2020年08月06日

●「世界最強米CDCはどうしたのか」(EJ第5303号)

 2020年5月3日のことです。ポンペオ米国務長官はABC
テレビの番組で、次のように発言しています。
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 新型コロナウイルスが中国湖北省武漢市にある中国科学院武漢
ウイルス研究所から拡散したとの疑惑について、多くの証拠があ
る。しかし、新型コロナウイルスは遺伝子操作されたり、人工的
に作られたりしたものではない。   ──ポンペオ米国務長官
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 これより前にトランプ米大統領も同趣旨のことを発言しており
ポンペオ国務長官は、大統領の発言のフォローをしたのです。こ
れを受けて、CNNは、5月4日、次の報道を行い、大統領と国
務長官の発言を否定しています。
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 “Intel shared among US allies indicates virus outbreak more likely came from market, not a Chinese lab”
 アメリカの同盟国(ファイブアイズ)は、ウイルスのアウトブ
レーク(爆発的流行)は、中国の研究室からではなく、市場(い
ちば)から来た可能性が高いという認識を共有した。
                  https://bit.ly/2PnXKCN ─────────────────────────────
 さらに、4月29日には、英国のBBCは、次の報道を行って
います。武漢ウイルス研究所への米国の関与を暴いたのです。
─────────────────────────────
 アメリカはコロナウイルス研究資金援助を中止した。このプロ
ジェクトは、これまで武漢ウイルス研究所と協力していた。
                  https://bit.ly/2PnXKCN ─────────────────────────────
 この報道は、トランプ政権がウイルスが流出したと批判する武
漢ウイルス研究所(新しいラボ/江夏区)に、オバマ政権時代か
ら、資金を出していることを暴いたものです。おそらくトランプ
大統領はそのことを知らなかったものと思われます。この米国の
関与について、中国分析の第一人者といわれる遠藤誉氏は、次の
ように述べています。
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 イギリスのBBCは4月29日、「アメリカはコロナウイルス
研究資金援助を中止した。このプロジェクトはこれまで武漢ウイ
ルス研究所と協力していた」と報道している。
 BBCニュースによれば、ニューヨークにある「エコ・ヘルス
連盟」は過去20年間に渡り、25ヶ国とウイルスに関する共同
研究をしてきたが、2015年からは研究経費を「オバマ政権時
代の国際医療研究協力の一環」として位置づけ、アメリカ政府が
国立衛生研究所経由で370万ドルを支払ってきた。共同研究の
相手には、なんと武漢ウイルス研究所も含まれており、研究テー
マはこれもまた、なんと、「コロナウイルス」である。
 つまり、武漢ウイルス研究所のコロナウイルス研究に関する資
金の一部は、アメリカ政府から出ていたことになる。おまけに、
「アメリカとの共同研究」だ。ポンペオが「膨大な証拠がある」
と言うのも「むべなるかな」。あれだけオバマ政権の施策を批判
してきたトランプだが、これもまた、なんとトランプ政権になっ
てからもこの科研費を支払い続けており、最後の支払いは、20
19年7月となっている。      https://bit.ly/2PnXKCN
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 ここまでの話を総合すると、感染症対策には世界最強の評価の
ある米国CDC(疾病予防センター)を持つ米国の稚拙な対応が
目立ちます。米国は、今回の新型コロナウイルスの流出源とされ
る武漢ウイルス研究所(江夏区/現在グーグル・マップ上から消
滅)に、オバマ政権の時代から、「コロナウイルス」の研究のた
めに、この2019年7月まで、研究資金を援助していたことに
なるからです。
 2020年8月3日現在、米国における新型コロナウイルスの
感染者は471万3540人、死亡者は15万4402人で世界
一です。世界一のCDCを有しながら、米国は何をやっていたの
でしょうか。
 米国の初の感染者は、1月21日、武漢地域を訪れた35歳の
男性です。この男性は、帰国の機内で発症し、ワシントン州シア
トルに戻っています。
 ウイルスの米国上陸に、CDCは危機モード全開になり、局内
の「緊急オペレーションセンター」を稼働させています。そして
米国内の研究者・衛生関係者で作るインターネット網「赤い暁」
には、CDC情報が逐次報告されています。実に素早い対応であ
るといえます。
 CDCは、中国からの遺伝子配列情報を入手し、1月末には検
査キットの製作に入っています。そして、2月4日には、超スピ
ードで、FDA(食品医薬品局)の認可にこぎつけています。こ
の検査キットの空輸便がニューヨーク市に届いたのは、2月8日
の朝です。ここまでは、米国は世界のトップ集団にいたことは確
かです。なぜなら、ニューヨーク市で初の感染者が確認されたの
は、それから3週間後のことだからです。
 ところが、検査キットが届いた2月8日の夜に問題が起きたの
です。ニューヨーク市の衛生局から次の情報が入ったのです。
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   検査結果にブレがある。正確な結果が得られない。
             ──ニューヨーク市の衛生局
─────────────────────────────
 CDCは、大慌てで、修正作業に入っています。そこにホワイ
トハウスからさまざまな干渉が加わってCDCは大混乱に陥るの
です。トランプ大統領は、人の話を10分と聞けない人です。専
門家の発言の都合のよい部分をとらえ、次のようにいいはじめた
のです。「暖かくなれば、病原体は奇跡のように消える」と。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/047]

≪画像および関連情報≫
 ●CDCのある米国が新型コロナ検査で失態を演じた理由
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   米国疾病予防管理センター(CDC)が、新型コロナウイ
  ルス感染症の検査体制の整備で大きな遅れを取っている。感
  染症対策で「お手本」とされることが多い世界的な保険機関
  は、なぜ初期対応を誤ったのか。
   米国疾病予防管理センター(CDC)は、世界的に有名な
  保健機関の1つだ。それだけに今回、CDCが新型コロナウ
  イルスの検査キットを全米各地へ配布するのにこれほどひど
  くしくじってしまったのは、一層不可解なことに感じる。他
  国が数百万件の検査を実施する一方で、CDCは本稿執筆時
  (3月5日)で1235人の患者しか検査できていない。感
  染症のエピデミック(局地的な流行)の早期対応では迅速さ
  が重要だ。今回のCDCの不手際が、米国国内のアウトブレ
  イクの追跡における損失につながることは確実だ。
   CDCは2月5日に新型コロナウイルスの検査キットの配
  布を開始した。だが、その後間もなく、検査キットの多くが
  試薬が汚染された結果、ネガティブコントロール(コロナウ
  イルスが存在しないときに陰性を示すと分かっている対照実
  験)で異常が見つかった。恐らく検査キットの開発に急いだ
  ことによる副次的影響だろう。ネガティブコントロールで失
  敗した研究機関は、検査のためにサンプルをCDCに送り返
  す必要があった。        https://bit.ly/30qOkgg
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CDC/米疾病予防センター.jpg
CDC/米疾病予防センター
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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