2020年10月16日

●「台湾に世界の注目が集まっている」(EJ第5351号)

 今、台湾という国に世界の注目が集まっています。米中の対立
によってこの国の重要性が際立ってきています。台湾について少
し考えてみることにします。
 「アルバニア決議」というのをご存知でしょうか。
 この決議は、現在の中国、中華人民共和国が、国連において、
安保理常任理事国の座を獲得した第2758号国連決議のことで
す。1971年10月25日のことです。なぜ、アルバニア決議
というのかというと、共同提案国23ヶ国のうち、とくに友好国
のアルバニア共和国の名前をとったからです。両国は、ともに共
産主義国家でありながら、ソ連修正主義には反旗を翻し、お互い
に助け合ってきたからです。
 これによって、中華民国(台湾)は、安保理常任理事国の地位
を失い、本会議は決議に「蒋介石の代表を国連から追放する」と
いう一文を掲げたのです。これに抗議して、中華民国は国連を脱
退しています。
 このとき、日本と米国は、中華民国(台湾)を国連から追放す
ることに反対し、とくに日本は、中華民国の議席追放反対と、二
重代表制を求める決議を提出していますが、否決されています。
これについて、当時の佐藤栄作首相と福田赳夫外相は、次のよう
に述べています。
─────────────────────────────
◎佐藤栄作首相
 政府は、国連の決定を尊重し、中華人民共和国の国連参加を歓
迎するものであります。政府のとった処置は国連で否決されまし
たが、結果的に見て、わが国の長期的な国益に沿うものであるこ
とを確信するものであります。
◎福田赳夫首相
 この決議案には敗れました。しかし、敗れたりといえども、私
は、わが日本国は国際社会において信義を守り通した。また、筋
を通し抜いた、このことにつきましては、国民各位にぜひ誇りを
持っていただきたいのだということを申し上げまして、お答えと
いたします。           ──渡邊哲也著/徳間書店
            『「新型コロナ恐慌後の世界」』より
─────────────────────────────
 1971年、米国のキッシンジャー国務長官が中国を訪問し、
翌年の72年にニクソン米大統領が中国を電撃訪問しています。
いわゆるニクソンショックです。日本もこれに連動して、田中角
栄首相が訪中し、1972年に国交を回復しています。米国も、
相次いで1979年に国交を回復しています。
 しかし、国交回復のさい、中国の強い要請により、米国と日本
は台湾との国交を断絶せざるを得なくなったのです。中国の要請
とは、「台湾は中国の一部であり、中国はひとつであることを認
めよ」というものです。
 多くの人は、日本は中国のいう「ひとつの中国」を認めている
と思っています。しかし、本当にそうでしょうか。国交回復時の
日本政府と中国政府の共同声明は次のようになっています。
─────────────────────────────
 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分
の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人
民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基
づく立場を堅持する。        https://bit.ly/3177o2R
─────────────────────────────
 この表現によると、中国が「台湾は中国の一部である」と主張
していることに対して、日本政府は理解を示し、尊重するといっ
ているだけです。日本は台湾が中国の一部であると認めたわけで
はないのです。
 米国の場合はどうでしょうか。
 米国の場合は、アジアの軍事バランスのことを考えて、台湾と
「米華相互防衛条約」を結んでいたのです。そのため、米国は、
1979年の米中国交回復と同時に、台湾関係法を施行していま
す。これは、事実上の軍事同盟といえます。
 台湾は、1895年に日清戦争の結果として下関条約が締結さ
れると、台湾島と澎湖諸島については、清から日本に割譲され、
第2次世界大戦終了までは日本が統治していたのです。そういう
こともあって、日本は、台湾との断交後も経済と政治の協力体制
を続けてきているのです。
 国交がなく、政府間外交はできないので、政党間外交を行い、
現在までそうしてきています。とくに自民党の青年局は、台湾の
窓口機関になっているのです。これは、当時の海部俊樹青年局長
・小渕恵三青年部長が、台湾の蒋経国(後の中華民国総統)との
間において、「両国間の窓口を自由民主党青年局および中国青年
反共救国団(現在の中国青年救国団)とする」と合意したことに
遡るのです。
 歴代の自民党青年局長といえば、17代の麻生太郎副総理・財
務相、31代の安倍晋三前首相をはじめとして、32代の岸田文
雄元外相、35代の下村博文元文科相、41代の萩生田光一文科
相というように有名政治家が続き、44代に小泉進次郎環境相が
就任しています。そして、菅政権では、安倍前首相の実弟の岸信
夫防衛相が日華議員懇談会の幹事長を務めています。これについ
ては、9月23日のEJ第5334号で述べています。
 10月26日から11月5日まで、沖縄周辺の海域で、日米統
合演習「Keen Sord(鋭利な刀)」 が行われることになっていま
す。その規模は尋常ではないのです。自衛隊約3万7000人、
艦艇約20隻・航空機170機に米軍は約9000人、海軍・海
兵隊・空軍、カナダ軍ハリファクス級フリゲートの総勢約4万6
000人が参加する参加する大演習です。問題は、なぜこの時期
に、この場所で行われるのでしょうか。
 一説によると、米大統領選を含むこの時期が台湾が最も危険で
あるからです。中国による「台湾強襲」も考えられるからです。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/095]

≪画像および関連情報≫
 ●台湾はいつまで現状を保てるか─習近平ですら描けない統一
  への道筋
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   「われわれには、あらゆる形式の『台湾独立』(台独)の
  企てをくじく確固たる意思と、十分な自信と能力がある。い
  かなる者、いかなる組織、いかなる政党がいかなる時、いか
  なる形式で、中国のいかなる領土を切り離すことも決して許
  さない」くぐもった声の習近平総書記がこう台湾政策を締め

  くくると、人民大会堂のホールは大きな拍手に包まれた。台
  湾独立への厳しい警告だ。
   10月24日まで開かれた中国共産党第19回党大会。台
  湾では、習氏がここで「台湾統一のスケジュールを打ち出す
  のでは」との観測がしきりだった。だがふたを開ければ「平
  和統一、一国二制度の方針」をはじめ「一つの中国」をめぐ
  る「92年合意の承認」「両岸関係の平和的発展」「平和統
  一のプロセスを推進」など、江沢民、胡錦涛の前指導者が敷
  いたレールをなぞるだけで、統一の時間表は設定しなかった
  のである。
   台湾総統府は「両岸の安定維持というわれわれの立場は明
  確だ」と、現況維持と安定を求める抑制の効いたコメントを
  発表したが、「ほっとした」のが本音だろう。習氏は建国百
  年を迎える今世紀半ば(2049年)にアメリカと肩を並べ
  る「世界トップレベルの総合力と国際的影響力を持つ強国」
  にする野心的目標を設定した。  https://bit.ly/2H3wo3Z
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日中国交回復.jpg
 
日中国交回復
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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