いの現況について述べることにします。MMTを支持していると
されるバーニー・サンダーズ上院議員が善戦しているからです。
既に述べているように、MMTの主唱者の一人のステファニー・
ケルトン教授はサンダーズ氏の政策顧問を務めています。ケルト
ン教授は、前回の民主党候補指名争いでも、サンダーズの政策顧
問をして、ヒラリー・クリントン氏と戦っています。
勝敗を決めるとされる14州の予備選が集中した「スーパー・
チューズデイ」では、ジョー・バイデン前副大統領が10州を制
し、優位に立っています。
緒戦に優位だったビート・ブティジェッジ前インデアナ州サウ
スベンド市長、マイケル・ブルームバーク前ニューヨーク市長、
エリザベス・ウォーレン上院議員は撤退を表明し、ブティジェッ
ジ氏とブルームバーク氏は、バイデン氏支持を表明、現在、バイ
デン氏が優位に立っています。
現在の状況について、大前研一氏は、夕刊フジのコラム「ニュ
ース時評」で次のように書いています。アメリカの事情に詳しい
大前研一氏のこのコラムは、興味ある情報が満載で、私はいつも
愛読しています。
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私がサンダーズのアドバイザーだったら、この状況を打開する
ために、副大統領候補にエリザベス・ウォーレン上院議員の指名
を勧めるだろう。ウォーレン氏は、候補者争いから降りた後、だ
れを支持するか明らかにしていない。
このウォーレンという女性は、男をやり込めることにかけては
天才的といってよい。民主党の候補者が集まったテレビ討論会で
も、ブルームバーク氏を昔のパワハラ、セクハラ問題でコテンパ
ンにやっつけた。ブルームバーク氏はマイク・タイソンに殴られ
たようにボコボコにされた。
さらにサンダースとも、取っ組み合いのケンカをする勢いだっ
た。このパワー、女性問題の黒い過去を持つドナルド・トランプ
大統領相手にも通用するのではないか。
──2020年3月13日発行「夕刊フジ」より
「サンダーズ氏逆転へ“最強タッグ”を」
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エリザベス・ウォーレン上院議員は、破産法などを専門とする
大学教授を経て、上院議員に就任。大統領選に向けて富裕層への
増税案など数多くの政策を発表しています。選挙集会の後、聴衆
との写真撮影に長時間応じることでも話題となりました。支持率
でトップに立った時期もありましたが、予備選が集中した「スー
パーチューズデー」では、地元の東部マサチューセッツ州でも3
位と低迷し、撤退を表明しています。
記者団に「大統領選からは撤退するが、理不尽な状況に置かれ
た勤勉な人々のために戦うことはやめない」と語り、今後誰を支
持するかについては「時間が必要」と明言を避けています。
サンダース氏は、自らを社会主義者といっていますが、大前研
一氏によると、サンダース氏は真面目な人で、かなり長い間、バ
ーモント州リッチモンド市の市長を務めており、素晴らしい業績
を残しているのです。貧困層の住宅問題を解決したり、再生エネ
ルギーを利用して環境問題にも前向きで取り組むなど、単なる左
派ではない。しかし、この実績が全米に知られていないことが、
ネックになっています。
MMTを取り入れると、現在米国の若者が苦しんでいる、学生
ローンも解決できるし、教育の無償化も実現します。それに、日
本では考えられないことですが、米国では、どんなに大金持ちや
富裕層でも、親が学費を出すことはないのです。ですから借入を
するのですが、これがかなりの負担になっていて、私立大学の平
均授業料が年間で3万6900ドル、約400万円あまりになっ
ています。このように、学生ローンを抱えている人は4500万
人もいるのです。
それにサンダーズ氏は、ニューヨークのウォール街のことを気
にしない政策が出来る大統領候補であるといえます。富裕層から
カネをとって、貧困層に回す政策は米国の若者に受け入れられて
おり、大変人気があるのです。
これに対して、ジョー・バイデン氏は、オバマ政権の副大統領
として知名度は高いし、黒人に人気があるといわれており、それ
に社会主義者のサンダーズ氏ではトランプ大統領に勝てないと思
われているので、このままでは、民主党の大統領候補の指名を受
けるといわれています。しかし、大前研一氏は、バイデン氏につ
いて、次のように厳しく論評しています。
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現在、穏健派で、黒人票を持っているといわれるバイデン氏が
圧倒的に有利だとみられている。しかし、黒人票に強いというの
は本当なのか。私は疑問を持っている。
バラク・オバマ前大統領の下で副大統領を8年やっていたとい
うことが根拠になっているだけ。オバマ氏の背後霊を使いながら
戦っているに過ぎない感じがする。だいたい、バイデン氏は、8
年の間に何か実績があるのか。息子をウクライナや中国に送り込
んで儲けさせていただけだ。
──2020年3月13日発行「夕刊フジ」より
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民主党の大統領候補が決まっていない時点でのAIの予測では
トランプ大統領の再選はないという予測になっているそうです。
どれほどの精度かは不明ですが、トランプ大統領も万全の状態で
ないことは確かです。それに突如巻き起こった新型コロナの対策
の是非も再選に影響してくると思います。
AIは、民主党の大統領候補をバイデン氏であると推定し、ト
ランプ敗北を予測したものと思われますが、サンダーズ氏であっ
たら、MMTも絡んで、もっと面白いことになると思います。
──[消費税は廃止できるか/048]
≪画像および関連情報≫
●2020年の注目ートランプの再選はありか、なしか。
世界はどう見る?
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これはおそらく、今年最大の問題ではないにしても、大き
な問題の一つに数えられるでしょう。ドナルド・トランプ氏
は11月に米大統領に再選されるでしょうか。
トランプ大統領が貿易協定の再交渉や軍事同盟を推進し、
反移民政策や入国禁止まで実施し国際的緊張を高めているこ
とから、アメリカと他国の関係性がトランプ政権の前面に出
ています。
しかし、米国での選挙が近づいている今、世界が彼をどう
思うかが、問題なのでしょうか。最近のグローバルアドバイ
ザー調査では、トランプ氏が米大統領に再選されるかどうか
を世界33か国の22500人以上の調査対象者に尋ねまし
た。その結果は、人々が考えているほど明確ではなく、独自
のナショナリストや移民排斥主義者の波により、国々の間で
二極化が見られます。
全体では、調査対象者の44%がトランプ氏が大統領に再
選される可能性は低いと回答しましたが、35%は再選はあ
り得ると考えています。
トルコ(57%)、韓国(56%)、フィリピン(55%)、イ
タリアとベルギー(53%)の人々は、トランプ氏が「再選さ
れない」と回答する傾向が強く、香港(54%)、イスラエル
(53%)、インド(48%)、米国(46%)、英国(42%)で
は再選すると回答する傾向が強く出ていました。
https://bit.ly/38KfdN2
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サンダーズVSバイデン