2020年08月27日

●「ツイッターを情報戦に生かす中国」(EJ第5317号)

 周知のように中国国内では、ツイッターやフェイスブックは利
用できないようになっています。中国政府が使用することを認め
ていないからです。「金盾=グレート・ファイアウォール」と呼
ばれる中国のネット検閲システムで、ツイッターやフェイスブッ
クへのアクセスを遮断していて、接続はVPNなどを使用するし
かないのです。
 「金盾=グレートファイアーウォール」というのは、中国にお
けるネット検閲システムのことです。現在、中国ではこのように
インターネットの検閲システムが存在しており、国民に対して中
国共産党や政府にとって、都合の悪い情報を閲覧できないように
なっているのです。「金盾(きんじゅん)」というのは、グレー
トウォールすなわち、「万里の長城」をもじって、「グレート・
ファイアウォール(防火長城)」と呼ばれているのです。
 それにもかかわらず、中国政府は、2019年からツイッター
で自国の立場を海外に英語で宣伝する工作に本格的に乗り出した
のです。これは、ツイッターの国際社会への影響力と発信力に利
用価値を見い出し、有効な情報戦の武器になると判断したからで
す。そして何よりも、トランプ大統領がツイッターを頻繁に使っ
ていることも関係があります。
 ここに新型コロナウイルスに関する米国の国務省のオータガス
報道官と、中国外務省の華春瑩報道官とのツイッターのやり取り
があります。女性報道官同士の応酬です。
─────────────────────────────
◎華春瑩報道官の投稿
  中国は、1月3日以降、コロナウイルスについて、アメリカ
 に最新の状況を伝えてきた。今になって連絡が遅いと中国を責
 めるの?
◎オータガス報道官の投稿
  1月3日までに、中国政府はコロナウイルスの検体の破壊を
 命じ、武漢の医師たちの口を封じ、ネット上の検閲を終わらせ
 たからね。時間と行動を国際社会が調査しなければならない。
◎華春瑩報道官の投稿
  あなた知らないかもしれないけど、武漢の保健当局は、12
 月31日に通知文を出したのよ。時間をとって状況を理解して
 から、つぶやいてください。    https://bit.ly/3gl1sIB
─────────────────────────────
 新聞やテレビを見ているだけでは知る由もありませんが、ツイ
ッターでこういうやり取りが行われているのです。例えば、趙立
堅報道官が中国にとって都合の良い内容のツイートを発信したと
します。そうすると、各国の中国大使館がそれをリツィートし、
世界各地に中国のメッセージを拡散するのです。
 趙立堅報道官のフォロワーは56万人、華春瑩報道官のそれは
34万人です。それを各国の大使館やその関係者がリツィートす
るので、その影響力はバカにできません。中国の外交官や国営メ
ディアを情報戦の「表の兵士」とするならば、情報拡散専門の分
子のような「裏の兵士」も存在するのです。表の兵士と裏の兵士
が力を合わせると、ウソの情報も何回も流すことによって、本当
の情報に見えてしまうものです。
 中国版ツイッターである「微信/ウエイシン」で検索すると、
次のようなツイートを見ることがあります。産経新聞、台北支局
長矢板明夫氏の情報です。
─────────────────────────────
◎ソ連のレニングラードで、ある医師が自分の勤務する病院の劣
 悪な医療環境に対する不満を知人に漏らしたため、厳重注意を
 受けた。
◎自国の医療物資が足りないのに、ソ連は多くの外国に支援をし
 ている。
─────────────────────────────
 一見すると、何のことか意味不明です。旧ソ連で起きた昔話に
ついて書いているようにみえますが、これは、現在中国で起きて
いることを書いています。この場合、ソ連は「中国」、レニング
ラードは「上海」の隠語なのです。
 しかし、こうした隠語を使っての「微信」のツィート交換も今
年の3月から困難になると思われます。矢板明夫産経新聞台北支
局は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 以前からネット規制が厳しい中国で、今年3月1日から、史上
最も厳しいインターネットの書き込み規制「ネット情報コンテン
ツ環境管理規定」が施行され、経済や社会の秩序を乱す情報の徹
底的な取り締まりが始まっている。「ネットコンテンツの制作者
は国益を損なつてはならない」との規定を盛り込み、中国政府や
共産党の功績を否定する内容をはじめ、重大な自然災害や事故に
関する「正しくない情報」や「ふさわしくない評論」を全面的に
禁止した。違反者には、罰金や最大15日間の拘束のほか、重大
な結果をもたらした場合は起訴もあり得る。新規定は、武漢発の
新型コロナウイルスを意識して作られたといわれている。
      ──矢板明夫著/「中国発表の数字は全部嘘だ!」
               『Haneda』/2020年6月号
─────────────────────────────
 もし、この「ネット情報コンテンツ環境管理規定」に違反する
と、「微信」の個人アカウントが閉鎖され、使えなくなってしま
うのです。現在、「微信」の利用者は10億人を超えており、中
国人の生活の一部になっています。したがって、これが利用でき
なくなると、仕事や人間関係などに重要な影響が出てしまうので
本当のことを普通に発信できなくなっているのです。
 中国がこれほど厳しく情報を規制しているとすると、コロナ関
連の数字──感染者数、死亡者数などは、果して本当の数字なの
でしょうか。上記の矢板支局長のレポートを基にして、コロナ関
連数字を検証してみたいと思います。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/061]

≪画像および関連情報≫
 ●中国の発表は信用できる?新型ウイルスの「死者はゼロ」
  ───────────────────────────
   中国は4月7日、新型コロナウイルスによる死者が、過去
  24時間で初めてゼロになったと発表した。しかしこの集計
  と、それをまとめる中国当局は、どこまで信用できるのだろ
  うか。BBCのロビン・ブラント記者が解説する。
   中国当局はここ数カ月間、毎日午前3時に国内の新型ウイ
  ルス感染に関する最新状況を発表している。7日の発表では
  感染者8万1740人、死者3331人とした。
   中国の新型ウイルス対策については、世界保健機関(WH
  O)が称賛している。その一方で、同国の発表には疑いの目
  も向けられている。イギリスのマイケル・ゴーヴ内閣府担当
  閣外相は先週、「中国の発表の一部は、新型ウイルスの規模
  や性質、感染力について明確ではなかった」とBBCに述べ
  た。アメリカのドナルド・トランプ大統領も先週、中国の死
  者数と感染者数について、「やや少なめではないか」と評し
  た。アメリカでは議員らも、中国は流行の規模について過小
  報告しているとしばらく前から批判している。
   中国の発表に対する疑念の背景には同国のデータの扱いに
  関する歴史と透明性の欠如がある。中国が発表する統計は評
  判が悪い。国の成長の指標となる経済関連の数値は特にそう
  だ。中国の国内総生産(GDP)の四半期ごとのデータは、
  現実を正確に反映したものではなく大まかな方向を示すもの
  と受け止められている。     https://bbc.in/2YvxJX9
  ───────────────────────────

中国と米国の女性報道官.jpg
中国と米国の女性報道官 
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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