2020年08月05日

●「フランスだけでなく米国も肩入れ」(EJ第5302号)

 新型コロナウイルスの感染がフランスにも広がると、フランス
のメディアは、一斉に中国の批判に転じたのです。フランスの右
派の代表的な雑誌『フィガロ』誌は、その2020年4月24日
号で「中国の大嘘」と題する特集を組んでいます。以下はその要
約です。河添恵子氏の本から引用します。
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 「武漢P4実験室はリヨンのP4実験室のコピーとして、メリ
ユー財団とパスツール研究所、その他15社ほどの金銭的支援に
より建設された」「完成した途端に、パリと北京の間の愛の炎は
途絶えた。新しいラボに派遣されるはずだった50人のフランス
人研究員は、そこに一歩足りとも足を踏み入れることが出来てい
ない」「それどころか、2016年以降、両国の感染症委員会の
会合すらない」「両国で締結した内容、フランス側の意図に反し
て『武漢P4実験室』は中国人の研究者で占められ、フランスの
科学者による制御を逃れている。   ──河添恵子著/WAC
『習近平が隠蔽したコロナの正体/それは生物兵器だった!?』
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 ここで思い出すべきは、2018年に米当局者が当該研究所を
訪問後、米国務省に送っていた公電の内容です。武漢P4実験室
には管理上の弱点があり、必要な訓練を受けたスタッフも大幅に
不足しているというものです。これについては、7月31日付の
EJ第5299号に詳しく書いています。
 この武漢ウイルス研究所の建設の途中で、フランスは「P4実
験室」が備えなければならない高度の気密性や用途の透明性の公
表をめぐって中国側と深刻な争いがあり、結果としてラボに、十
分な安全性が確保されていない可能性があるのです。フランスは
一時は工事を中断することも考えたのですが、中断による経済的
損失に耐えられなかったといっています。
 これが本当であるとすると、新型コロナウイルスが武漢ウイル
ス研究所から流出したのではないかという疑いが強くなってきま
す。そうすると、リュック・モンタニエ博士の発言が気になりま
す。モンタニエ博士は、エイズウイルスのHIVウイルスの発見
者であり、その発言は重いものがあります。河添恵子氏の本には
博士のさらなる次の発言が紹介されています。
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 驚いた。そこには別のウイルスの配列が入っていたのだ。それ
は自然に混ざったものではない。大元はコウモリのウイルスだか
ら、それを組み替えたのだ。海鮮市場から出たというのは、美し
い伝説だ。そのような可能性はない、乏しい。最も合理的な仮説
は、誰かがエイズ(HIV)のワクチンを作りたかった、そのた
めにコロナウイルスを使ったと考えることだ。陰謀論ではない。
陰謀論とは、何かを隠す人のことだ。ウイルスは武漢の研究所か
ら逃げたものだろう。中国政府が知っていたのなら、彼らには責
任がある。中国は大きいので、間違いは起こるだろう。
                ──河添恵子著の前掲書より
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 河添氏は、このモンタニエ博士の発言を、フランス政府組織で
通訳をしている今井佐緒里氏(欧州研究者・文筆家・編集者)の
抄訳として紹介していますが、その今井佐緒里氏がそのことにつ
いて述べたサイトを発見したので、ご紹介しておきます。
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                       今井佐緒里氏
 検証:ノーベル賞受賞の仏ウイルス学者「コロナは武漢研究所
の人工操作」発言をどうみるべきか。 https://bit.ly/2Xm3dyC
                   2020年4月22日
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 中国武漢のウイルス研究所については、河添恵子氏の本では触
れていないことにがあります。それは、2014年に米国のオバ
マ前大統領が、米国内でのウイルスに関する研究を禁止し、米国
立衛生研究所(NIH)で行われていたウイルスの研究をことも
あろうに中国の武漢ウイルス研究所に外部委託しているのです。
 これは、「日経バイオテク」に記事として出ているので、ご紹
介します。
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 武漢ウイルス研究所(武昌区)の付属施設(新しいラボ)が完
成する前年の2014年、米オバマ大統領は米国内でのウイルス
に関する研究を禁止する方針を打ち出した。米疾病対策センター
(CDC)で重大な事故が多発したためだ。そして米国立衛生研
究所(NIH)で実施されていたウイルスの研究を、武漢研究所
に外部委託することにした。同研究の外部委託を積極的に推し進
めたのが、NIH傘下の米国立アレルギー・感染症研究所(NI
AID)のアンソニー・ファウチ所長だ。また、NIHからのグ
ラントの直接の受取先となったのが、感染症研究で実績のある非
営利組織(NPO)で同研究のコーディネーターを務めたEHA
(EcoHeath Alliance)だった。   https://nkbp.jp/30kPp9e
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 ここで、「グラント」というのは、資金配分主体が一般の研究
者などを対象に、研究開発課題を募り、採択された課題に対して
研究資金を配分する米国の制度のことです。
 そのNIHのグラントとして、米国は2014年から2019
年までの5年間で310万ドル(約3億4100万円)が支出さ
れています。テーマは「コウモリ由来コロナウイルスの出現リス
クの解明」です。そのうち約60万ドル(約6600万円)が、
コウモリの遺伝子解析のための設備投資費用として中国にわたっ
ているのです。つまり、米国は、フランスが設立に肩入れしてい
る中国の新しいラボがまだ完成する前から、前倒しで、コウモリ
由来コロナウイルスの出現リスクなどの研究に相当の資金提供を
しているのです。こうなると、フランスのみならず、米国までが
この新しいラボに肩入れしていたことになります。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/046]

≪画像および関連情報≫
 ●新型ウイルスの「研究所流出」説、証拠はあるのか?
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   アメリカ国務省の公電によると、在中アメリカ大使館の職
  員から、中国・武漢市にあるウイルス研究所のバイオセキュ
  リティーについて懸念の声があがっている。この研究所は、
  新型コロナウイルスのアウトブレイク(大流行)が最初に世
  界の注目を集めたのと同じ都市にある。
   ドナルド・トランプ大統領は、新型ウイルスがこの研究所
  から流出したものだという未確認情報について調査すると発
  言している。この説は果たして、現在のパンデミック(世界
  的流行)の理解に寄与するのだろうか?
   米紙ワシントン・ポストは、入手した外交公電をもとに、
  これについて報じている。それによると、2018年にアメ
  リカの科学専門の外交官がたびたび、中国の研究施設視察に
  繰り返し派遣されていた。その上で本国の政府へ、研究所の
  安全性に問題があるという警告を2件送っていた。記事によ
  ると、米外交官たちは武漢ウイルス研究所(WIV)の安全
  性と管理体制に脆弱性があり、支援が必要だと求めていた。
   また、この研究所が行っていたコウモリのコロナウイルス
  の研究が、重症急性呼吸器症候群(SARS)のようなパン
  デミックを起こしかねないと、視察した米当局者たちは懸念
  してたと、ワシントン・ポストは続けている。その上で同紙
  は、米政府内ではこの外交公電をもとに、WIVあるいは武
  漢市内の別の研究所が、今のパンデミックを起こしているウ
  イルスの発生源ではないか、という議論が加速していると報
  じた。             https://bbc.in/2EEVwg9
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ノンフィクション作家/河添恵子氏.jpg
ノンフィクション作家/河添恵子氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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