せることになったのでしょうか。これについて、経済評論家で作
家の三橋貴明氏が、ネット上の何本ものレポートで、分析してお
られるので、要約してご紹介することにします。
MMTに反対する日本の経済学者たちは、はじめのうち、次の
ように主張していたのです。
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MMTで財政赤字を増やすと、国債金利が急騰し、日本は財
政破綻、デフォルト(債務不履行)する!
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添付ファイルには、2つのグラフを付けていますが、上のグラ
フを見てください。このグラフを見ると、日本政府の長期債務残
高(左軸/兆円)は、右肩上がりで増加していますが、10年物
国債の長期金利(右軸/%)は減る一方です。
さすがにこれを突き付けられると、MMTに反対する日本の経
済学者たちは、こそこそと論理をすり替えて、次のようにいい出
したのです。三橋貴明氏によると、日銀審議委員の原田泰氏をは
じめとするリフレ派までもがこれに同調しています。
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MMTで財政赤字を増やすと、インフレ率上昇を制御できな
くなる!
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MMTでは、自国通貨建ての国債のみを発行している政府が財
政的な予算制約に直面することはないとします。しかし、経済は
生産と需要について実物的あるいは環境的な限界というものがあ
ります。それがインフレ率です。
インフレ率は、総需要と供給能力のバランスで決まりますが、
これまでの経済学では、インフレ率は「おカネの発行量」で決ま
るとされています。しかし、2012年末に安倍政権が発足し、
2013年に黒田東彦元財務官が日銀総裁に就任すると、異次元
金融緩和政策(金融政策)が展開され、「マネタリーベース」を
約360兆円に増やしたものの、インフレ率はコアコアCPIで
ほぼゼロに終っています。
コアコアCPIというのは、物価変動を把握しやすいように、
価格変動の大きい食料、エネルギーを除いた物価指数を意味して
います。ちなみに、エネルギーに含まれる品目は、電気代や都市
ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリンなどです。
「マネタリーベース」とは、預金準備と現金をまとめたもので
あり、これは中央銀行が直接発行できるお金です。預金準備とは
民間銀行が日銀に対して持つ当座預金口座にストックされている
お金のことです。これに対して実際に、世の中に出回っているお
金(現金+預金)を「マネーストック」といいますが、お金の量
を増やしてインフレ率に影響を与えるには、マネーストックを、
もっと増やす必要があるのです。
マネタリーベースに対するマネーストックの割合を、「信用乗
数」というのですが、主流派のマクロ経済学の教科書には、「信
用乗数は一定である」と書いてあります。そうであれば、中央銀
行がマネタリーベースを増やすと、世の中に出回るお金の総量で
あるマネーストックも同じ割合で増えるはずです。しかし、実際
はそうなっていないのです。
MMT反対派は、MMTによって財政出動した場合、いったん
インフレ率が上がり始めると、MMT賛成派は増税をするなどコ
ントロールできるというが、インフレは制御できなくなるといっ
て反論します。そこで、添付ファイルの下のグラフを見てくださ
い。ここに1990年12月から2019年9月までの日本のイ
ンフレ率が赤い折れ線グラフで示されています。青い折れ線につ
いては、ここでの話には関係がないので、無視してください。
これを見ると、1994年以降、多くの期間でインフレ率がマ
イナスになるデフレに陥っていますが、2014年に急騰してい
ます。これは、もちろん消費税の5%〜8%への増税によるもの
です。これについて三橋貴明氏は次のように述べています。
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図のインフレ率を見れば分かるが、我が国のコアコアCPIは
2014年4月に急増し、15年4月に急落した。理由はもちろ
ん、消費税増税である。消費税増税は強制的な物価の引き上げで
あるため、確かに一時的にインフレ率は高まる。とはいえ、実際
に需要が増えたわけではないため、1年後に増税による上乗せ分
が消えると、インフレ率は急落するわけだ。
さらに重要なのは、消費税増税という財政政策による需要縮小
が、15年4月以降のインフレ率も抑制してしまったという点で
ある。コアコアCPIは、17年にマイナスに突入し、その後も
ゼロ近辺で低迷し続けている。
つまりは、金融政策ではなく財政政策による需要の強制的な縮
小(消費税増税)がインフレ率を抑制したという「事実」が、過
去5年間の日本の「実績」により証明されたわけである。
分かりやすく書くと、例えば、財政拡大によりインフレ率が高
まり、政府が緊縮路線に転じたとしても、インフレ率上昇が止ま
らないならば、それこそ、「消費税増税」をすればいいという話
だ。消費税は消費に対する罰金である。罰金を増やされた国民は
消費縮小に転じるため、総需要は間違いなく抑制される。結果、
インフレ率は落ち着く。 http://exci.to/2Wgmz8h
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これではっきりしたことがあります。それは、金融政策による
インフレ率のコントロールには限界があるということです。なぜ
なら、360兆円ものマネタリーベースの拡大にもかかわらず、
日本のインフレ率を引き上げ、デフレからの脱却を実現できない
からです。デフレというのは、総需要が不足する経済現象です。
政府が財政を拡大し、需要を創出しない限り、デフレ脱却は永遠
に実現しないまま、日本はどんどん貧しくなっていきます。
──[消費税は廃止できるか/050]
≪画像および関連情報≫
●なぜデフレ脱却ができなかったのか:黒田日銀の5年を振り
返る/渡辺務氏(2018年2月6日)
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黒田東彦日本銀行総裁は2%の物価上昇を政策目標に掲げ
てきたが、日本経済は、依然として達成にほど遠い状態にあ
る。筆者は、値上げに慎重な企業行動がデフレ脱却の障害に
なっていると指摘する。
日銀の黒田総裁による異次元金融緩和の開始から間もなく
5年になる。日銀は2%の消費者物価上昇を目標として掲げ
大規模な量的緩和やマイナス金利政策を実施してきたが、現
状、消費者物価上昇率(除く生鮮食品、エネルギー)は前年
比0・3%(2017年12月)であり、デフレからの脱却
を果たせていない。しかし5年間の緩和を通じ、デフレ発生
の仕組みについて新たに見えてきたことは少なくなく、デフ
レ脱却に向けて今後何をすべきかも明らかになった。以下で
は企業の価格設定行動の視点から物価の現状を整理する。
https://bit.ly/3d227y5
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日本政府の長期債務残高と長期金利/日本のインフレ率