泣き所があります。トランプ大統
領の仕掛けた、いわゆる米中貿易戦争は、その中国経済の泣き所
を衝いた巧妙な中国潰しなのです。中国の場合、他の先進国のよ
うに、大規模な量的緩和ができない事情にあります。中国のこの
重要な事実について考えていきます。
かつてお金については「金本位制」がとられていました。金本
位制では、国家が保有する金の量によって、通貨の発行量が決ま
ります。もし国家の金の保有量の限度を超えて、通貨を発行する
と、通貨の信用が下落し、悪性のインフレになって、金融が崩壊
してしまいます。
産経新聞特別記者の田村秀男氏は、中国の経済体制を「ドル依
存の経済体制」と呼び、次のように述べています。
─────────────────────────────
中国の通貨制度は「ドル本位制」とでも呼ぶべきもので、ただ
の紙切れにすぎない人民元札の価値がドル(を中心とする外貨)
によって裏付けられています。(中略)保有しているドルの量を
超えて、ドルの裏付けのない人民元を乱発すれば、中国経済は確
実に悪性のインフレに見舞われます。 ──田村秀男著
『景気回復こそが国の守り脱中国、消費税減税で/日本再興』
ワニブックス刊
─────────────────────────────
日米欧の中央銀行の場合、民間金融機関から国債などの証券を
買い上げて、資金供給しますが、中国の中央銀行である中国人民
銀行は、ドルを市中銀行から買い上げて通貨である人民元を発行
します。したがって、ドルの流入量が減ると、人民元発行が大き
な制約を受けることになります。米国は中国のこの弱点を衝いて
いるのです。 ──[『コロナ』後の世界の変貌/099]
≪画像および関連情報≫
●【田村秀男のお金は知っている】
中国の通貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」
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米紙ウォールストリート・ジャーナル13日付(電子版)
が、「中国が世界経済回復を牽引できない理由」と題する解
説記事を載せていた。2008年9月のリーマン・ショック
時には、原材料などへの中国の需要急増が世界全体の成長を
押し上げたのとは対照的に、中国は現在、景気刺激のための
支出を抑制している。このため、リーマン危機のような役割
を中国が果たすのは不可能とする中国市場依存度の高いドイ
ツ工業団体代表の発言を引用している。中国市場にますます
のめりこんでいる日本の経団連の楽観論とは大違いだ。
同記事は習近平政権がなぜしょぼい景気対策しか打てない
のか、について触れていない。評論家の石平さんから「田村
理論」だと評されている拙理論なら答えは簡単だ。中国の通
貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」であり、ドルの流入
具合が悪ければ財政・金融面での拡大策がとれないという欠
陥がある。西側世界では米金融専門家を含め中国経済を市場
経済と同列で論じるのが一般的だが、戦前からの中国共産党
政策の歴史を綿密にたどってゆけば、いまなお財政・金融政
策の基本は極めて特異なドル本位であることがわかる。
https://bit.ly/3j81dSw
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中国の実質経済成長率(前年同期比)