2020年10月13日

●「『中国製造2025』実現絶望的」(EJ第5348号)

 ICTの話はひとまずおいて、話を元の米中制裁まで戻すこと
にします。米国はなぜファーウェイを排除しようとしているので
しょうか。それは、間違いなく達成できることなのでしょうか。
 ファーウェイは、携帯電話の基地局で、30%を超えるシェア
を有しています。2019年度の「通信基地局の売上高シェア」
は次の通りとなっています。
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       ファーウェイ ・・ 34・4%
        エリクソン ・・ 24・1%
          ノキア ・・ 19・2%
          ZTE ・・ 10・2%
       サムスン電子 ・・  8・9%
          その他 ・・  3・2%
                     ──英オムディア
        ──2010年10月11日付、日本経済新聞
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 ファーウェイは、現在のところ通信基地局のシェアで、フィン
ランドのノキア、スウェーデンのエリクソンと首位を争っており
現状は34・4%と、2位のエリクソンを10%以上離してトッ
プです。4位のZTEも中国であり、この分野での中国のシェア
は44・6%と圧倒的です。しかも、5G関連の必須特許のシェ
アは、ファーウェイは11%で、首位の米クアルコムに次いで第
2位を占めています。
 しかし、2019年春からの米政府による取引禁止などの制裁
によって、ファーウェイの基地局ビジネスは、拡大させることが
苦しくなっています。なぜなら、米国の制裁によって、世界の多
くの通信会社が5Gにおいては、ファーウェイの機器を採用しな
くなったからです。これについて、上記の日本経済新聞は、次の
ように書いています。
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 ファーウェイを多く使ってきたノルウェーの携帯電話会社テレ
ノールは、5Gコアネットワークでエリクソンを選定した。これ
までファーウェイを容認してきた英国も7月に完全排除の方針を
打ち出しており、フランスも事実上制限する。エリクソンの幹部
は「通信会社は入札からファーウェイを排除する。自然と他社の
シェアが増えていく」と話す。
 「脱ファーウェイ」は、日本でも進む。ソフトバンクは新規に
建設する基地局に関してはファーウェイを採用しない。楽天はN
ECや提供する米アルティオスターなどを中心に基地局を採用す
る方針だ。これまで世界市場で競争力に乏しいとされてきたNE
CもNTTと提携し、日本を中心に基地局の拡販を進める。
        ──2010年10月11日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 現在、米商務省は、ファーウェイとその関連会社68社をEL
(エンティティリスト)に入れています。これにより、米国企業
の技術や製品の輸出が事実上禁止されます。正確にいうと、そう
いう技術や製品の輸出のさい、BIS(アメリカ合衆国産業安全
保障局)の許可が必要になるのですが、実際上は「不許可前提」
の運用がなされることは確実です。
 この場合、米国以外の他国の製品や部品であっても、その製品
中に米国原産技術が25%以上含まれるものは、米国産として扱
われ、規制の対象になります。さらに米国政府は、状況によって
は、そのパーセンテージを25%から10%に強化することもで
きるとしています。
 これに関連して、日本経済新聞では、専門の調査会社フォーマ
ルハウト・テクノ・ソリューソンズ(東京・江東区)の協力を得
て、ファーウェイの最新5G基地局のベースバンドと呼ばれる基
幹装置を分解して調べた結果を記事にしています。
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 基地局の推定価格1320ドル(約13万9000円)のうち
中国企業が設計した部品の比率は約48%、このうち4分の1は
ファーウェイが台湾の台湾積体電路製造(TSMC)に製造委託
する中央処理装置と呼ばれる半導体だ。暗号処理などを手掛ける
基幹部品だが、米国の技術を使い、TSMCが生産している。
 中国設計のうち6割についても、TSMCが製造に関与した可
能性がある。米国の規制強化でこうした部品が使えなくなる恐れ
があり、「純中国製」と呼べる比率は1割を下回る計算になる。
 調査で目立ったのが米国製品への依存で、使用比率は27・2
%に上った。最新のスマホでは米国部品比率を1%にまで減らし
ているが、基地局は「脱米国」が遅れている。
        ──2020年10月11日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 実は基地局の技術には、米国の原産技術がギッシリなのです。
ソフト制御で内部の通信方式を最新に切り換える役割である半導
体「FPGA」は、米国のラティスセミコンダクタ、ザイリンク
ス製であるし、電源を制御する半導体も、米テキサス・インスツ
ルメンツ(TI)製、記憶装置も米サイプレスセミコンダクタ製
その他、米ブロードコムの通信スイッチ部品、米アナログ・デバ
イセズの増幅部品など、数々の珠玉のような電子部品は多くは、
すべて米国製であり、中国といえども、そう簡単に独自部品が作
れるとは思えないのです。
 ちなみに、米国製品以外で多いのは、韓国のサムソン電子であ
り、メモリーなどは韓国製品です。しかし、日本もTDKやセイ
コーエプソンの部品は入っているものの、存在感を示すには、ほ
ど遠い状況です。
 この状況で米国の制裁がさらに強化されると、「韓国製造20
25」の達成は苦しくなります。習近平政権は、牙をあらわすの
が早過ぎたのです。この傾向は、たとえバイデン政権になっても
米国の中国に対する姿勢は変わることはないのです。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/092]

≪画像および関連情報≫
 ●米、中国5社との取り引き禁じる法律 13日施行/
  日本企業の対応は
  ───────────────────────────
   アメリカ政府は、ファーウェイなど中国の5社のハイテク
  製品を使用する企業との取り引きを禁じる法律を8月13日
  施行します。
   日本企業を含めて実質的にアメリカ政府と中国企業のどち
  らを選ぶか迫る内容で米中の対立の影響が一段と広がること
  になります。アメリカの政府機関と取り引きがある日本企業
  はおよそ870社にのぼり、取り引き金額は年間1500億
  円を超えています。
   各社は今後、新たな契約を結ぶ際などに対象の製品を使っ
  ていないという証明を求められる見通しで、米中の対立の影
  響が一段と広がることになります。アメリカ政府は、このほ
  かにも動画共有アプリ「TikTok」の運営企業など中国
  のIT企業2社との取り引きを禁じる方針で情報通信やハイ
  テク分野での覇権争いが激しさを増しています。
   法律の施行で日本の大手企業では、中国企業5社の製品か
  らほかの会社の製品に切り替える動きがありますが、取り引
  き禁止の影響がどこまで及ぶのかは不透明だとして企業の間
  からは今後のアメリカ政府の対応を見極めたいという声も出
  ています。このうちグループの会社がアメリカ政府と取り引
  きしているNTTは、中国企業5社の製品を海外で使ってい
  る事例があり、ほかの企業の製品に順次切り替えているとい
  うことです。ソフトバンクも通信規格が「4G」の通信設備
  の一部でファーウェイなどの製品を使っているため切り替え
  を進めています。        https://bit.ly/3iPZ6Tf
  ──────────────────────────

中国の「フル5G」ネットワーク構築.jpg
 
"中国の「フル5G」ネットワーク構築
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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