2020年07月08日

●「コロナにより米経済はどうなるか」(EJ第5284号)

 今回のEJのタイトルは「『コロナ』後の世界の変貌」ですが
最近は「ポストコロナ」ではなく、「ウイズコロナ」というよう
になってきています。現在の状況を見ると、よほど強力なワクチ
ンでも開発されない限り、コロナを完全に抑え込むことは不可能
のようです。したがって、これからの世界は、「つねにコロナは
身近にいる」という前提の下に、あらゆることをやっていかなけ
ればならないのです。それが「ウイズコロナ」です。
 コロナによる経済の落ち込みが懸念されます。とくに失業率の
悪化が心配です。これについて、中国に詳しい評論家の宮崎正弘
氏は、次のように述べています。
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 失業率が1パーセント悪化すると、日本では自殺者が、1年に
2000名増える。中国では、GDPが1パーセント下がると、
5000万人が失業する。失業が増えると、真っ先に不要となる
のは外国人労働者。ついで時給が下がり、正社員にはなれず、派
遣社員の雇用もしない方向に経営者は傾く。アルバイトで生活し
て学費を稼いできた学生は悲鳴をあげ、学生ローンに走った。消
費は大きく減退する。            ──宮崎正弘著
『WHAT NEXT/コロナ以後全予測/次に何が起こるか』
                        ハート出版
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 現在は、日本をはじめとする世界主要国では、政府が国民に現
金を配付しています。一般的にこのような大判振る舞いが続くと
インフレになるはずですが、経済の実体はデフレ基調です。どう
なっているのでしょうか。
 今回のコロナ禍は、リーマンショックや大恐慌とも比較して論
じられます。リーマンショックとの違いについて考えてみます。
リーマンショックのときは、住宅ローンが商品化され、欧州の投
資家が大量に保有しているという状況において、大手証券会社が
破綻し、カネの流れが止まったのです。これに対して今回のコロ
ナ禍は、人とモノの流れが止まっています。この違いについて、
滝田洋一氏は次のように解説しています。
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 もちろん危機発生のメカニズムは異なる。リーマンの際は、ま
ず大手証券会社が破綻し、お金が流れなくなったことで、企業活
動が止まり、世界的な需要蒸発が起きた。今回の危機は順番が逆
である。外出自粛、店舗の営業停止、国境の封鎖。感染拡大を防
ぐ一連の措置が、企業の売り上げ急減を招き、資金繰りをぎゅっ
と締め付ける。そして金融が急収縮している。
 いま必要なのは、資金の供給だ。米連邦準備理事会(FRB)
は、数兆ドル(数百兆円)規模の巨額の資金を金融市場に流し込
んでいる。                 ──滝田洋一著
        『コロナクライシス』/日経プレミアシリーズ
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 世界大恐慌は、一般的には、1929年から1934年の5年
間といわれていますが、実際の経済回復には、10年の歳月を要
しています。1929年の米国のGDPは1044億ドルですが
それが1000億ドル台に戻るのには、10年かかっています。
なお、「←」の1933年からは、フランクリン・ルーズベルト
氏が大統領に就任し、ニューディール政策を行い、米国経済の回
復に力を尽くしています。
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◎大恐慌時代の米国GDPと失業率の変化
               GDP     失業率
   1929年   1044億ドル    3・2%
   1930年    911億ドル    8・7%
   1931年    763億ドル   15・9%
   1932年    583億ドル   23・6%
   1933年    560億ドル   24・9% ←
   1934年    650億ドル   21・7%
   1935年    725億ドル   20・1%
   1936年    827億ドル   16・9%
   1937年    908億ドル   14・3%
   1938年    852億ドル   19・0%
   1939年    911億ドル   17・2%
   1940年   1066億ドル   14・6%
                      ──菊池英博著
       『金融大恐慌と金融システム』/東洋経済新報社
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 このコロナ禍で世界経済は一体どうなるでしょうか。
 2008年のリーマンショック直後の米国のGDPは、マイナ
ス8%だったのです。この数字はウォール街では一大衝撃になっ
て、ウォール街全体が冷え込んだといいます。しかし、今回のコ
ロナ禍は、そんなものでは到底済まない落ち込みになると予想さ
れます。世界の株式市場は、まさに底が抜けたようになり、3月
18日にダウ平均株価は、一時2319ドル安の1万8017ド
ルに下落し、トランプ大統領が就任した2017年1月20日の
終値である1万9827ドルを大きく下回ったのです。トランプ
相場は、これによって吹っ飛んでしまったかたちです。次の日の
19日、米国の感染者数は、遂に1万人を突破しています。
 4月25日、米国予算局は、当初マイナス28%と予測してい
た数値を大幅に下方修正して、2020年度第2・四半期(4月
〜6月)のGDPを「マイナス39・6%」と予測しています。
実に40%のマイナス成長です。
 世界一の投資家、ウォーレン・バフェット氏が率いる「バーク
シャー・ハサウェイ」は、「ウイルスの感染拡大によって世界は
変わる」として、保有していた米航空株を全部損切りで売却した
と発表しています。これにより同社の最終損益は、5兆円の赤字
になるといわれています。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/028]

≪画像および関連情報≫
 ●【新型コロナ】米経済崩壊への最悪のシナリオ、これから
  3カ月で何が起こるのか
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   人口800万で全米第1位のニューヨーク市やその他の大
  都市で新型コロナウイルスが大流行し、感染者数は、累計約
  19万人、死者数は約3900人(米ジョンズ・ホプキンズ
  大学調べ)を突破して中国やイタリア、スペイン、英国をし
  のぐ「世界一の新型肺炎震源地」になった米国。各州や自治
  体が感染拡大予防を目的とする外出禁止令を次々と発令する
  中、世界一巨大な「米国経済」という列車に急ブレーキがか
  かる。経済のロックダウンによる失業率は最終的に1930
  年代初頭の大恐慌時の24%を優に超えると予想される。米
  議会は国民への現金給付など2兆ドル(約240兆円)規模
  の過去最大の経済対策法を成立させたが、現時点のデータや
  専門家の見解では、「医療危機から生じる金融危機」という
  最悪のシナリオを覚悟すべきかもしれない。
   トランプ大統領が2016年11月の大統領選挙で勝利し
  てから右肩上がりであった米株価は、コロナショックで「ト
  ランプ相場」の上昇分がすべて消えうせた。その後いくらか
  回復しているものの、ペンス副大統領が主張するような「米
  経済のファンダメンタルズは依然として強いため、チャレン
  ジを乗り切れば再び大躍進できる」との見方は少数派にとど
  まる。             https://bit.ly/2VOmuYt
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ウォーレン・バフェット氏.jpg
ウォーレン・バフェット氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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