2020年04月24日

●「新型コロナ対策/日本は正しいか」(EJ第5235号)

 毎日、テレビでは、新型コロナウイルス感染拡大のニュースば
かりです。日に日に感染者と死亡者数が増えて行きます。安倍政
権の対応も毅然とはしておらず、後手後手にまわっているように
見えます。このままでは、日本でも、いわゆる「オーバーシュー
ト」が起こり、米国のニューヨーク州やスペインのようになるの
ではないかと心配になります。
 しかし、厚労省のクラスター対策班の感染学者たちは、そう考
えていないようです。彼らは今回の新型コロナウイルス封じ込め
対策に独自の考え方をもっています。この厚労省クラスター対策
班の考え方については、3月30日付のEJ第5216号でも特
集しているので、参照していただきたいと思います。
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    ◎2020年3月30日/EJ第5216号
     「日本のウイルス封じ込めの考え方」
             https://bit.ly/352gfE0
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 日本における新型コロナウイルスの感染者数を見て行くと、日
に日に感染者数は増えていますが、見方によっては、欧米の国と
比べると、日本の場合、一定の歯止めがかかっているようにも見
えることは確かです。
 とくに東京都の感染者数の場合、外出自粛要請の効果が少しず
つ出始めるとみられる20日頃からの感染者数を見ていると、1
日の最高を記録した17日の201人以降、20日は102人、
21日は123人、本稿執筆当日の22日は132人と、やはり
感染者数は抑えられているように見えます。もちろん、休日明け
の週のはじめは、検査数自体が少ないため減ることを考慮したと
しても、それはいえると思います。伸びは鈍くなっています。
 もうひとつ重要なデータがあります。それは、日本における新
型コロナウイルスによる死者数の異常な低さです。これについて
は、次のデータをご覧ください。
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◎2020年4月19日現在
          感染者数    死亡者数 10万人当
   日本  1万1849人    276人  0・2人
 アメリカ 73万5287人 3万9090人 11・9人
 スペイン 19万8470人 2万0453人 43・4人
 イタリア 17万5925人 2万3227人 38・4人
  ドイツ 14万0998人   4370人  5・2人
 中国本土  8万2735人   4632人  6・3人
        「10万人当」=人口10万人当りの死者数
         ──2020年4月21発行「夕刊フジ」
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 死亡者数の実数で見ても、日本の死者数の少なさは際立ってい
ます。人口10万人当りの死者数は実に「0・2人」と、米国、
スペイン、イタリアと2ケタ違います。どうして、これほど違う
のでしょうか。
 最近のワイドショーでは、ドイツや韓国を褒めたたえ、日本は
見習うべしという論調が多くなっています。韓国は、積極的にP
CR検査を行い、感染者数が急増しましたが、3月上旬から減り
始め、最近では、日本が増加するなか、韓国の感染者は1桁に迫
る水準になっています。
 ちなみに韓国では、米国やEU各国と異なり、都市封鎖を行っ
ていないし、日本のように、店舗に休業要請も行っていないので
す。したがって、ソウル市内は人出も多く、賑やかです。韓国は
日本と違って、ドライブスルー方式でのPCR検査を導入し、積
極的に検査を行い、1か月で隔離施設も1万人分を整備するなど
なかなか手際よく新型コロナウイルス対策を行っています。
 そして、「無症状」「軽症」「重症」でトリアージ(患者の重
症度を判断して治療の優先度を決める)し、「軽症」の感染者を
新設の「生活治療センター」に収容しているのです。
 そのため、文在寅大統領率いる与党「共に民主党」は、選挙で
圧勝しています。政府の新型コロナウイルス対策が国民から高く
評価されたからです。
 しかし、韓国の場合、さらに感染終息に大きな役割を果たした
と思われるのが「感染者の動向調査」です。これは、「生活治療
センター」に収容されていない「無症状」の感染者を追跡する調
査です。そのために、ソウル市西大門区に「統合官制センター」
を設置し、2500台の監視カメラを使い、感染者が現在どこに
いるかを追跡調査をしているのです。
 問題なのは、その一部データを市民にも公開し、市民はスマホ
のアプリで、実名こそ記載されていないものの感染者の立ち寄っ
た飲食店の具体的な名前や場所、日時などを細かく知ることがで
きます。例えば、感染者が訪れた場所が100メートル以内にあ
ると、次のようなメッセージが流れるのです。
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 感染者訪問地域から75メートルに接近。感染者が4月6日
 に訪れた地域です。
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 日本では、考えられないことです。「ここまでやるか」という
感じです。これでは中国と同じです。感染者といえども、韓国の
国民です。韓国政府は、PCR検査によって知り得た個人情報を
国民に公開しているのです。日本では絶対にできません。
 こういう一連の経緯を知ると、日本の新型コロナウイルスに対
する政府の対応が誤っていたのかというと、必ずしもそうとはい
えないのです。とくにこのウイルスによる致死率については韓国
には負けていません。ネット上には、「日本の致死率は韓国より
も高い」とのレポートもたくさん出ていますが、日本の致死率の
低さには、ちゃんとした理由があるのです。これについては、来
週のEJで明らかにしていきます。
           ──[消費税は廃止できるか/076]

≪画像および関連情報≫
 ●新型コロナ対応の「優等生」は「台湾・韓国・ドイツ」
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   新型コロナウイルス感染拡大への対応が他の国々と比べれ
  ばうまくいっていると評価されることが多い国・地域を3つ
  挙げるなら、台湾、韓国、ドイツだろう。それぞれの経緯に
  ついてまとめてみた。
  ◎台湾:台湾の人口は、約2360万人(2020年2月時
  点)だが、新型コロナウイルス感染者数は393人、死亡者
  数が6人にとどまっている(4月14日衛生福利部疾病管制
  署発表)。政府の巧妙な対処によってウイルスの封じ込めに
  成功している。4月14日と4月16日は新たな感染者が1
  人も確認されなかった。
   功労者の1人は16年にデジタル担当の政務委員(大臣)
  に起用された天才ホワイトハッカー、オードリー・タン(唐
  鳳)氏である。この人物は、マスクの在庫データを管理する
  アプリを活用し、どの店にどのくらい在庫があるのかを市民
  が常に把握できる状況をつくり上げた。
   これにより、買い占めなどの混乱を防ぐために政府がマス
  ク全量を買い上げて流通を管理する制度(2月6日導入)が
  円滑に運営されるようになった。筆者の知り合いの台湾人は
  タン氏の話をするときは本当に誇らしげである。
  ◎天才を起用する度量の大きさ:そして、そうした民間の天
  才を大臣として起用する度量を示しつつ、水際対策や入国者
  の隔離措置を徹底し、医療用マスクの計画的増産を主導した
  のが、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統である。
                  https://bit.ly/2XY3tEM
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韓国の感染者追跡プログラム.jpg
韓国の感染者追跡プログラム

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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