2020年06月22日

●「コロナ禍で中国を見る目の大変化」(EJ第5272号)

 現在、米国内で起きている習近平政権非難は、相当広範なもの
になっています。それは、中国寄りといわれる民主党リベラル派
からも、今回の新型コロナウイルス感染の情報を隠蔽し続けた中
国政府へ厳しい批判がぶつけられいることでわかります。
 それを裏付けるのは、2020年1月29日付の「ニューヨー
クタイムズ」紙に載った次のタイトルのコラム記事です。
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 コロナウイルスが広がり、全世界が中国の独裁体制への代償
 を払う。          ──2020年1月29日付
                 ニューヨークタイムズ紙
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 この記事を書いたのは、ニューヨーク・タイムズのベテラン記
者で、外交コラムニストのニコライ・クリストフ氏です。中国駐
在員を長く務め、中国に関する著作も多く、全米でも中国の専門
家として知られています。東京支局長だった時期もありますが、
日本に対してはあまり好感は持っていないようです。
 2013年12月26日、安倍首相が靖國神社に参拝したこと
に関しても、また、慰安婦のことに関しても、日本を非難する記
事ばかり書いている人です。奥さんが中国人ということも影響し
ているかもしれません。
 それほどの中国派のジャーナリストが、新型コロナウイルスに
関して中国を批判しているのです。これについて、産経新聞ワシ
ントン駐在客員特派員の古森義久氏は、上記のニコライ・クリス
トフ氏の記事の要点について、自著とウェブサイトで次のように
まとめています。
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◎中国政府がWHO(世界保健機関)に自国内の新型コロナウイ
 ルスの拡散を正式に通告したのは2019年12月31日だっ
 た。だが、中国内部ではこの情報は隠され、中国政府は対外的
 に感染が武漢市内だけに抑えられたという虚偽の報告をしてい
 た。その間、中国内ではこのウイルスは外国人にしかかからな
 い「愛国ウイルス」だなどという根拠のない噂が広がった。
◎中国政府は2020年1月23日に武漢市の「封鎖」を公式に
 宣言した。武漢市長は「ウイルスについて語ることは1月下旬
 まで許されなかった」と述べた。だが、それまでに武漢市内か
 らは、感染者を含む合計500万人の市民がすでに中国各地、
 世界各地へと移動してしまっていた。
◎感染者の最初の発見から公表までの2ヶ月ほどの期間は、感染
 自体が中央政府の指示で秘密にされた。そのため、各医療施設
 での検査、予防、治療などに必要な医薬品、器具、医療要員な
 どが致命的に不足する結果となった。(中略)
◎今回の情報隠蔽の理由の1つは、習近平主席が近年、公共に必
 要な情報の開示に役立つジャーナリズム、ソーシャルメディア
 非政府団体(NGO)、法律家集団などを体系的に抑圧し、そ
 の情報開示の機能を奪ってしまったことにある。これらの組織
 は以前から抑圧されていたが、習近平政権下ではその度合いが
 一段とひどくなった。           ──小森義久著
           『新型コロナウイルスが世界を滅ぼす/
      非常事態で問われる国家のあり方』/ビジネス社刊
                  https://bit.ly/3dfNhmD ─────────────────────────────
 中国政府は、2019年11月ないし、12月はじめにウイル
スの発生を確認すると、その情報を国内に封じ込め、関連情報を
発信する者を強権で取り締まっています。情報が国外に出ること
を恐れたのです。
 「自分の周囲では原因不明の病気にかかった者が増えている」
とか、「華南海鮮市場には近づくな」というような相当控えめの
情報を発信しただけでも、共産党組織に摘発され、警察に出頭さ
せられたうえで、「虚偽の噂の拡散」の間違いを認める文書に署
名させられるなど、訓戒を受けています。そのため、武漢市民は
病気のことを発信すると、犯罪者になるという噂が広がっていた
といいます。それでいて、武漢市当局は、新型コロナの感染拡大
に対して、医療面の措置を全くとっていないのです。
 中国政府が自国内のウイルスの拡散を正式に通告したのは、昨
年の12月31日のことです。そこから、1月23日の武漢市封
鎖までは、習近平主席とWHOのテドロス事務局長の二人三脚で
情報を隠蔽し続けてきています。推測ですが、早い段階からテド
ロス事務局長は、かなりの情報を掴んでいたものと思われます。
この1ヶ月以上にわたる隠蔽によって、中国からは、春節を利用
し、世界中に感染を広げる十分な数の感染者を世界に送り出すと
いう犯罪的行為を行ったことになります。
 もともとトランプ政権は、中国の人権問題に関して、あまり口
うるさくいう政権ではないのです。しかし、最近の米国には、中
国を政治、軍事、経済、人権などの幅広い領域にわたって批判す
る風潮があります。それが、今回の新型コロナの拡散で、習近平
政権のとった非人道的措置に関して、相当厳しい対応措置をとら
ざるを得なくなっています。
 コロナウイルスの災禍が米国に伝わり、感染が拡大すると、中
国政府の国際規範無視の言動が原因で、人権弾圧を批判する報告
書が続々と出されるようになっています。その主要な報告書には
次の3つがあります。
─────────────────────────────
 1.「2019年度年次報告書/中国に関する議会・政府委
   員会」/2020年1月上旬公表
 2.「北京政府のグローバルなメガホン」/フリーダムハウ
   ス/2020年1月15日
 3.人権擁護の国際組織「人権ウオッチ」による報告書(中
   国での人権弾圧)/2020年1月中旬公表
─────────────────────────────
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/016]

≪画像および関連情報≫
 ●トランプ氏、新型コロナで中国威嚇 「関係を遮断も」
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  【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は5月14日放映
  のFOXビジネステレビのインタビューで新型コロナウイル
  スへの中国の対応について「とても失望している」と重ねて
  不満を示した。同時に「私たちは多くの措置をとることがで
  きる。中国との関係を遮断することもできる」と表明した。
   トランプ氏は「もし関係を途絶えさせたら、5000億ド
  ル(約54兆円)を節約できる」とも述べた。2国間貿易の
  全面停止も念頭に強力な報復措置に動く姿勢を示したが、米
  大統領が断交とも受け取れる強い表現で中国を威嚇するのは
  異例だ。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とは「良
  好な関係にあるが、今は彼と話したくない」と語った。トラ
  ンプ氏の一連の発言には、大統領選を控えて米国での感染拡
  大について批判の矛先を中国に向けるため対中強硬をアピー
  ルする狙いがある。
   ニューヨーク証券取引所に上場している中国企業への監視
  を強める必要性にも言及した。米規制当局は、中国政府に阻
  まれ、米国に上場する中国企業の監査記録を審査できていな
  い。不正会計を防ぐ上で大きな障壁となっていた。米国側が
  監視強化や基準の厳格適用を進めれば、中国企業が米国での
  上場を取りやめ、ロンドンや香港の取引所に移るとの見方も
  示した。トランプ政権は年金基金にも圧力をかけた。連邦職
  員向けに確定拠出年金を運営する連邦退職貯蓄投資理事会は
  13日、中国株への投資を延期すると発表した。米国の年金
  マネーが中国企業の成長を支えるのを阻む狙いだ。
               https://s.nikkei.com/2USZtTV
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ニコライ・クリストフ記者.jpg
ニコライ・クリストフ記者
 
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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