月期の国内総生産(GDP)の数値が発表されたのです。
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◎GDP/2019年10月〜12月期(前期比)速報値
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実質GDP ▲1・6%(年率6・3%)
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個人消費 ▲2・9%
住宅投資 ▲2・7%
設備投資 ▲3・7%
公共投資 1・1%
内需寄与度 ▲2・1%
輸出 ▲0・1%
輸入 ▲2・6%
外需寄与度 0・5%
名目GDP ▲1・2%(年率4・9%)
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10月に消費増税をしているので、実質GDPが前期比で相当
程度落ち込むのは十分予測されたのですが、市場予想の平均値は
年率「▲3・9%」、かなり厳しい予測でも「▲4・5%」程度
であったのです。それが「▲6・3%」ですから、明らかにネガ
ティブ・サプライズであるといえます。
この前期比6・3%という数字はきわめて深刻です。これは、
個人消費の急減を主因とするマイナス成長であり、消費増税によ
る悪影響が、当初予定されたよりもはるかに大きかったことを示
しているからです。前回の5%から8%への3%の消費増税は、
直前の1〜3月期の駆け込みと直後の4月〜6月期の反動が次の
ように明確であったのに対し、今回は、増税前の盛り上がりがな
かったのに、増税後の落ち込みが大きいのです。
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直前3ヶ月 直後3ヶ月
前回(2014年) +4・1% ▲7・4%
今回(2019年) +0・5% ▲6・3%
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これに関して、第一生命経済研究所経済調査部の主席エコノミ
ストの新家義貴氏は、次のように分析しています。
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今回の消費増税では、そもそもの税率引き上げ幅が2%と14
年の3%引き上げと比べて小さいことに加え、軽減税率やキャッ
シュレスポイントの導入、幼児教育無償化等、多くの対策が実施
されたことから、
@需要平準化策の効果で駆け込み需要や反動減は相当程度抑
制される、
A負担増が限定的であるため、実質購買力減少に伴う消費の
減少は小さななものにとどまる、
との見方が当初は多かった。だが実際には、駆け込み需要も反動
減も意外に大きく、負担増による下押しも予想以上に大きかった
印象だ。今回の落ち込みについては、「前回の増税時よりも個人
消費の落ち込みは小さかった」と評価するよりも、「引き上げ幅
が前回よりも小さい上、これだけの対策を実施したにもかかわら
ず、想定以上の落ち込みとなった」と見る方が妥当と考える。
https://bit.ly/32j58oE ─────────────────────────────
これに対して安倍首相は、実質GDPが「▲6・3%」になっ
たことについて、2月17日の衆院予算委員会において、次のよ
うなノーテンキな答弁しています。
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おもに個人消費が消費税率引き上げにともなう一定程度の反動
減に加え、台風や暖冬の影響を受けたことから、前期比マイナス
に転じました。良好な雇用、所得環境に加えて、今後、経済対策
の効果が発生していくことを踏まえれば、我が国、経済は基調と
しては今後とも内需主導の緩やかな回復が継続していくものと考
えております。──2020年2月17日/衆院予算委員会での
安倍首相の答弁
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要するに安倍首相がいいたいことは、軽減税率やキャッシュレ
スポイント還元などの効果により、駆け込み需要が0・5%と小
さかったのだが、台風や暖冬の影響を受けて、前期比マイナスに
なったものと、消費増税の影響を台風や暖冬のそれにすり替えて
いるのです。
これに対し、既出のエコノミストの新家義貴氏は、新型肺炎に
よる悪影響もあって、1〜3月期もマイナス成長になるとして、
次のように述べています。
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元々筆者は、@増税に伴う家計負担増の影響が残存することに
加え、そもそもの所得の伸びが弱いことから、個人消費の戻りは
鈍いものにとどまること、A輸入の反動増や在庫削減の動きが成
長率を押し下げること、等から1〜3月期の反発は、10〜12
月期の落ち込みの大きさの割に小幅なものにとどまると予想して
いた。そこにさらに追い打ちをかけるのが新型肺炎による悪影響
である。中国人観光客の急減に伴ってサービス輸出が落ち込むこ
とに加え、中国経済の悪化により財輸出も下押しされる可能性が
高い。工場の操業停止によって中国における生産活動は大幅に落
ち込んだとみられることに加え、サプライチェーンを通じた悪影
響も懸念されており、日本からの輸出にも少なくとも短期的には
大きな悪影響が及ぶとみられる。こうした下押しを考えると、1
〜3月期についてもマイナス成長が続く可能性がある。
https://bit.ly/32j58oE ─────────────────────────────
──[消費税は廃止できるか/034]
≪画像および関連情報≫
●10〜12月GDP大幅減で露呈「日本の脆弱性
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今回のGDP(国内総生産)下落が、いかにインパクトが
大きいのかについては、2019年における各四半期の数字
を見れば一目瞭然である。2019年1〜3月の実質成長率
(四半期ベース)はプラス0・6%、4〜6月は、プラス0
・5%、7〜9月期はプラス0・1%と徐々に低下していた
が、10〜12月期では一気にマイナス1・6%となった。
これを年率換算すると、6・3%にもなる。
10〜12月期の数字が悪いことは当初から分かっていた
ことであり、場合によってはマイナス成長に転じる可能性に
ついても指摘されていたが、ここまで数字が悪いとは思って
いなかった人も多かったと考えられる。項目別では何かが大
きく足を引っ張ったのではなく、景気とは無関係に決まる政
府支出を除き、ほぼすべての項目が大幅マイナスとなった。
GDPの約6割を占める個人消費はマイナス2・9%(以
下すべて四半期ベース)、住宅はマイナス2・7%、企業の
設備投資に至っては3・7%ものマイナスである。10月の
増税で個人が消費を絞り、住宅購入にもブレーキがかかった
と見られるが、設備投資が大幅なマイナスということは企業
心理も著しく悪化したことを示している。もともと企業は、
国内市場に悲観的で設備投資を抑制してきたが、消費増税を
きっかけにさらに将来への投資を削減した格好だ。
https://bit.ly/39SC3CY
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実質GDP成長率/10〜12月期