2020年07月07日

●「コロナウイルスの感染者増大傾向」(EJ第5283号)

 東京都を中心に、神奈川、埼玉、千葉で、新型コロナウイルス
の感染者が再び増加傾向にあります。7月3日の東京都の感染者
は124人ですが、年代別の感染者は次の通りです。
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          感染者          感染者
   10代     4人   40代     9人
   20代    60人   50代     6人
   30代    37人   60代     4人
              70代以上     4人
   ───────────────────────
                   合計 124人
             ──2020年7月4日/朝日新聞
─────────────────────────────
 これによると、10代〜30代を合わせると101人になり、
全体の78%を占めています。この現象をどのように判断すべき
でしょうか。ここまで検証してきたことをベースに考えると、次
のようにいえると思います。
 若い人の場合、たとえコロナに感染しても、発症する人は少な
く、そのまま治ってしまうケースが多いのです。発症するかどう
かを決めるのは、体内のウイルスの量によって左右されます。ウ
イルスの量がある一定の量に達すると、咳や発熱などの症状が出
てくるので、この状態のときにPCR検査を受けると、陽性と判
定される可能性が高いのです。
 問題は、どういう状況のときに他の人に移す感染力を持つかで
す。発症のおよそ3日ほど前から、このウイルスは感染力を持つ
といわれます。その約3日間は、本人に自覚はなく、その人と接
触した人にウイルスを感染させる可能性があります。そのことは
他人はもちろんのこと、本人もわからないのです。
 こんなケースも考えられます。ウイルスに感染して、咳や発熱
などの症状が出ても、PCR検査を受けなかったり、検査を希望
しても、受けられなかった場合──このケースはいまでもあると
いわれる──若い人の場合、治ってしまうケースも多いのです。
しかし、このケースでは、発症の出る前後から発症後1週間程度
は、他の人に感染させてしまう可能性が高いのでが、実際問題と
してこの状態の若者を発見することはきわめて困難です。誰が感
染者かわからないので、お互いにマスクをして、社会的距離をと
る以外方法はないと思います。日本人は、他国に比べると、マス
クに関しては、ほぼ徹底されているので、これによる感染者の抑
制効果は相当効いていると思います。
 124人の感染経路を調べると、次のようになっています。
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              ◎感染経路
         夜の街    58人
         会食     18人
         職場      6人
         施設      5人
         家庭      2人
        その他      9人
         不明     26人
        ───────────
               124人
             ──2020年7月4日/朝日新聞
─────────────────────────────
 感染経路を見ると、「夜の街」と「会食」を合わせると、6割
を占めています。いずれも、マスクが使えず、どうしても「密」
になりやすい環境です。こういう環境に、感染力を持つ人が1人
でも入り込むと、感染が拡大してしまいます。いくら入店時に体
温チェックをしたり、手の消毒をしたりしても、感染を防ぐこと
は困難です。
 そこで、東京都の小池知事は、政府の緊急事態宣言に合わせて
4月に東京としての緊急事態措置を発令し、都民には徹底した外
出自粛、事業者には、休業要請、営業時間短縮、施設使用、イベ
ントの使用制限などを実施したのです。こういう都の要請に応じ
た事業者には、都から一定の協力金が支払われています。
 つまり、東京都は、店舗側には休業要請を出して店を閉めさせ
都民には、外出自粛を呼び掛けるという両方に制限をかけたので
す。それでも強制ではないので、店を開く事業者もあるし、そう
いう店に出向く都民はいるとはいうものの、人の流れを止めたこ
とで、1日の感染者数をなんとか1桁台に押さえ込むことに一応
成功しています。
 しかし、外出自粛を解き、休業要請を元に戻せば、感染者は再
び増大することは確実です。このEJの原稿は4日に執筆してい
ますが、感染者数は明らかに増加傾向にあります。再び緊急事態
措置を発令し、人の流れを止めることは、大規模なオーバーシュ
ートでも起こらない限り、できないと思います。このようにこの
コロナ禍はなかなか厄介であり、かなり長引く恐れがあります。
 ここで知っておくべきことがあります。毎日、東京都が夕方頃
に発表している感染者数は、東京都が各保健所から聞き取り、集
計したものに過ぎず、正確な数字ではないのです。そのため、そ
の後、随時、更新・修正されています。東京都は別に各保健所か
ら提出された発生届と確定日別に整理したものを「確定日付けに
よる陽性者数」としてウェブサイトに公開しています。
 つまり、保健所は、ある日に陽性として確定した人の数を都に
報告していますが、その人は検査を受けた日には感染していたの
ですから、その日を「確定日」としているわけです。これによる
と、毎日の報告数よりも、確定日の陽性者数の方が多い傾向が目
立っています。例えば、6月9日の発表数は12人ですが、確定
日別陽性者数は25人と倍増しているのです。ほとんどは確定日
の方が多いといえます。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/027]

≪画像および関連情報≫
 ●PCR検査増やせ大合唱の謎
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  ・相変わらずテレビでは「PCR検査増やせ」報道が多い。
  ・「国民全員にPCR検査を」と主張する専門家もワイド
   ショーに出演。
  ・100万人当り感染者率と死亡率が断トツに低い日本は、
   成功例ではないのか。
   前記事で「PCR検査増やせ派」がメディアを中心に勢力
  を増し続けている現状を指摘した。その後、自分が現役時代
  に関わっていたBSフジLIVE「プライムニュース」に、
  本庶佑京都大学大学院特別教授がゲストとして出演した回、
  (2020年4月22日放送)で「PCR検査を増やせ」と
  の趣旨の発言をしたとことを同番組の記事で知って驚いた。
  タイトルは、「PCR検査の数断然足りない」・・・ノーベ
  ル賞本庶佑教授が語るコロナ対策「検査は大学研究室でもで
  きる」だ。本庶氏の主張は明確で、医療現場の感染拡大を防
  がねばならない、ということだ。その上で、「私が一番心配
  していること。戦争でいうと一つの小隊がころっとやられる
  状況。             https://bit.ly/2Z20FXD
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東京都の新規感染者数/7月4日.jpg
 
東京都の新規感染者数/7月4日
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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