2019年12月20日

●「天下りの温床である政府関係機関」(EJ第5154号)

 少し難しくなってきているので整理します。本来会計というも
のは、ひとつにまとめた方がスッキリします。税金や公債などを
財源として受け入れ、社会保障、地方交付金、教育、公共事業、
防衛など、国の基本的な政策の経費を賄う会計を「一般会計」と
呼んでいます。
 しかし、国は上記以外に多くの事業に取り組んでおり、それは
広範囲にわたっています。しかもその内容は、複雑多岐であり、
そのため、事業によっては、その歳入・歳出を「一般会計」と区
分し、別の会計に計上する方が、個々の事業状況や資金の運用実
績などが明確になる場合もあります。これが「特別会計」です。
「特別会計」には、次の3つの要件が決められています。
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 @国が特定の事業を行なう場合
  ・年金特別会計など
 A特定の資金を保有してその運用を行う場合
  ・財政投融資特別会計、外国為替資金特別会計など
 Bその他特定の歳入をもって特定の歳出に充て、一般の歳入・
  歳出と区分して経理する必要がある場合
  ・国債整理基金特別会計など
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 特別会計の数も変化しています。戦後は最も多くて45会計も
ありましたが、行政改革が行われる前は31会計、2015年現
在では14会計になっています。整理されつつあるのです。
 会計の規模については、特別会計は、国債の償還を行うための
「国債整理基金特別会計」(約200兆円)や、年金や健康保険
などの資金を管理する「年金特別会計」(約80兆円)などが含
まれるので、本家である一般会計額の4倍近くになっています。
 したがって、国の予算としては、一般会計と特別会計を合わせ
て見る必要がありますが、財務省はあえて、「一般会計=国の予
算」という位置付けで話をしようするのです。プライマリーバラ
ンスなどはそのさいたるものです。その方が彼らにとって都合が
よいからです。
 高橋洋一氏は、ストックをあらわす複数のB/Sをよく見る必
要があるといいます。複数のB/Sを見ると、B/SとB/Sの
間には資金のフローがあることがわかるからです。例えば、出資
金について、次の2つのB/Sがあります。
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  「一般会計」+「特別会計」のBS    72・5兆円
  「連結会計」(政府関係機関含む)のBS 18・8兆円
                      ──高橋洋一著
      『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書1174
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 「一般会計」+「特別会計」のB/Sを見ると、資産の欄に出
資金として「72・5兆円」が計上されています。しかし、政府
関係機関を含む連結会計のB/Sには、出資金の額は「18・8
兆円」に減っています。その差額は53・7兆円です。これは、
政府本体から政府関係機関への資金のフローです。これについて
高橋洋一氏は、次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 この54兆円という出資金によって、各省庁は政府関係機関を
コントロールして自分たちの天下り先としてきたのです。BSを
仔細に眺めれば、天下りの構図も見えてきます。PLだけ見てい
る人には、こうした情報は入りません。
 財務省がフローのことばかり口にするのは、彼らはバランスシ
ートの話が苦手ということもありますが、国民に隠したいことが
あるからです。「天下りの温床である政府関係機関を全部民営化
して、出資金を全部返してもらい、国の借金の穴埋めに充てれば
かなり借金が減りますね」といわれることを恐れています。
                ──高橋洋一著の前掲書より
─────────────────────────────
 約54兆円といえば途方もない大金です。これは、政府本体が
政府関係機関に多額の出資をしていることを意味します。政府関
係機関とは、特別の法律によって設立された全額政府出資の法人
であり、その予算は一般会計予算や特別会計予算と一体として、
国会の議決を必要とする機関のことです。
 政府本体が全額出資して、政府関係機関をつくり、そこにキャ
リア官僚が天下りをするという構図です。しかも、省庁ごとに政
府関係機関をつくることを認めたので、政府からの出資金が巨額
になってしまったのです。つまり、省庁ごとに天下り用の政府関
係機関を持っていることになります。
 各省庁のキャリア官僚からすれば、日本経済がどうなろうと、
そういう天下り先さえ確保されていれば、自分たちだけはいい思
いができると考えています。しかも、これらの機関は、企業的な
経営によって効率的な運営が行えるよう、省庁とは独立した機関
になっているので、天下りする役人にとっては天国です。そこそ
この実績を上げていればまず潰れることはないからです。
 各省庁は、このような政府関係機関をつくるとき、政策目的の
ために設立していると必ずいいます。しかし、これは、政府関係
機関をつくるのが目的で、政策目的の方は後から付けた理屈とい
うか建前でしかないのです。その証拠に、とっくの昔に政策目的
が終えていても、多くの政府関係機関は、新しい看板を掛け替え
て残っているからです。
 しかも、このような政府関係機関に投入されている資金は、出
資金だけでなく、貸付金もあります。政府本体からは、貸付金と
いう名目で、多額な資金が流れています。政府本体は「財投債」
を発行し、政府関係機関に貸し付けています。財投債はもちろん
政府の借金です。
 日本政府の借金が巨額でそんなに心配なら、増税などしないで
これら政府関係機関をすべて民営化すれば、出資金と貸付金を出
す必要はなくなります。 ──[消費税増税を考える/052]

≪画像および関連情報≫
 ●政府関係機関予算とはなんだろうか
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   国の予算として、一般会計と特別会計をみてきた。もうひ
  とつあった政府関係機関予算というのをみてみよう。政府関
  係機関予算とは、特別の法律によって設立された政府出資の
  法人で、その予算を国会に提出して議決を経なければならな
  い機関の予算だという。毎年、財務省主計局編集で、その内
  訳を収録した出版物が発行されている。
   現在政府関係機関予算の対象は、国民生活金融公庫、住宅
  金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、公営企業
  金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、国際協力銀行、日本政策
  投資銀行、商工組合中央金庫(商工中金)の9機関がある。
  商工中金を除く8機関は政府が資本金を全額出資している。
  それぞれに所管官庁があり、トップに、事務次官経験者が天
  下ったりする縄張りとなってきた。
   つまり、政府関係機関予算とは、政府系金融機関の予算の
  ことだ。民間では対応が困難とされる(はずの)分野や顧客
  に対し、資金の貸付を行う公的金融機関であり、本来は民間
  金融機関の補完的役割を果たすのが筋である。政府系金融機
  関の成り立ちをみると、1936年に設立された商工中金以
  外、国民生活金融公庫(もと国民金融公庫)が1949年、
  住宅金融公庫が1950年、といったぐあいに、みな戦後ほ
  ぼ10年以内に設立されている。 https://bit.ly/38PShgz
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政府関係機関.jpg
政府関係機関
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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