2019年12月06日

●「平然と理屈をこね嘘をつく財務省」(EJ第5144号)

 企業が財政危機状態に陥ったとき、まずやるべきことは、企業
の持つ資産を売却し、少しでも負債を軽くすることです。これは
政府の場合も同じであり、政府の資産を売却することが先決です
が、日本政府は一向にそうしていません。11月15日のEJ掲
載の「各国政府の資産と負債のバランスシート」をもう一度見て
いただくとわかるように、日本はグラフからはみ出すほど、負債
と資産は多いのに、他国政府のように資産を売って負債を減らそ
うとしないのです。         https://bit.ly/33P1Ng5
 これについて財務省に説明を求めると、財務省は、堂々と、次
のように反論しています。
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 日本の政府は借金が多い一方で、資産もあり、資産を売れば借
金の返済は容易だという説もありますが、これについてどのよう
に考えていますか?
 ご質問にお答えいたします。
 国においては、企業会計の考え方を活用して貸借対照表(バラ
ンスシート)を作成しており、平成21年度末時点では1019
兆円の負債に対し、647兆円の資産が存在しています。
 しかしながらこれらの資産の大半は、性質上、売却して赤字国
債・建設国債の返済に充てられるものでなく、政府が保有する資
産を売却すれば借金の返済は容易であるというのは誤りです。
             ──森永卓郎著/角川新書K126
  『消費税は下げられる!/借金1000兆円の大嘘を暴く』
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 財務省は、上記に加えて、これに該当する資産として次の3つ
を上げています。
─────────────────────────────
 1.年金積立金の運用委託金(121兆円)
 2.道路・堤防などの公共用財産
   ・国道63兆円/堤防67兆円
 3.外貨証券(82兆円)財政融資資金貸付金(139兆円)
 4.出資金(58兆円)
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 財務省の回答は、国民を素人と下に見て、上から目線で対応し
てします。「素人だから、わかりっこない」と考えて、バカにし
ているのです。役人の答弁といえば、「桜を見る会」の野党の追
及でたびたびテレビに登場する内閣府の総務課長なる人物の、の
らりくらりと絶対に相手に尻尾を掴ませない答弁がさいたるもの
です。これを「霞が関文学」ともいうそうです。
 しかし、「1」の年金積立金の運用委託金の121兆円。これ
誰でも取り崩せないと一瞬思いますね。しかし、取り崩せるので
す。財務省の言い分はこうです。
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 年金積立金の運用寄託金(121兆円)は、将来の年金給付の
ために積み立てられているので、赤字国債・建設国債の返済のた
めに取り崩すことは困難です。  ──森永卓郎著の前掲書より
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 この財務省の回答は正しくありません。国民には、そこまで頭
が回るまいとたかをくくっているのでしょう。日本の公的年金制
度は現在「賦課方式」です。しかし、もともとは「積立金方式」
だったのを2004年の年金制度改正で、賦課方式に変更したの
です。賦課方式というのは、国民全体が納めた保険料をその時点
の高齢者で山分けする方式です。したがって、基本的には積立金
は発生しません。つまり、この121兆円の積立金は、2004
年からは無用の存在になっているのです。
 この賦課方式──出生率の低下により、保険料を支払う現役世
代は減少し、逆に年金を受け取る高齢者は増えて行きます。当然
年金給付水準は必然的に落ちて行くことになります。そのため年
金給付水準を切り下げるために「マクロ経済スライド」という仕
組みが導入されたのです。自公政権の年金制度改悪です。
 したがって、121兆円の年金積立金の運用委託金というのは
積立金方式のときに積み立てたものであり、無用の存在ですが、
全額取り崩すにはリスクがあります。年金財政がある時期に赤字
になることもあるからです。しかし、121兆円もの資金を用意
しておく必要はなく、せいぜいその10の1も有していれば十分
です。だから、法律さえ変えれば、すぐにでも100兆円使える
ではありませんか。それでは、この121兆円は政府のバランス
シートでは、どう会計処理されているのでしょうか。森永卓郎氏
は、次のように説明しています。
─────────────────────────────
 ちなみに、連結の貸借対照表には、公的年金の寄託金という資
産項目は計上されていない。資産としてはカウントされているが
その他の有価証券や現預金と混ざって表示されているのだ。
 一方、公的年金の寄託金という項目がない代わりに、負債の部
に「公的年金預り金」が計上されている。なぜ預り金が「負債」
なのかと思われる方も多いだろう。政府は、この公的年金預り金
について、次のように説明している。「将来の年金給付財源に充
てるために保有していると認められる資産から未払金相当額を控
除した金額を『公的年金預り金』の科目で負債計上する」。
 つまりこういうことだ。いま公的年金が抱えている100兆円
を超える積立金の資産は、そのまま政府の連結貸借対照表の資産
として計上されている。年金積立金は、政府のものという扱いに
なっているのだ。しかし、そのままだと、国のバランスシートが
よくなりすぎてしまうと財務省は考えた。そこで、公的年金が抱
えている資産額から、未払い金を差し引いた額を「公的年金預り
金」として、負債の部に計上することによって、政府の純資産か
ら年金の積立金を事実上外しているのだ。
                ──森永卓郎著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/042]

≪画像および関連情報≫
 ●年金が食い潰されたのは?/江田けんじ氏
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  「百年安心の年金」。
   この言葉は元々、04年当時、自公政権が言い出したこと
  です。そして、今回の「2000万円不足問題」が起こって
  国会の場で安倍首相がそれを追認しました。ただ、日経新聞
  が当時「百年先まで約束すると言えば、世界中の鬼という鬼
  が笑い狂って悶絶死することだろう」と痛罵したとおり、多
  くの国民は「百年安心」とは思っていません。
   そう、「百年安心の年金」も、3年前の「年金カット法強
  行」も、年金という「制度」は守るが、老後の「生活」は守
  れないということです。特に、16年暮れに強行採決された
  「年金カット法」は、物価が上がっても現役世代の賃金が下
  がれば、年金の支給額を減額。このルールに過去10年間の
  データを当てはめると、国民年金で年間4万円(月3300
  円)、厚生年金で年間14万円(月11800円)が減額と
  なります。これでは老後は苦しくなるばかりでしょう。
   かと言って、このお年寄りの減額(カット)で年金制度が
  将来安定するかと言うと、この法律で強化された「マクロ経
  済スライド」で、現役(若者)世代の基礎年金も、将来3割
  カットされる。国民の間に、お年寄りであれ若者であれ、老
  後をどう暮らしていったら良いか心配だという声が多いのも
  当然なのです。         https://bit.ly/386ioQ8
  ───────────────────────────

疑問に答える財務省.jpg
疑問に答える財務省
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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