2020年05月20日

●「厚労省のコロナ対策は遅れている」(EJ第5249号)

 対策は見えてきたようです。新型コロナウイルスの感染拡大を
阻止するには、ほとんど症状の出ていない軽症の感染者をいかに
して発見し、PCR検査を行い、隔離するかにかかっているとい
うことです。
 それには、PCR検査を増加させるしかありません。しかし、
日本の場合、PCR検査体制には多くの目詰まりがあって、現在
でも、一向に改善の兆しが見られないでいます。4月末現在の各
国のPCR検査の現状と当面の目標を以下に示します。これを見
ると、日本の検査数は、各国に比べると、一段と低い水準です。
人口比では、日本はドイツの14分の1です。安倍首相は、4月
6日に1日2万件の検査を目標に上げましたが、1ヶ月以上経過
しても、達成できていない情勢です。
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 ◎各国の1日の検査目標と感染者数/日本経済新聞
          現状    目標  新規感染者/1日
   米 国  23万件  29万件   2万7000人
   ドイツ   7万件  20万件     1700人
   英 国   3万件  10万件     4600人
  フランス   2万件  10万件     1400人
   日 本 0・9万件   2万件      380人
              https://s.nikkei.com/2WJLlOh ─────────────────────────────
 しかし、厚労省は、2020年5月15日現在、「目標の1日
2万件はすでに達成している」として、次のような報道が行われ
ています。
─────────────────────────────
 厚生労働省は15日、新型コロナウイルス感染の有無を調べる
PCR検査について、1日当たりの検査能力が約2万2000件
に達したと発表した。感染が疑われる人が検査を希望しても受け
られないとの不満が相次ぎ、安倍晋三首相が4月「1日2万件」
を目標に体制強化を掲げていた。厚労省によると、PCR検査は
国立感染症研究所や検疫所、民間企業、大学などに機器があり、
1日に検査可能な件数は5月13日時点で、1万9420件だっ
た。15日に民間で新たに2640件の検査が可能になり、全国
で2万2000件を超えた。国内の検査体制をめぐっては、諸外
国と比べてPCR検査の件数が少なく、感染の実態をつかめない
恐れが指摘されていたほか、検査を受けられないことで入院が遅
れるとの声が上がっていた。   ──時事ドットコムニュース
                  https://bit.ly/3dTp1al ─────────────────────────────
 厚労省が2万人は達成しているとしているのは、民間の数字を
加えたものですが、数字の問題ではないはずです。5月13日に
は、大相撲高田川部屋の力士、勝武士が、重篤な症状になってい
るにもかかわらず、医療機関をたらしい回しにされた挙句、亡く
なっています。民間病院は、院内感染を恐れて、どこも受け入れ
なかったそうです。何のための検査体制の確立なのかということ
が、厚労省にはわかっていないようです。
 ネットには、次の批判的な書き込みがアップされています。数
字の辻褄合わせをしても意味がないのです。検査の必要な人が全
員検査を受けられる体制にすることが大切なのです。
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 PCR検査『2万件に「拡充する」が、2万件「検査する」と
は、言っていない』/加藤勝信厚労相。厚生労働省『「募って」
いるが、「募集」していない』/安倍首相、自民党安倍政権、日
本新型コロナウイルス/20200501
                  https://bit.ly/3e7hgxZ ─────────────────────────────
 PCR検査の「目詰まり」になっているのは、人材不足に加え
て、検査用試薬、防護服、サージカルマスクなどのPCR検査に
不可欠な医療部品の不足が依然として解決していないからです。
今頃になっても、検査用の防護服やマスクがないなどとは、先進
国の日本としては、実にみっともない話です。
 確かに政府の対応は、全般的に遅いです。世帯当り2枚配布の
アベノマスク、国民1人当たり10万円給付、何も達成されては
いません。とくにアベノマスクに関しては、1ヶ月半を過ぎてい
るのに依然として5%ぐらいしか届いていません。多くのことが
PCR検査と同様なのです。
 朝日新聞社が16日と17日に実施した緊急の世論調査で、新
型コロナウイルスに対する政府の対応について、次のような厳し
い結果が出ています。
─────────────────────────────
      ◎安倍晋三首相が指導力を発揮しているか
        発揮している ・・・・ 30%
       発揮していない ・・・・ 57%
      ◎安倍内閣の支持率
          支持する ・・・・ 33%
         支持しない ・・・・ 47%
         ──2020年5月18日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 新型コロナ対策の国民の不満は、加藤厚労相の対応のまずさに
も原因があります。ものごとが徹底していないことに力を尽くし
ていないように見えるのです。加藤勝信氏は元大蔵官僚であり、
そのやり方はきわめて「官僚的」です。
 例の「目安が相談とか受診のひとつの基準のように誤解されて
いる」という誤解発言についても、本人は本心からそう考えてい
て、誤解のないように各保健所には何回も通達を出していると発
言しています。通達を出せば、下部組織はその通りに動くと考え
ているようです。いかにも官僚的です。そのため、すべてのこと
が遅くなってしまっているのです。
           ──[消費税は廃止できるか/090]

≪画像および関連情報≫
 ●「10万円給付」は6月以降に? なぜこんなに手続きが遅
  いのか/加谷珪一氏
  ───────────────────────────
   今回のコロナ危機では、日本政府が実施する各種支援策の
  手続きに異様に時間がかかるという問題が発生している。手
  続きがどれだけスムーズに実施できるのかは、その国の社会
  システムの完成度と比例しているが、日本の場合はどこに問
  題があるのだろうか。
   政府は、コロナ危機に対応するため、全国民を対象に一律
  10万円の支給を決定した。だが、実際の支払いまでにはか
  なりの時間がかかると言われており、人口の多い自治体では
  6月以降になる可能性もあるという。似たような支援策を実
  施したアメリカでは、決定から約2週間で振り込みが始まる
  など、手続きは極めて迅速だった。
   アメリカで素早い支払いが実施できたのは確定申告の制度
  によるところが大きい。アメリカはほとんどの人が自分で確
  定申告を行って税金を納めるので、税務当局は個人の年収や
  住所、口座番号を把握している。同国の給付金は家族構成や
  年収によって金額が変わるが、税務当局のシステムが自動的
  に金額を計算して、勝手に振り込んでくれるので国民は何も
  しなくてもよい。日本は源泉徴収制度を採用しており、企業
  に徴税業務を肩代わりさせているため、税務当局は基本的に
  一定年収以上の源泉徴収票しか企業から受け取らないなど、
  個人の正確な納税額や口座情報を把握していない。
                  https://bit.ly/2X8Qjmi
  ───────────────────────────

加藤勝信厚労大臣.jpg
加藤勝信厚労大臣.
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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