す。東京都では、9日に224人、10日には243人のPCR
検査による陽性者が確認されています。
この原稿は、11日に執筆していますが、さらに感染者が増え
るかどうかわからない状態で書いています。これを受けて東京都
の小池知事は、次のように呼びかけています。
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近隣の県で感染者が増えています。不要不急の他県への移動は
ご遠慮いただきたい。 ──小池東京都知事
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小池知事としては当然の他県への移動自粛要請です。東京由来
の感染者が、埼玉、千葉、神奈川などの首都圏に拡大しては困る
からです。
しかし、安倍首相、菅官房長官、西村コロナ担当大臣は、次の
ように小池氏の発言を事実上否定しています。
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◎安倍首相
高い緊張感を持って感染状況を注視している。会食の場などに
よる集団感染も確認されており、3つの密を避けるなど、若い皆
さんも含めて感染リスクを避ける行動を徹底していただきたい。
◎菅官房長官
医療提供体制がひっ迫している状況にはない。直ちに再び緊急
事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない。
◎西村コロナ担当大臣
ある程度感染源がわかっているので、国の方針はこれまで通り
都道府県をまたぐ移動は自由に行えるが、小池知事の発言は体調
が不調の人は外出や移動を自粛していただくという意味である。
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安倍首相は、「感染状況を注視している」とまるで他人事のよ
うなコメントをしており、「3つの密を避けるように」と国民に
責任を押し付けています。当事者意識がないようです。
菅官房長官は、医療提供体制に話をすりかえ、それをもって、
たとえ200人を超える感染者が出ても、緊急事態宣言を発出す
る状況にないことを強調しています。
西村大臣にいたっては、小池知事のいう「不要不急の他県への
移動自粛」は、熱など体調に違和感がある人には、外出や移動を
控えてもらう」という意味であって、都道府県をまたぐ移動は自
由に行ってよいと小池発言を修正しています。
ところで政府が「余裕がある」とする医療提供体制ですが、こ
れが胸をはるほどのことでないことがわかっています。7月10
日付の「リテラ」によると、東京都の医療提供体制について、次
のように述べています。
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これまで政府は、「医療体制に余裕がある」という立場を取り
つづけているが、東京都が現在確保しているベッド数は1000
床。対して7月9日時点で、入院患者数は441人と、6月20
日の204人から倍以上も増加している。昨日の東京都のモニタ
リング会議でも、坂本哲也・帝京大学医学部附属病院院長が「だ
いぶ逼迫してきている状態」と認めていた。
さらに、9日放送の「ニュース23」(TBS)によると、都
の関係者は、入院患者数が増加しているのは「“夜の街”で感染
が拡大している若者たちが病院に入院していることにある」と説
明。東京都では無症状者や軽症者を受け入れるホテルの多くが、
6月末で契約が終了、今月末にも終了するホテルもあるとした。
そのため無症状者や軽症者をホテルでなく、病院に入院させざる
を得なくなっているのだ。実際、同番組の取材に対し、東京都の
新型コロナ連絡調整担当の課長はカメラの前でこう語っている。
「すべてを受け入れるのが難しくなってきたなと。病院もたし
かに逼迫していると思うんですけども、ホテルのほうも逼迫して
いるというのがいまの状況です」。つまり、病院も、さらには軽
症者を受け入れるホテルも、ともに余裕がない、というのだ。
https://bit.ly/3fkEUrw ─────────────────────────────
なぜ、政府は、連日感染者が過去最高を記録するという目の前
で起きている重大な危険な兆候を無視するのでしょうか。
その理由は、はっきりしています。それは、経済を活性化させ
るため、「GoToキャンペーン」を8月から実施するつもりだ
からです。政府としては、コロナ対応で失敗し、経済が落ち込ん
でしまった状態では、選挙には到底勝てないからです。そのため
政府として自粛要請は絶対出したくないからです。
中国の武漢市は、4月8日に都市封鎖が解除されています。し
かし、職場復帰などのために、PCR検査を受けた人のなかから
無症状の感染者の発覚が続き、5月にひとつの団地で、新たに6
人の感染者が確認されたことを機に、武漢市は、「社会の中の恐
怖を取り除く」ことを目的として全員検査に踏み切っています。
たった6人の感染者が出ただけで、武漢市民全員検査をやってい
るのです。200人を超える感染者が連日出ているのに何もしな
い日本とは大変な違いです。
武漢市民全員のPCR検査で、約990万人を調べ、300人
に陽性反応が出ましたが、全員が無症状だったといいます。もし
この300人を放置すれば、この300人を中心として、多くの
感染者が出たことでしょう。これで誰もが安心して、日々の生活
を送れるようになったといいます。
日本政府がいまやるべきことは、新型コロナウイルスに関する
不安感を国民から取り除くことです。感染を封じ込めることは不
可能ではありません。「ウイズコロナ」というような誤魔化しを
することなく、せめて東京都だけでも、全件検査を行い、無症状
の感染者を隔離することです。そうしない限り、国民の不安は、
けっして解消しないでしょう。
──[『コロナ』後の世界の変貌/031]
≪画像および関連情報≫
●小池都知事、200人超に「2週間前の一人一人の行動が...」
→ネット「2週間前の対策が誤りだったと...」
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東京都の小池百合子知事は、新型コロナウイルスの新規感
染者数について、「2週間前の一人一人の行動がこのような
形で数字となって表れている」と2020年7月10日にコ
メントした。
東京都では9日に224人が、10日には243人の感染
者がそれぞれ新たに確認され、1日に確認された数としては
2日連続で過去最多を更新した。「ステイホームをそのまま
続けていただくというよりは...」
小池都知事は定例会見の中でも確認された人数について、
「243人と聞いております」と説明した。また、記者から
経済活動の再開に伴い感染者が出続けていることに関して都
民へのメッセージを求められると、その中で「皆様方に改め
て申し上げますと、今出ている数字もやはり2週間前の一人
一人の行動がこのような形で数字となって表れているという
ことは、これはずっと変わらないわけですね」と強調。また
緊急事態宣言中の外出自粛要請を指してか、「あの時ステイ
ホームなどで本当にご協力いただいた。これをまた、ステイ
ホームをそのまま続けていただくというよりは、皆さんが気
を付けていただき、事業者としても気を付けていただき、経
営者としても気を付けていただいて、新しい日常を作ってい
くという、その過程でございます」https://bit.ly/2W6JX7B
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東京都の感染者/日別