2019年12月23日

●「キャリア官僚の天下りは問題山積」(EJ第5155号)

 なぜ、財務省は消費税を増税しようとするのでしょうか。
 表向きと本音があります。表向きは、いろいろありますが、そ
れを少しずつ変化させてきています。最初は「直間比率の是正」
でしたが、いつの間にか「財政危機を乗切るため」に変わり、こ
れについて財務省は「1000兆円を超えるGDPの2倍以上の
国の借金」という一大プロパガンダを展開し、日本人のほとんど
にそれを信じさせることに成功しています。
 その結果、このたびの10%への消費増税に関しては、世論調
査で「賛成」が「反対」を上回る結果を得ています。「そんなに
借金があるのでは10%程度の増税は仕方がない」という、いわ
ばあきらめに近い「賛成」です。しかし、最近では論点を少しず
つ「社会保障費の補填」に移しています。
 しかし、彼らの本心は、経済の好不況に関係なく、どのように
でも使える自由財源の確保です。消費税は、それにぴったりの財
源なのです。これがあると法人税の減税にも使えるし、それが天
下り先の確保にもつながります。法人税を多額に支払う企業は優
良企業であり、格好の天下り先になるからです。
 ひとつ例を挙げると、2013年まで財務事務次官を務めたM
S氏(62歳)は、2014年に日本テレビホールディングスの
社外取締役に就任し、2015年に読売新聞大阪本社の非常勤監
査役と三井不動産の社外監査役に就任する──といった具合で、
1年ごとにポストが変わっていますが、それぞれのポストで高額
の退職金を受け取っています。
 それに加えて、豊富な自由財源があると、有力な天下り先にな
る政府関係機関を守ることができます。キャリア官僚にとって一
番怖いのは「政府関係機関の統廃合」です。なぜなら、有力な天
下り先が大幅に減ってしまうからです。
 この政府関係機関の統廃合を一番積極的にやったのは、郵政民
営化を旗印に掲げた小泉内閣です。小泉内閣では、「政策金融改
革」を大胆に実行に移しています。例えば、いわゆる金融公庫は
次の4つがあり、それぞれ管轄する省庁が違っていたのです。こ
れら省庁別の公庫は、各省庁の官僚にとって、格好の天下り先に
なっていたのです。
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    1.  国民金融公庫 ・・・ 大蔵省
    2.環境衛生金融公庫 ・・・ 厚生省
    3.農林企業金融公庫 ・・・ 農水省
    4.中小企業金融公庫 ・・・ 経産省
─────────────────────────────
 小泉内閣は、これら4つの金融公庫を「日本政策金融公庫」に
一本化したのです。これによって、官僚にとっては天下り先がな
くなり、政府にとっては、それぞれの公庫に出していた出資金を
減らすことにつながり、意義のあることといえます。当然のこと
ながら、小泉内閣では天下りにブレーキがかかっています。
 しかし、安部政権になってからは、天下りは復活し、公然と行
われるようになったのです。安部首相は、小泉内閣では官房長官
を務めていたのに、こういうところは、まったく学んでいないと
思います。
 しかし、小泉内閣の目玉ともいえる郵政民営化は、昨今のかん
ぽ不正営業の顛末を見る限り、成功しているとはいえないでしょ
う。日本郵政グループは、2007年に民営化しましたが、政府
はまだ57%の株式を保有しています。
 その象徴的な事件が2019年12月20日(金)に起きてい
ます。鈴木茂樹総務事務次官の突然の更迭人事です。かんぽ営業
不正をめぐる日本郵政グループへの行政処分の検討状況に関する
情報を日本郵政側に漏洩したことによる更迭です。
 鈴木茂樹総務事務次官が情報を流した相手は、日本郵政グルー
プの鈴木康雄上級副社長です。日本経済新聞は、この鈴木副社長
について次のように報道しています。
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 情報を受け取った鈴木副社長は1973年に旧郵政省に入省。
2009年に総務次官に就いた。13年から郵政の副社長を務め
る。郵政グループの人事を取り仕切るなど実権を握ってきた。鈴
木前次官は、81年入省で、今年7月に次官に就いた。当然2人
は旧知の仲だ。
 10年の退官後も「郵政のドン」と呼ばれる鈴木副社長は現役
次官を上回る影響力を持つとされた。郵政グループの幹部は「鈴
木副社長に総務省が情報を入れるにはこれまでも普通にあった」
と明かす。郵政がかんぽ問題を報じたNHKに抗議した中心人物
でもある。   ──2019年12月21日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 かんぽ問題に関しての日本郵政グループの3人のトップの対応
は最低です。民営化すれば、企業として稼いで利益を出さなけれ
ばなりませんが、十分なノウハウを持っていないので、無茶苦茶
で強引な営業管理をした結果です。
 この問題は、ことがあきらかになる一年前にNHKが番組とし
て取り上げ、警告していますが、それに食ってかかったのが、日
本郵政副社長の鈴木康雄氏です。本当のことをスバリ報道されて
焦ったのか、NHKの上田前会長を口を極めて批判し、NHKか
ら詫び状をとっています。
 なぜ、鈴木副社長がそんなに強気になれるのかというと、電波
を管轄する元総務次官を務めており、辞めても俺には総務省に子
分がたくさんおり、NHKなんかどうとでもなるとの脅しがあっ
たものと考えられるのです。
 皮肉にもその子分の一人と思われる鈴木茂樹前総務次官から、
日本郵政の鈴木副社長は行政処分の情報を得ていたのです。事務
次官同士は先輩、後輩の関係でつながっていたのです。これは人
事の失敗です。やはり、日本郵政グループの役員にその監督官庁
出身のキャリアが天下りすることには問題があるのです。
            ──[消費税増税を考える/053]

≪画像および関連情報≫
 ●監督側のはずが…旧郵政省人脈、なれ合い深刻
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   総務次官による行政処分情報の漏洩で、本来厳しく監督す
  べきはずの官庁がなれ合いに染まっていたことが明らかにな
  り、かんぽ生命保険の不適切販売問題が混迷を深めている。
  日本郵政グループのガバナンス(企業統治)の欠如が問題の
  根本原因だが、それを官庁や政治が許容してきた構図も浮か
  び上がる。問題収束はさらに遠ざかった。
   「信頼回復のために社員みんなで必死なのに、一体何がし
  たかったのか」。日本郵政関係者は情報漏洩の一報を聞いて
  嘆いた。情報の漏洩先だった日本郵政の鈴木康雄副社長は、
  ある国会議員をして「郵政グループの実質的な最高権力者。
  長門(正貢)社長なんて目じゃない」と言わしめる。かんぽ
  生命保険の不正販売問題を報じたNHK番組への抗議を主導
  したことでも有名。官邸との関係も深いのがパワーのゆえん
  だ。その人物が総務省の事務方トップの鈴木茂樹前総務次官
  と結託していた。天下りで経営陣に幹部を送り込む手法は旧
  郵政省時代から続く。平成25年6月に鈴木副社長が日本郵
  政入りして以降、旧郵政省出身で先輩後輩関係にあった事務
  次官はほかにも電通グループ副社長を務める桜井俊氏(27
  年7月〜28年6月)もいる。先輩と後輩の間柄で厳格に引
  かれるべき一線が曖昧になり、かんぽ不正の温床になったと
  もみえる。           https://bit.ly/35O94yz
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鈴木康雄日本郵政副社長
 
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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