えているでしょうか。
現在、日本の現況は、世界一の金持ち国であるのに急速に貧乏
化が進行し、かなり悲惨な状況になっています。れいわ新撰組の
山本太郎代表は、『文藝春秋』新春特別号に寄せた政策論文の冒
頭で次のように訴えています。
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みんな本当に苦しんでいる。子どもの7人に1人、高齢者の5
人に1人、1人暮らしの女性の3人に1人が、貧困状態にありま
す。日本は今、生きていくのに、全く希望が持てない社会なので
す。結果、毎年2万人以上が自殺し、50万人以上が自殺未遂を
している。そんな地獄のような世の中はもう終わりにしたい。
この数字を見て下さい。厚労省の国民生活基礎調査によれば、
「生活が苦しい」と感じている人の割合は、全世帯の57・7%
(2018年)、母子家庭に限れば、82・7%(16年大規模
調査)に及びます。日本銀行の家計の金融行動に関する世論調査
(17年度)によれば、1人暮らしの貯蓄ゼロ世帯は、20代で
61%、30代で40%、40代で45%にも上る。
──山本太郎れいわ新撰組代表政策論文
『「消費税ゼロ」で日本は甦る』/『文藝春秋』新春特別号
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別に誇張があるとは思えません。事実を指摘しています。これ
は長年にわたる自民党一党独裁の政治の失敗の結果であるといえ
ます。この日本の現況を変えるには何をどうすべきでしょうか。
それを今回のテーマでは探っています。それを示すには、知る
べきことがたくさんあります。また、これまでとは、認識を変え
る必要もあります。
日本人は、一般的に「借金=悪」というイメージを持っていま
す。その何よりもの証拠として、このキャッシュレス時代におい
ても、現金の決済が主流であることが上げられます。2015年
における世界銀行の調査によると、世界におけるキャッシュレス
(クレジットカード)の普及率のベスト5は次の通りです。
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第1位: 韓国 ・・・ 89.1%
第2位: 中国 ・・・ 60.0%
第3位: カナダ ・・・ 55.4%
第4位: イギリス ・・・ 54.9%
第5位:オーストリア ・・・ 51.0%
https://bit.ly/2tVp8AD
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このときの日本の普及率は、わずか18・4%であったといわ
れます。日本では、クレジットカードを利用することは、借金を
することと同じであり、日本人は「後払い」ということに基本的
に抵抗があります。そういう日本人に対して、「1100兆円を
超える日本(政府の)借金」は、日本人の金銭感覚から考えて、
相当の大きなショックであったわけです。
日本の財務省は、そういう日本人の特性を利用して、国の財政
を家計のそれに例えて説明しています。増税を受け入れ易い環境
を築くためです。財務省のウェブサイトの動画では、次のように
説明されています。
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◎平成27年度一般会計予算/日本の財政
税収+税外収入 一般会計歳出 公債金収入等=借金
59・5兆円 − 96・3兆円 = 36・8兆円
↓
公債残高 840兆円
◎家計に例えると
1世帯月収 ひと月の生活費 不足分=借金
50万円 − 80万円 = 30万円
↓
ローン残高 8400万円
https://bit.ly/2RezDqL
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経済学では、経済活動の単位を「家計」「企業」「政府」に分
けますが、「家計」は貯蓄主体、「企業」は借り入れ主体が基本
形で、「家計」の借り入れは、「企業」ほど多くないので、「政
府」は「家計」よりも「企業」に似ています。しかし、財務省は
あえて「家計」と「政府」と比較しています。その方が国民が勘
違いし易いからではないかと考えられます。
国(政府)の借金を家計のそれと比較するのは間違いです。政
府の借金は、基本的には返さなければなりませんが、超長期間で
返すことが可能です。100年かけて返したっていい。しかし、
家計の借金はそういうわけにはいかないのです。それも政府の場
合は、イザとなると、お金を刷って返すこともができますが、家
計ではそんなことはできない。そういうわけで、政府の借金は家
計のそれとは異なり、そもそも比較するのは間違っています。そ
れなのに、財務省はわざわざ動画まで作成して、ユーチューブに
アップし、大宣伝をしています。だから、プロパガンダといわれ
るのです。ちなみに、財務省はユーチューブに公式チャンネルを
持っています。
もうひとつ大事な観点があります。政府の借金を国債に限定す
ると、政府の借金は民間にとって資産になるということです。し
かも政府の国債の90%以上は日本の銀行、生命保険会社、損害
保険会社、年金運用基金などが保有しています。つまり、貸し手
も借り手も日本であり、国のなかでの貸し借りであって、国の借
金ではないのです。
このように、11OO兆円の借金といいますが、「政府+民間
=国」の立場から見ると、11OO兆円の借金は、そんな深刻な
問題ではないことが明らかです。財務省はこの理屈をはぐらかし
ています。 ──[消費税は廃止できるか/009]
≪画像および関連情報≫
●「紙幣や国債は返済する必要がない」は本当か/斎藤誠氏
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「財布に入っている1万円札が日本銀行の借用証書であり
お札の持ち主が日銀に1万円を貸している」と考えている人
はほとんどいないのかもしれない。しかし「実はそうなので
ある」ということをここであらためて考えたい。
最初から注意を促しておきたいのであるが、1万円札は、
「日銀がいつまでも返済する必要のない借金」などではなく
て、「日銀がいつでも返済することを期待されている借金」
なのである。
紙幣が「返済される」からこそ日々無数の経済取引が紙幣
を介して滞りなく取り結ばれている。当たり前であるが、こ
の大切なことを、一部の人は忘れているようである。まずは
日銀のような中央銀行がまだ存在せず紙幣が発行されていな
かった時代のことを考えてみよう。
たとえば商人が農家から大量のコメを買うとする。コメ商
人はコメ農家に対して支払期日と支払金額を定めた手形を振
り出す。通常、手形の額面金額はコメの支払代金を上回るが
この差額部分が期日までの利息に相当する。いずれにしても
「手形が期日に返済される」という前提があるからこそ、コ
メ農家は支払代金としてコメ商人が振り出した手形を受け取
るのである。「手形が期日に返済される」という前提が満た
されていると、その手形はコメ商人とコメ農家の関係を超え
て市中に出回る可能性が出てくる。https://bit.ly/2tYJYPu
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れいわ新撰組/山本太郎代表