2019年11月25日のことです。国際通貨基金(IMF)
のゲオルギエワ専務理事は、日本の消費税率について「2030
年までに15%、50年までに20%へ増税する必要がある」と
の見解を発表しています。10月に10%への消費増税をしたば
かりであり、ネットなどでは「余計なお世話である」「内政干渉
そのもの」「あなたにいわれたくない」など、不満の声が、たく
さん上がっています。
確かに10年先の話ではあるものの、「次は15%」といわれ
ると、それだけで、人々の消費意欲とか投資意欲が損なわれ、マ
イナスであるとの批判が渦巻いています。
実は、この発言のバックに日本の財務省がいます。彼らは、早
くも国民に対して「次は15%」という増税の刷り込みをIMF
を利用して行ったのです。これについて、高橋洋一氏は『夕刊フ
ジ』の自身のコラムで、次のように書いています。
─────────────────────────────
専務理事の来日は、IMF協定第4条の規定に基づき、加盟国
と毎年定例的に行っている経済に関する審査「4条協議」に合わ
せたもので、協議の終了と対日報告書の発表を受けて記者会見し
た。対日4条協議はIMF代表団が協議相手国を訪問し、経済・
金融情報を収集するとともに、その国の経済状況および政策につ
いて政府当局者等と協議する。筆者も、現役官僚のときに協議に
参加したこともある。日本側は財務省、内閣府等の課長補佐レベ
ルの実務担当者が中心であるが、IMFの副専務理事、理事や事
務局への出向者も多い財務省が日本側をリードし対応していた。
対日報告書はIMFのものだが、日本政府、特に財務省の意向
が盛り込まれることもしばしばだ。IMFとしても、日本政府の
意に反することをあえて盛り込むのは政治リスクもあるので、日
本政府の抵抗のないものを採用しがちだ。財務省も、あえて外圧
を使ってでも、消費増税を打ち出すのがいいと考えているフシも
ある。その結果、対日報告書に消費増税が盛り込まれることとな
る。今回の専務理事の発言も、これまでと同じ背景だろう。
──【日本の解き方】 https://bit.ly/35XyOZf
─────────────────────────────
IMF本部は、米ワシントンDCにありますが、そこにはIM
F理事室という部屋があり、日本の財務省から多くの職員が出向
して勤務しています。日本人が多いので、普段は英語ではなく日
本語で話しており、英語に不慣れな日本人駐在記者に重宝されて
います。日本のメディアが「ワシントン発」としてIMFのニュ
ースを流すときは、理事室がソースであることが多いのです。
したがって、今回の専務理事の発言も財務省のレクを受けてお
り、財務省の意向に反する発言は出ないようになっています。し
かし、この発言を聞く日本人としては、「IMFまで消費税15
%が必要だといっている」として、重く受け止めてしまう傾向が
あります。財務省は、いわゆる「ガイアツ(外圧)」を利用して
増税の必要性をまんまとアッピールしたのです。
財務省のやっていることは、犯罪的ですらあります。既に述べ
ているように、消費税を導入した頃から、法人税は7兆円減って
います。所得税も8兆円減っており、あわせて15兆円も減って
います。その間に消費税は13兆円増えたので、法人税と所得税
が減った分の83%を消費税がカバーしていることになります。
「大企業と金持ちには減税、庶民には増税」、まるで時代劇の悪
代官がやるような悪政です。
財務省が、消費税を増税したがる理由は、一つはそれが「安定
財源」であって、経済が不況であろうが、なんであろうが、安定
的に取ることができるという点にあります。もう一つは、自分た
ちの輝かしい老後のために、大企業や金持と組んで、所得税や法
人税を減税するための「補填財源」として消費税を位置づけいて
いるフシがあります。
藤井聡京都大学大学院教授は、「消費税は人頭税である」とし
て、次のように述べています。
─────────────────────────────
よく言われる、「人頭税」っていう考え方がありますが、消費
税はそれに近いですよね。病気だろうが死にかけていようが、と
りあえず金を払えっていう話。一方で、累進性のある所得税は、
お金持ちからたくさん取りますし、法人税は「利益」にかかりま
すから、あまり儲かってない会社、例えば多くの中小企業は払わ
ないでいい。法人税や所得税を減税しておいて、消費税を増税す
るのは、格差を拡大することになりますね。(中略)
消費増税という問題は、「成長」と「公平」という2つの問題
がある。消費増税をすると、成長もできなくなるし、格差も拡大
