減税の話が出ています。EJの今回のテーマは、昨年来のテーマ
である「消費税」の続編としてはじまっているので、今日はこの
問題を取り上げることにします。夕刊フジの田村秀男氏のコラム
『独話回覧』などを参考にさせていただいています。
消費増税直後の昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)は
前期比年率換算で「マイナス7・1%」という誰もが驚く下落率
でした。これは、東日本大震災直後を上回る景気の急落です。明
らかなる増税の大失敗であるといえます。
それに加えて、今年1〜3月期は、突然降って湧いた新型コロ
ナショックでマイナス成長が加速し、2008年9月のリーマン
・ショック後の10〜12月期の「マイナス2・4%」を確実に
下回るといわれています。2期連続のマイナス成長です。
これに対して、消費税増税を仕組んだ内閣府の財務官僚と経産
官僚たちは、昨年10〜12月期の景気の落ち込みの主因は消費
増税ではなく、台風と温冬による農作物や道路などのインフラが
ダメージを受けた結果であるといっています。問題をすり替えて
真の原因を隠蔽する──彼らの手口ですが、またしてもこんな卑
劣な対応をやっているのです。
こうした官僚たちや、財務省からの指令で安倍政権の提灯持ち
を務める御用経済学者たちに対して、田村秀男氏は、次のように
怒りをにじませながら、痛烈に批判しています。
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台風被害は、東日本に集中しているのに、台風の影響を受けな
かった西日本の消費の落ち込みが激しかった。暖冬というなら、
衣料品需要への影響に集中するはずだが、小売りの売り上げ減は
全品目に及んでいる。見え見えの嘘を貫き通す閣僚、官僚やエコ
ノミストには良心のかけらもないようだ。
コロナ恐慌不安に対し、日銀の黒田東彦総裁は小出しの追加緩
和で応じようとし、麻生太郎財務相は、財務官僚の振り付け通り
財政出動を否定する。家計消費意欲が増税によって致命的なまで
に委縮した惨状を、日銀、財務省とも無視する。財務官僚OBの
黒田氏や東大などの財務省御用経済学者たちは安倍首相に、金融
緩和によって、需要減をカバーできると弁じたが、とっくに露見
した嘘っぱちを恥じ入ることはない。
──2020年3月16日発行『夕刊フジ』
「田村秀男/独話回覧」より
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財務省は、消費増税によって個人消費がどのように落ち込もう
とも、国民がどのように反対しようとも、消費税の税率を何とか
20%台まで引き上げたいと考えています。なぜなら、財務省に
とって消費税はそれほどおいしい税金だからです。まして苦労に
苦労を重ねて引き上げた税率を「下げる」などということには絶
対に反対します。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延により、麻生財務相じゃな
いが、経済が未曾有の危機に陥りつつあります。そうなると、自
民党の内部からも消費税減税の声が上がっています。国民は、消
費増税をするとき、安倍首相や菅官房長官が、何度も何度も繰り
返した次の言葉を忘れていないからです。
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リーマン級の経済危機でも起きない限り、消費増税を予定通
り実施する ──安倍首相
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増税実施後のことではあるものの、そのリーマン級の経済危機
が日本のみならず、世界中で起きようとしているのです。増税の
引き下げをいまやらずしていつやるのでしょうか。
この消費税の減税について、現在出ているのは、次の3つのプ
ランです。
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@消費税を当分0%に下げる
A消費税を当分5%に下げる
B現金給付によって対応する
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現在、自民党内部から出ているプランは、@かAですが、首相
周辺、つまり内閣府は、減税を否定し、Bを主張しています。こ
れまで減税が取り沙汰されると、必ず出てくるのはBです。しか
し、Bをやっても、その恩恵が受けられる対象は一部に限られ、
大きな効果が出ないし、すべて貯蓄に回ってしまい、消費の底上
げにはならないのです。消費税は、消費に対する罰金であり、そ
の罰金がなくなるとなれば、消費する人が増えるはずです。
どうしても減税せざるを得ない事態に対処し、財務省は既に手
を打っているようです。財務省寄りのコメントを発信するテレビ
のコメンテーターの一部は、上記@〜Bのほかのもうひとつの提
案をしています。
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C軽減税率を全てに拡大する
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現在、食料品などには軽減税率として8%の税率がかかってい
ます。この軽減税率8%を全商品に拡大する案です。つまり、2
%の引き下げです。これが最も手続き的には簡単な案であるとい
われます。財務省としては、消費税の減税をどうしても行わなけ
ればならない場合、何とかCで食い止めようとしているのです。
つまり最後の砦です。
しかし、この程度の減税ではインパクトが弱いのです。もとも
と、食料品に対する税率の8%は高過ぎます。消費税を採用して
いる国では、食料品などの生活必需品の税率はすべて0%です。
そして、減税反対派が必ずいう言葉があります。それは「下げ
るのはいいが、元に戻すときは大変である」です。さらに「下げ
た分の財源はどうするのか」です。
──[消費税は廃止できるか/051]
≪画像および関連情報≫
●【藤井聡】最大のコロナショック対策は、「消費税凍結」で
ある。〜「非常時には消費減税は効果が無い」を打ち払え〜
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驚きました。コロナ大不況で、緊急経済対策が必要なのは
今、誰の目にも明らか。そして、そんな対策の中でも、消費
のすさまじい冷え込みを緩和するための消費税減税、さらに
は廃止がとりわけ効果的なのは論を待ちません。そう思って
いると、こんなニュースが飛び込んできました。
「非常時はみんな買い物をしないから、減税しても効果が
ない」一体誰がこんなこと言ってるのかとよく見てみますと
立憲民主党の枝野代表でした。 https://bit.ly/2x1JdHb
曰く、「背景には「責任政党としての自負」(立民関係者)
に加え、れいわ新選組の山本太郎代表が、「消費税率5%」
を次期衆院選での野党共闘の条件にしていることがある。立
民は国民などとの合流が頓挫したばかりで、野党が減税でま
とまり、れいわに主導権を奪われることを警戒している」
この報道が正しいのだとすれば、国民の暮らしよりも、自
らの政治的利益を追求しているということですから、政権の
持続を第一目標に掲げる現政権と何も変わらないということ
になってしまいます。誠に情けないことこの上ない話ですが
・・・「今、消費減税をしても仕方ない」という意見は、与
党の中でもよく聞きますし、そして、テレビでもコメンテー
ター達が何度も発言しています。彼らは一様に「所得補償」
や「融資」は賛同するのですが、消費減税、消費税凍結には
賛同しない・・・というのは、はっきり言って、物事を何も
分かっていないからに他なりません。
https://bit.ly/3b2B83I
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コロナ不況対策の消費税減税に反対する枝野代表