2019年12月12日

●「国のBSはどのようにしてできか」(EJ第5148号)

 日本の財政の状況を正確に知るには、国のバランスシートを調
べるしかないといいます。この、日本国のバランスシートを最初
に作ったのは、元大蔵官僚の高橋洋一嘉悦大学教授です。このこ
とは、高橋洋一氏の本を多く読んでいた私はかなり以前から知っ
ていましたが、それを本気で調べようとしたことは一度もなかっ
たのです。しかし、日本の財政について詳しく知るには、バラン
スシートの分析が不可欠であることは確かです。
 ちなみに、1990年代半ばまで、世界でも国のバランスシー
トをつくるところはなく、日本が最初であったといいます。しか
し、このバランスシートは完成後封印され、公表されることはな
かったといいます。その事情について、高橋洋一氏は次のように
述べています。
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 完成した日本政府のバランスシートは世界に先駆けたものでし
たが、公表は長く封印されていました。当時の大蔵省は現在の財
務省と同じく、バランスシートの右側にある負債部分だけを大き
くクローズアップして日本の財政危機を訴えていたからです。左
側にある資産の部分が公になると、従来の説明と矛盾が生じてし
まいます。それでバランスシートの作成時、上から「これはお蔵
人りだ」といわれたのを記憶しています。
 その後、2000年代に小泉純一郎内閣が誕生すると、財務省
内からも「そろそろバランスシートを公表したほうがよい」とい
う声が上がり始めました。そこで小泉首相に「こういうものがあ
りますよ」と見せたところ、「いいじゃないか」となり、公表さ
れました。       ──高橋洋一著/PHP新書1174
                『「消費増税」は嘘ばかり』
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 日本政府のバランスシートが公表されたのは、2004年のこ
とですが、現在では、財務省のホームページにバランスシートが
公表されています。
 高橋洋一氏が、バランスシートを作る必要があると考えたのは
当時高橋氏が財政投融資の担当だったからです。財政投融資につ
いては、既に簡単に述べていますが、当時大蔵省の資金運用部は
郵便貯金や年金などで集めたお金を吸い上げ、政府系金融機関や
政府関係法人に貸し付けるという銀行と同じ仕事をやっていたの
です。その資金総額は実に約400兆円、金利の変動によっては
破綻リスクもあり得る状態であり、ALM(アセット・ライアビ
リティ・マネジメント)の導入は不可欠だったのです。
 ALMは、ごく簡単にいうと、金利変動によって財務状況全体
がどのように変化するかについてシミュレーションするシステム
です。これによって、金利変動に伴う将来のバランスシートの変
化をある程度予測できるのです。そのためには、財政投融資のバ
ランスシートを作らなければなりませんが、そのためには国全体
のバランスシートを作る必要があるのです。
 高橋洋一氏は、大蔵省理財局内に「資金企画室」というチーム
を作ってもらい、この仕事に取り組んだのです。国のバランスシ
ートを作成し、そのなかから財政投融資の分だけを抜き出し、A
LM分析をするプログラムを構築したのです。秀才ばかりといわ
れる大蔵省にも、そういうことができるスタッフはほとんどいな
かったと、高橋洋一氏は述懐しています。
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 私にこの仕事ができたのは、大蔵省では珍しい数学科出身(東
京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業)だったからです。
私の上司はALMについて幹部に説明する際、机の上に分厚い本
をドンと置いて、「ここに高橋のやっていることが全部書いてあ
る」といったら皆、黙ってしまった。文系の官僚には、理解し難
い内容だったと思います。ALMの重要性に関する分析や、ペー
パーは出ていましたが、誰も実行できない状況でした。いくら必
要性がわかっていても、コンピュータのプログラムを書いてシス
テムをつくれる大蔵官僚は当時いませんでした。
                ──高橋洋一著の前掲書より
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 1994年頃の話といいますが、当時PCは結構官庁や企業で
は普及していて、プログラミングのできる人は結構PCを使いこ
なしていたのです。私も当時BASICという言語でプログラミ
ングを書いてPCを使っていたのです。それに1995年11月
に、「ウインドウズ95」が発売され、一挙にPCは一般家庭に
も幅広く普及をはじめたのです。
 ところで、かつての大蔵省理財局、現在の財務省でもそうです
が、秀才の巣といわれますが、学部別に見ると、法学部の出身者
が圧倒的に多く、経済や会計のわかる官僚が少ないといえます。
これは最近になってもあまり変わっていないようです。
 ここに平成24年度(2012年)の財務省入省者のキャリア
官僚の出身大学および学部のリストがあります。36人の同期の
うち、東京大学法学部の占める割合が約3分の2に当る11人で
す。やはり官僚は東大優位です。これを学部別に見ると、次のよ
うになります。
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              人数    割合
        法学部  20人 55・6%
       経済学部  11人 30・6%
        その他   5人 13・9%
 上念司著/『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』
               講談社+α新書/744−1C
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 これらの36人中大学院卒業のテクノクラートは7名で、意外
に少ないのです。しかも専門学科は法学部が半分以上と、経済を
分析する力はけっして強いとはいえないと思います。先進国では
ほとんどがテクノクラートの人材ばかりです。
            ──[消費税増税を考える/046]

≪画像および関連情報≫
 ●【国の借金は1000兆円って本当?】
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   日本の借金は1000兆円を突破していて、このまま借金
  が増え続けると日本が財政破綻すると言われることがありま
  す。このような「日本の借金問題」は昔から言われているこ
  とであり、少なくとも1980年代以降、政府債務は右肩上
  がりで増え続けています。
   しかし、厚生労働省の大学等卒業予定者の就職内定状況調
  査によると2018年卒の大学生の就職内定率は91・2%
  で1997年の調査開始以来最高の内定率を記録していると
  言われており、日本の財政は破綻するどころか景気が良いと
  さえ言えます。いつか破綻するかもしれないと言われている
  日本政府の財政状態について本当はどのようになっているの
  でしょうか。本記事では日本の借金問題について考察を行い
  ます。まずは日本の借金は本当に1000兆円なのかという
  ことについて検証します。
   例えば、持ち家を購入して数年しか経っていない家庭はお
  そらく家のローンとして数千万円の借金を抱えているでしょ
  う。しかし、給料が貰えてローンが返せている限り、借金に
  よって家を取り上げられることもなければ、借金で首が回ら
  なくなることもないでしょう。手元にお金があって、きちん
  とお金を払っている限り借金があっても問題ないのです。
                  https://bit.ly/2RFwwdd
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日本国のバランスシートをはじめて作成した高橋洋一教授.jpg
日本国のバランスシートをはじめて作成した高橋洋一教授
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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