する。どっちの観点からもおかしいのが、消費税だ、ということ
です。──「別冊クライテリオン」増刊号/2018年12月号
『消費増税を凍結せよ』/啓文社書房刊
─────────────────────────────
確かに藤井教授のいわれる通りです。法人税は利益の出ていな
い赤字企業にはかからないし、所得税も所得の多寡に応じてかか
る税であるので、ある意味公平です。
しかし消費税は、家計の状況が苦しい人や、所得の少ない人か
らも同率の税を徴収するので、情け容赦がない、一番残酷な税と
いえます。食料品に対する軽減税率といっても、主要国では0%
であるのに、日本では8%も徴収するのです。ちっとも「軽減」
税率ではなく、まさしく人頭税そのものです。そのため、萩生田
文科大臣ではありませんが、庶民は「身の丈に合わせて生きて行
くのに必要な食料品を買う」しかないのです。
ヘリコプターマネーについても、財務省は御用学者を集めて理
論武装し、絶対認めない体制を敷いています。何しろ、ヘリマネ
政策を勧めるノーベル経済学賞受賞のスティグリッツコロンビア
大学教授のことを「スティグリッツ教授の理論は違っている」と
いうのですから、大変な自信です。
──[消費税増税を考える/040]
≪画像および関連情報≫
●「日本の消費税率さらに段階的に引き上げを」/IMF
───────────────────────────
先月、IMF=国際通貨基金のトップに就任したゲオルギ
エワ専務理事が来日し、高齢化によって増え続ける社会保障
費を賄うため、日本では消費税率をさらに段階的に引き上げ
る必要があるという認識を示しました。ゲオルギエワ専務理
事は、都内で開いた記者会見で日本の財政について問われた
のに対し「IMFとしては、日本は消費税により頼れる余地
があると考えている」と述べました。
会見に合わせて公表されたIMFの声明では、高齢化によ
って増え続ける社会保障費の負担を賄うためには、消費税率
を2030年までに15%に、2050年までに20%に、
段階的に引き上げる必要があるとしています。
またゲオルギエワ専務理事は、日本経済の見通しについて
実質のGDPでことしは0・8%、来年は0・5%の伸びを
見込んでいるとしたうえで、「日本経済の回復は世界的な景
気減速と不確実性、それに日本自身の高齢化と人口減少の動
きによって試されることになる」と述べました。
そのうえでこれまで政府や日銀が進めてきた金融政策や財
政政策、それに構造改革を改善する必要があると指摘しまし
た。具体的には短期的な経済成長を維持するための財政政策
や働く人たちの生産性を上げる労働市場の改革などの構造改
革を再び活発に行うことが不可欠だなどとしています。
https://bit.ly/34IgN0x
───────────────────────────
記事検索
過去ログ
2023年11月(12)
2023年10月(18)
2023年09月(15)
2023年07月(19)
2023年06月(22)
2023年05月(20)
2023年04月(6)
2023年03月(22)
2023年02月(19)
2023年01月(13)
2022年12月(20)
2022年11月(20)
2022年10月(20)
2022年09月(20)
2022年08月(22)
2022年07月(20)
2022年06月(22)
2022年05月(19)
2022年04月(20)
2022年03月(22)
2022年02月(19)
2022年01月(19)
2021年12月(20)
2021年11月(20)
2021年10月(21)
2021年09月(20)
2021年08月(21)
2021年07月(20)
2021年06月(22)
2021年05月(18)
2023年10月(18)
2023年09月(15)
2023年07月(19)
2023年06月(22)
2023年05月(20)
2023年04月(6)
2023年03月(22)
2023年02月(19)
2023年01月(13)
2022年12月(20)
2022年11月(20)
2022年10月(20)
2022年09月(20)
2022年08月(22)
2022年07月(20)
2022年06月(22)
2022年05月(19)
2022年04月(20)
2022年03月(22)
2022年02月(19)
2022年01月(19)
2021年12月(20)
2021年11月(20)
2021年10月(21)
2021年09月(20)
2021年08月(21)
2021年07月(20)
2021年06月(22)
2021年05月(18)


