2019年12月11日

●「帳簿に載っているもの全て売れる」(EJ第5147号)

 政府の借金が過大であるというが、政府は資産を多く保有して
いるという疑問に対して、財務省は、それらは資産であっても処
分できないものがほとんどであると答えてきています。
 しかし、ここまで反論してきているように、借金が本当に深刻
であるなら、いくらでも処分が可能です。なお、企業や団体への
「出資金」についても、財務省は処分はできないと次のように答
えています。なお、数字は2009年当時のものです。
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 出資金(58兆円)は、その大部分が独立行政法人、国立大学
法人、国際機関等に対するもので、これらに対する出資は、そも
そも市場で売買される対象ではありません。
             ──森永卓郎著/角川新書K126
  『消費税は下げられる!/借金1000兆円の大嘘を暴く』
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 財務省は、天下り先を確保するために、なるべく政府系企業や
団体を必死で残そうとします。そのため、政府機関や団体の民営
化には徹底的に抵抗します。わかりやすい例を上げると、国立印
刷局という法人があります。紙幣や郵便切手などの印刷をする独
立行政法人です。
 紙幣や金券の印刷であるとはいえ、やっていることは、印刷会
社と同じです。したがって完全に民営化して、株式を売却すれば
その分負債をなくすことができます。別に売却すべしといってい
るわけではありません。財務省が「できない」というから、「で
きる」といっているだけです。
 それに財務省は、すぐに売れるが、それは自分たちが直接不利
益を受けるため、財産として上げないものはたくさんあります。
その代表として森永卓郎氏が上げるのは、「国家公務員住宅」で
す。ILO(国際労働機関)は、「社宅は労働者の思想統制につ
ながるので望ましくない」という見解を示しているそうです。森
永卓郎氏は、それならすべて売却すべしとして、次のように述べ
ています。
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 国家公務員住宅は、戦後の住宅不足のなかで、給与の低い公務
員の生活を支えるために、造られた。その数は2010年で、国
が所有するだけで、18万戸(2015年9月末時点で16・6
万戸)。民主党(当時)政権時代に、債務削減のため、真に公務
に必要なものを除いて削減する方針がきめられたが、それでも、
16万戸は必要とされた。危機管理要員や緊急参集要員などが入
居するためだ。財務省の資料によると、本省の勤務者のうち「国
会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝におけ
る勤務を強いられる」職員には公務員住宅が必要だというのだ。
しかし、私は、経済企画庁で2年間勤務したが、埼玉県所沢市の
自宅から通っていた。もちろん、国会対応や法案作成の業務にも
携わり、深夜の勤務もしていた。危機管理要員というが、民間企
業にも危機管理要員はたくさんいる。しかし、彼らのほとんどは
社宅には住んでいないのだ。   ──森永卓郎著の前掲書より
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 ここまでの記述で、財務省は必要以上に過大に日本政府の借金
の大きさを強調していることがわかると思います。その財務省の
主張を日本のメディアは、批判も反論もせず、ほぼそのまま報道
します。財務省には逆らわないことにしているようです。
 財務省は、莫大な広報予算を有しており、それを前提にメディ
アに睨みを利かせているからです。例えば、消費増税を実施する
場合、政府は相当巨額の広報予算を組みます。CMの制作やその
放映、新聞の全面広告などですが、そのさい財務省に批判的なメ
ディアに関しては、その配分に差をつける、いや差をつけるかも
知れないぞと脅しをかけるからです。そういうわけで、「さわら
ぬ神に祟りなし」というわけです。
 森永卓郎氏と並んで、そういう財務省の姿勢を批判している高
橋洋一氏は、よく日本経済新聞を例にとって、次のような話をす
ることがあります。なぜ、日本経済新聞社かというと、同社は経
済の専門紙でありながら、財務省が「日本は1087兆円の借金
を抱えている」という情報を流すと、何の検証もせず、そのまま
報道し、「国民一人当たり859万円の借金」と財務省の提灯持
ちまでするからです。ざっと次のような話です。
 日本経済新聞社には、ざっくりですが、2017年12月末の
時点で、負債が3000億円ほどあります。そのうち、長期借入
金は1000億円ぐらいです。社員数は3000人なので、社員
1人当たり実に1億円の負債です。もし、借金の大きさだけで破
綻が決まるとしたら、国民一人当たり850万円の借金を抱える
日本国よりも、日本経済新聞社は、はるかに破綻懸念が大きいと
いうことになります。
 しかし、日本経済新聞社は約6000億円の資産を持っていま
す。純資産は3000億円。資産と負債の両面で見なければ、会
社の健全性は判断できないのです。これは常識的なことであり、
まして経済記者が、資産のことに触れずに借金のことだけを書く
のは考えられないことである──高橋洋一氏はこのように主張す
るのです。そのさい、それらの資産が売却できるかどうかは、問
題にする必要はないのです。これについて、高橋洋一氏は次のよ
うに述べています。
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 政府の帳簿も企業の帳簿も同じことですが、帳簿に載っている
ものは当然、すべて値段が付いています。したがって国有資産も
値段が付いている以上、理論上は売却できます。値段を付けられ
ない資産は帳簿に載せることはできません。だから帳簿に載って
いること自体がマーケットバリューを有する、すなわち「売却可
能」という意味です。  ──高橋洋一著/PHP新書1174
                『「消費増税」は嘘ばかり』
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            ──[消費税増税を考える/045]

≪画像および関連情報≫
 ●日本は世界第2位の「政府の隠れ資産」大国だ
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   日本の公的債務はGDPの200%を上回り、OECD加
  盟諸国の平均の2倍以上に達する。しかも高齢化社会、低イ
  ンフレ、増税への強硬な反対が障害となり、解決への糸口は
  見えない。しかしここにひとつ、ほとんど注目されない別の
  一面が存在している。国民の目から隠されているが、大半の
  国の政府は驚くほどたくさんの資産を所有しており、それは
  超債務国も例外ではない。これらの資産を構成するのは国営
  産業の遺産で、具体的には空港、港、発電所、地方または全
  国レベルの公共交通システム、たとえば東京メトロなどが含
  まれる。
   ただし、大きな価値のある資産は見えないところに隠され
  ているケースが多い。実のところほとんどの政府、それも特
  に自治体は、大きな不動産ポートフォリオを所有している。
  そして、広大な土地と知的所有権を合計した商業的価値はと
  てつもなく大きい。実は、公的資産がその国のGDPのなか
  で占める割合を分析すると、日本は、信頼できる統計のある
  国々の中で、世界第2位に位置している。その額は、問題視
  されている公的債務を上回り、GDPの2倍以上となってい
  る。GDPの2倍以上の公的資産を持つ国は、日本のほかに
  ノルウェー、ラトビア、チェコの3カ国しかない(IMFの
  2013年データより筆者ら推計)。
                  https://bit.ly/2Yvs1n5
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一般政府の資産がGDPに占める割合.jpg
一般政府の資産がGDPに占める割合

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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