つを分けて考える必要があります。
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1.「国」と「政府」は分けて考えること。国という場合は、
政府の他に「民間(企業と個人)」が入る。
2.「政府」と「個人」は分けて考えること。個人の世界での
常識は政府の世界では必ずしも通用しない。
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「1」に関しては、ここまでのEJの記述では、峻別してきて
います。財務省は、1100兆円を超える借金を「日本の借金」
と表現し、国民一人当たり876万円の借金になるとその大きさ
を国民にアッピールしています。増税をやり易い環境を作るため
の財務省のプロパガンダです。
これは正しくないのです。1100兆円を超える借金は、国で
はなく政府の借金です。政府の借金を例えるのであれば、個人で
はなく、企業のはずです。政府と企業は個人よりも似ていること
が多いからです。しかし、財務省は、巧みに政府の借金を企業で
はなく、個人にすり替えています。
「2」に関してはMMTを正しく捉えるために必要になる考え
方です。個人の世界の常識や慣習は、必ずしも政府レベルでは通
用しないことが多いからです。具体的には、政府が借金をするこ
とは、個人が借金をすることとは違うということです。
個人の世界では、借金はなるべくしない方がいいし、返済能力
レベルを超える借金はすべきではありません。必要に迫られて借
金をした場合は、返済計画に基づいて、なるべく早く返済するの
は世間の常識です。
しかし、政府の借金については、いわゆる世間の常識になって
いる借金に対する常識や慣行は通用せず、政府と個人はあくまで
分けて考えるべきです。とくにMMTを正しく理解するためには
そうすべきです。
政府の借金は国債を発行することで行われますが、日本の場合
ほとんどが国内で消化されているので、それを保有する人にとっ
ては資産となります。つまり、政府の借金は、国民の資産になっ
ているのです。
MMTについて、法政大学大学院政策創造研究科教授の真壁昭
夫教授は、MMTに関する自著で次のように述べています。
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もし皆さんが、「皆さんは働いて、お金を稼ぐ力を持っていま
す。その力を裏付けに、自由にお金を借りることができます。返
済の問題を気にする必要はないから、どんどんお金を借りて、食
事でも旅行でも、好きなことを思う存分楽しんでください」とい
われたとしましょう。
皆さんがそれを信じると仮定すると、多くの人がお金を借り、
消費や投資を行います。その結果、モノやサービスを提供した人
は収入を手にします。企業の儲けも増えるでしょう。これは、借
金が資産を生むことを意味します。
これと同じようなことを、MMTの専門家たちは、国単位で実
施しようと考えています。「国は徴税力を裏付けに、自分の国の
通貨で自由に債務を発行できる。通貨の発行は思うがままにコン
トロールでき、借金を返済できなくなることは心配する必要はな
い」と主張しています。その上で彼らは、借金が経済の活動を活
発化させ、国民の資産(富)を増加させ、望ましい経済環境を達
成できると考えます。 ──真壁昭夫著
『MMT(現代貨幣理論)の教科書/日本は借金し放題?暴論
か正論かを見極める』/ビジネス教育出版社
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個人の借金と政府の借金で同じことがひとつあります。お金を
借りると、そのレンタル料として、金利を貸し手に支払わなけれ
ばなりません。金利がかかることは、政府の借金も個人の借金も
同じです。しかし、現在日本では、金利が非常に低い水準で推移
しています。2020年2月時点の長期金利(10年物国債の金
利)は、マイナス0・105%です。
もうひとつ、これに加えて日本の場合、物価もほとんど上昇し
ていない。しかも経常収支は黒字であり、海外から多くのお金を
受け取っており、企業は多くの資金を保有しています。こんな状
況下において、日本は短期間の間に財政再建と称して消費税の5
%を10%に倍増させています。わざわざ個人消費を冷やし、景
気を悪化させ、デフレを長期化させようとしています。
MMTの主唱者は、物価に関して、どのように考えているので
しょうか。
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MMTを支持する専門家らは、「物価の上昇を怖がるな」と説
いています。インフレのリスクを怖がると、政府の財政政策が慎
重になってしまい、結果的に、景気の回復が思うように進まなく
なってしまうからです。MMTでは、政府には物価をコントロー
ルする能力があると考えます。
例えば、政府が大規模に債券を発行して、インフラ投資などの
公共事業を進めたとしましょう。公共事業が始まり、多くの人が
建設現場などで働けるようになりました。コンクリートやアスフ
ァルト、橋などの建設に使われる鋼材など、多くのモノが必要と
されます。モノが必要とされることを「需要」といいます。より
多くのモノが必要とされる場合、景気が回復する中で、需要が高
まり、モノの価格が持続的に上昇する。これが、インフレです。
──真壁昭夫著の前掲書より
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MMTにとって、物価は財政支出を続けるかどうかの重要な尺
度になっています。MMTでは、政府が望ましい物価の水準を定
め、その水準が達成されるまで、財政支出を進めればよいと考え
ます。現在、アベノミクスで日銀が2%の物価目標を追っている
のとよく似ています。 ──[消費税は廃止できるか/040]
≪画像および関連情報≫
●MMTという妖怪が徘徊している/三輪晴治氏
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MMTが徘徊し始めてから,世界の多くの経済学者や政府
の役人が躍起になって,それは魔物だ,でたらめな理屈だと
騒ぎ立てている。かつて天動説の時代に,地動説が唱えられ
始めたときのようである。
MMTという妖怪の正体は次のようなものであるらしい。
「為替が変動相場制をとる国で,その国の自国通貨建てでの
国債は,いくら発行しても財政破綻になることはない」とい
うものである。そしてこの妖怪には尻尾がついている。それ
は「供給能力、つまりインフレ率という国債発行の上限はあ
る」ということ。
そして「デフレ,イノベーション力の衰退,富の格差など
によりその国の経済のバランスが崩れているとき,その崩れ
を是正し,経済の活力をつけるために必要な資金であれば,
それがいかに大きなものであっても政府がそれを供給しても
問題はない」。MMTの基本の考え方は「国の債務は国民の
資産である」という「信用創造」の理論と事実である。
世界の経済学者,政府,政治家は,この妖怪についていろ
いろの欠陥をあげつらい,批判している。最も多い批判は,
MMTではハイパーインフレーションになるというものであ
る。MMTはインフレになれば金の供給をストップし,増税
をすればよいというが,それを実際にコントロールすること
は不可能だと言う。 https://bit.ly/2wZzjWl
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真壁昭夫教授