2019年12月18日

●「財務官僚はPL的発想の人が多い」(EJ第5152号)

 少し会計の話をする必要があります。公認会計士の藤沼寛夫氏
のサイトを参照して説明します。   https://bit.ly/2suiaSq
 期末決算において作成を求められる決算書には、次の2つがあ
ります。
─────────────────────────────
       1.貸借対照表 ・・・ B/S
       2.損益計算書 ・・・ P/L
─────────────────────────────
 一言でいうと、B/Sはストック情報、P/Lはフロー情報を
あらわします。両者は独立したものではなく、一定の関連性を有
しています。
 もう少し詳しくいうと、B/Sは、現在どのくらい財産を保有
しているかを示す決算書であるといいます。企業でいえば、安全
性を示しています。B/Sでは、期末日現在のストック情報(財
政状態)を、資産・負債・純資産に分けて表形式で表現します。
例えば、次のようにです。
─────────────────────────────
    資産:1500万円(500万円+1000万円)
    負債: 700万円
   純資産: 800万円(差額)
─────────────────────────────
 これに対してP/Lは、1年間の経営成績を示す決算書であり
収益性、成長性を示すものです。収益と費用を表示し、その差額
を当期純損益として表形式で表現します。当年度で稼いだお金が
収益、そのために費やしたお金が費用になります。売上は500
万円、売上原価150万円、地代家賃120万円とします。
─────────────────────────────
    収益:500万円
    費用:270万円(150万円+120万円)
   純利益:230万円(500万円−270万円)
─────────────────────────────
 このB/S、P/Lに関して高橋洋一氏は、財務官僚について
次のように興味深いことをいっています。
─────────────────────────────
 財務官僚は一般に、BSの考え方が苦手です。とくに主計局・
主税局の人たちは収入と支出のPLのみで財政を考える人ばかり
で、BSの発想がほとんどありません。政府の財産を管理してい
る理財局ですら、PLの視点しかない人が大半です。理財局が担
当している財政投融資についても、収入と支出の話はよく出まし
たが、残高の話をする人がほとんどいないのが実態でした。
 よくいわれるプライマリーバランス(基礎的財政収支)も、た
んに収入と支出の差額の話であって、BSのレベルで話をしてい
るわけではありません。しかも、プライマリーバランスというの
は、しばしば一般会計の話です。本来は、すべての部門の収支も
すべて含めないといけません。一般会計の話だけをするのは、国
民に対するごまかしにつながります。     ──高橋洋一著
      『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書1174
─────────────────────────────
 「財務官僚、とくに主計局・主税局の人たちは、P/Lの視点
でしかものを見ない」という高橋洋一氏の指摘は、非常に興味深
いです。そのさいたるものは、「基礎的財政収支(プライマリー
バランス)」の目標化です。これも高橋洋一氏が指摘するように
収支の差額の話、すなわち、P/Lレベルの話です。しかも、安
部政権はこれを達成しようとしている。これを守ることが「財政
再建」と勘違いしているようです。安部首相はまったくわかって
いません。彼も財務省に洗脳されてしまっています。
 藤井聡京都大学大学院教授は、「プライマリーバランスの黒字
化は亡国の道である」というレポートを書いて、プライマリーバ
ランスの黒字化政策の危険性を説いています。何が危険かという
と、これをやると、日本はますます貧乏になるからです。実際に
日本の貧乏化は加速しています。それを知らないのは日本人だけ
です。プライマリーバランスの定義は次の通りです。
─────────────────────────────
 財政収支において、借入金を除く税収などの歳入と過去の借入
に対する元利払いを除いた歳出の差のこと。そのバランスが均衡
していれば、借金に頼らない行政サービスをしているということ
を表すが、赤字なら後々に借金が増えていることを示す。プライ
マリーバランスの赤字が続いている限り、それを埋めるために国
債発行残高は増加せざるをえない状況が継続する。
                  https://bit.ly/34l85V7 ─────────────────────────────
 これは、要するに「政府は税収の範囲で支出する」ということ
を意味しています。つまり、超緊縮政策なのです。ですから、デ
フレで税収が少ないのに、支出がどんどん削られていきます。だ
から、国民の貧乏化が加速するのです。
 これを続けると、藤井聡教授は次の7つの理由により、日本は
滅びると警告しています。その7つの理由を上げます。
─────────────────────────────
     1.デフレが続く
     2.財政が悪化する
     3.産業競争力や労働生産性が低下する
     4.地方を衰退させている
     5.国防・防災力が下がる
     6.文化が衰弱する
     7.日本が後進国化する
                  https://bit.ly/38FlI4V ─────────────────────────────
 日本では、正しいことを指摘している人が「異端の人」的扱い
をされているような気がします。
            ──[消費税増税を考える/050]

≪画像および関連情報≫
 ●筆者を「共演NG」にする人たち
  ───────────────────────────
   最近、財務省ではないが、その関係者と意見をかわすこと
  がよくある。筆者は財務省出身者であるが、これまで財務省
  関係者に避けられることがしばしばあった。たとえばかつて
  財務省のよき理解者である与謝野馨氏と日本テレビで共演を
  依頼されていたが、突然、「その話はなかったことにしてく
  れ」と言われたことがある。財務省審議会の常連である某経
  済学者にいたっては、共演という話があったのに、急に出演
  しないことになった。いわゆる共演NGである。
   こちらに共演NGはないのだが、相手がNGというのだか
  ら仕方ない。今回、ラジオ日本の『清水勝利のこれでいいの
  かニッポン』からオファーがあり、共演NGを聞かれた。こ
  の番組は、政治家の方がよく出ている番組だ。いつものよう
  に「特にNGはありません」というと、「高橋さんの財政論
  を論破したいという政治家がいるので共演してもらいたい」
  ということだった。ところがその政治家は、財務省から「高
  橋を論破するのは無理」といわれたようだ。急遽出演しない
  ことが決まった。そこで共演となったのが、中川雅治参議院
  議員(自民)、宮本徹衆議院議員(共産)、小黒一正法政大
  教授であった。中川氏と小黒氏は財務省出身である。
                  https://bit.ly/38HAV5y
  ───────────────────────────


「PBの黒字化は亡国の道」と説く藤井教授.jpg
「PBの黒字化は亡国の道」と説く藤井教授
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

RDF Site Summary