2020年02月17日

●「国債は政府の借金だが国民の資産」(EJ第5188号)

 政府の借金は、経済に深刻な打撃を与える消費増税までして、
返さなければならないものなのでしょうか。財務省は2014年
の5%〜8%への引き上げのときは、増収分の80%を返済に充
てているし、8%〜10%への引き上げでも50%を返済するこ
とになっています。財務省はまるで「悪代官」そのものです。そ
もそも毎年借金が増えるのは政府の財政運営の失敗が原因です。
その政府の失敗のツケをなぜ庶民の収入から取り立てるのでしょ
うか。だから、悪代官です。
 ネットのなかで、この問題に関する高校生と先生の次のやり取
りを見つけたので、ご紹介します。
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高校生:でも、日本に1000兆円も借金があるのは本当なんで
 すよね。それってやっぱり大変なことですよね。
先 生:もし、借金をゼロにする必要があるなら、そうかもしれ
 ないね。
高校生:え、借金はなくさないといけないんじゃないんですか?
 それに一人当たりに置き換えると863万円の借金って・・。
 やっぱりすごくやばそうな気がするんですけど・・・。
先 生:確かに、個人であったら借金はないほうがいいし、なる
 べく早く返したほうがいい。しかし、政府の借金はそうではな
 い。むしろ政府の借金は「あったほうがいい」といっても過言
 ではないんだ。
高校生:えっ、借金なのに、あったほうがいい?どういうことで
 すか!?              https://bit.ly/37q4pmr
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 「政府の借金はあったほうがよい」──この言葉から、何がわ
かるでしょうか。
 この言葉から財務省の狡猾さが透けて見えます。もともと政府
の活動を何かに例えるとしたら「個人」ではなく、「企業」では
ないでしょうか。上記の先生と高校生のやり取りの答えは、「企
業」です。企業は借金があった方がよいのです。そのため、政府
の財政をあえて個人の借金にすり替えたのです。つまり、政府の
借金を本来比較すべきものではない家計と比較しているのです。
先生と高校生のやり取りをもう少し続けることにします。
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先生:「政府」を「企業」に置き換えて考えてみると分かりやす
 いかもしれないね。あくまでも、たとえるのは「個人」ではな
 く「企業」だ。企業というのは、大体自己資金だけで起業など
 できないので、銀行などからお金を借りる。そして起業した後
 も、ずっとお金を借り続けるのが普通なんだよ。そのお金で、
 新しい機械を入れたり、多くの人を雇ったり、自社ビルを建て
 たりして、商売を広げていくためだ。こうやって、いろんな企
 業が銀行からお金を借りて商売を広げることで、お金が多くや
 りとりされ、経済が活性化するんだよ。つまり、多くの企業が
 銀行からたくさん融資を受けて、活発に設備投資をしているわ
 けで、もしも一切借金をしなくなったら、ただただ経済が縮小
 していくことになるんだよ。    https://bit.ly/37q4pmr
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 そのやり取りの後、先生は、日本全体の一般家庭の家計と企業
の財務状況の数字を高校生に次のように示します。2018年3
月末時点の数字です。
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           家計部門    企業部門
      資産 1829兆円  1178兆円
      負債  318兆円  1732兆円
           資産超過    負債超過
                  https://bit.ly/37q4pmr
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 これを見ると、家計部門は借金が少なく、企業部門は借金が多
いですが、これは当たり前のことなのです。それからもうひとつ
考えるべきことがあります。
 政府の借金の中心は国債です。日本の場合、国債の引き受け手
の90%は日本国民です。したがって、国債は、政府から見ると
国民からの借金です。これがとんどん増えているということは、
銀行から積極的にお金を借りて事業を発展させている企業が伸び
ているように、政府も積極的に政策を進めていることをあらわし
ています。そうすれば、経済は発展・成長し、国が豊かになって
行くわけです。日本の場合、政府の借金の大きさが問題ではなく
経済が成長しないことの方が、はるかに大問題です。
 一方、国民から見ると、国債は「資産」になります。つまり、
政府の借金(国債)が大きければ大きいほど、国民がたくさんの
資産を持っていることになるのです。これは、「プラスのサイク
ル」です。しかし、現在、日本は逆のことをしています。国民か
らあまねくお金を収奪する消費税を増税してお金を集め、そのほ
とんどを政府の借金の返済に充てています。税金が高くなると、
国民の収入は減り、国債が減るということは、国民の持つ資産が
減ることを意味しています。
 消費増税をすると、「消費税は消費の罰金」ですから個人消費
が直撃され、GDPの成長にブレーキがかかり、景気が悪化しま
す。その結果、税収が減少し、政府はその穴埋めに赤字国債を発
行し、借金を増やします。同じように借金が増えるのですが、こ
れは「マイナスのサイクル」です。これがひどくなったのが、デ
フレです。日本の場合、それが20年以上続いています。
 現在のように、何回も消費増税をして、政府の借金を返済する
ことを続けていくと、経済は勢いを失い、国民は貧乏になるので
ますますマイナスのサイクルにはまってしまい、なかなか抜け出
せなくなります。これをプラスのサイクルに戻すには、相当の荒
療治が必要になります。どうしても政府の借金が気になるのであ
れば、それをやるしかないことになります。
           ──[消費税は廃止できるか/029]

≪画像および関連情報≫
 ●国の借金は返す必要があるか(十字路)
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   1000兆円にも及ぶ国の借金(国債)は果たして返せる
  のかという問いに対し、私は強い確信を持って答えられる。
  絶対に返せないと。借金は借り換えると増えも減りもしない
  が、借り増すと増え、返済したときにようやく減少する。当
  然のことだ。手元にある1985年以降30年間ほどのデー
  タを見ると、我が国の国債残高は一貫して増え続けてきた。
  ほとんど増えなかったごく短い期間はあるものの、減ったこ
  とは一度もない。つまり実質的には我々はこの間、期限を迎
  えた借金をひたすら借り換え、さらに借り増しをする一方で
  返済したことは一度もないということだ。だから国債発行残
  高が増え続けてきた。
   残念だがこの図式は今後も変わらない。今年度の一般会計
  を見ると、税収等の歳入が63兆円ある一方、政策経費の歳
  出が74兆円だから、差し引き11兆円の赤字だ。そこに既
  存の国債の利払い費が9兆円加わって、合計20兆円の借り
  増しが発生する。借金を減らすには、収支を年間20兆円以
  上改善させて黒字にしないといけない。少子高齢化が今後さ
  らに進行する我が国で、それが可能とは到底思えない。
   しかし実は借金はあってもよい。増えてもよいのだ。大事
  なのは体力とのバランス。企業でいえば収益力との見合い、
  国でいえば債務残高を名目国内総生産(GDP)と比べた比
  率だ。この数値を着実に低下させていけるのであれば、借金
  は増え続けても問題ないと言える。
               https://s.nikkei.com/2uMpYR4
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「悪代官」の財務省.jpg
「悪代官」の財務省
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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