2019年11月14日

●「日本の財政は健全であり問題ない」(EJ第5128号)

 今から8年前、第2次安倍政権が発足する1年半前の2011
年6月のことです。当時与党だった自民党は、次の報告書を公表
しています。時の自民党総裁は谷垣禎一氏です。
─────────────────────────────
     「X─dayプロジェクト報告書」/自民党
─────────────────────────────
 「X─day」とは何でしょうか。
 これは国債暴落で財政危機が起きる「X─day」のことで、
その日に備える報告書です。
 この報告書では、積み上がった借金が原因で日本国債が信認を
失い、政府の資金調達が困難になり、金利が暴騰し、経済や国民
生活が大打撃を受ける可能性を指摘しています。この報告書が、
当時の民主党政権と野党の自民、公明両党が5%から10%への
消費増税を決めた12年の「3党合意」を後押ししたのです。
 参院選前の与野党の党首が並ぶ討論会で、安倍首相は次のよう
に述べています。
─────────────────────────────
 今後10年間ぐらいの間は、私は消費税を上げる必要はない
 と思っています。             ──安倍首相
─────────────────────────────
 このとき、記者は、与野党の党首に対し、「未来永劫、10%
からあげなくてよいと考える党首は挙手願います」と聞いていま
す。複数の野党党首はこれに挙手しています。これに対し、安倍
首相は「未来永劫はいくらなんでも無責任」といい、「今後10
年間ぐらいの間・・」と発言したのです。しかし、その後、安倍
首相はこの「10年間」を何回も繰り返しています。これに財務
省は警戒感を深めているといいます。
 しかし、「X─dayプロジェクト報告書」は、一種のプロパ
ガンダです。財務省は、こういうプロパガンダを何十年もかけて
行い、国民に対して財政危機意識を植え付けることに成功してお
り、「社会保障と税の一体改革」で消費税は税率が10%になっ
てしまっています。そのカネは社会保障の充実に使うといってい
るものの、政府は、社会保障をどんどん削っています。EJは、
こういう政府のウソを暴いていきます。
 多くの日本人は、日本はGDPの2倍以上の借金を抱える借金
大国であり、財政再建が何よりも急務であると信じています。し
たがって、財政再建は必要であり、消費増税はやむなしというこ
とになるのです。
 しかし、これはウソであるとはっきりという人がいます。高橋
洋一嘉悦大学教授です。高橋洋一氏はただの学者ではなく、財務
省の出身であり、この問題の権威です。高橋氏は、ある座談会で
この問題について次のように述べています。
─────────────────────────────
 「財政再建」についてですが、世間には、「財政再建のために
増税を先送りするな」という人が結構いますが、「バランスシー
ト」の視点からいうなら、財政は何も危なくないというのは、一
目瞭然です。私は財務省にいた当時、誰もバランスシートをつく
ろうという人がいなかったけど、半ば強引に自分で作ったら、財
政危なくないって答えが明白になった(笑)。そして今も全くそ
の状態。というかむしろ、「改善」してます。 ──高橋洋一氏
   『消費増税を凍結せよ』/「別冊クライテリオン」増刊号
              2018年12月号/啓文社書房
─────────────────────────────
 「日本の財政は何も問題なく、最近ではむしろ改善している」
というのです。このように財務省出身の有名な学者がいっている
のに、財務省は何も聞こえないフリです。「証拠を示せ」という
人もいます。
 高橋洋一氏は、その証拠を今年の3月に上梓した書籍で発表し
ています。その証拠は、2018年10月のIMF(国際通貨基
金)の次のレポートに掲載されています。
─────────────────────────────
  Fiscsl Monitor October 2018 Managing Public Wealth
 「公的機関のバランスシート/対GDP比/2016年」
           ──高橋洋一著『消費増税は嘘ばかり』
                    PHP新書1174
─────────────────────────────
 このグラフを添付ファイルにしています。このグラフは、中央
政府と地方政府、政府関係機関、中央銀行のすべてを合わせた国
全体のバランスシートを国際比較したものです。
 グラフの見方を説明します。横棒グラフの真ん中の線に注目し
てください。この線の左と右は、次のことを意味しています。
─────────────────────────────
    左の部分 ─→ 資産/金融資産+非金融資産
    右の部分 ─→      負債/資産−負債
─────────────────────────────
 線(黒い棒)のある位置はそれぞれ違いますが、それは「純資
産」で、純資産の多い順に上から並んでいます。線(黒い棒)が
左へ行くほど純資産が少なく、右に行くほど純資産が多くなって
います。一番右に位置するのが、ポルトガルと英国です。逆に、
ロシアとノルウェーは純資産が少ないことを示しています。
 日本の純資産(資産−負債)は、ほぼゼロの近くにあります。
借金は多いけれどもそれに見合う資産があり、バランスがとれて
います。したがって、このグラフで見る限り、日本の財政状況は
健全であるといえます。IMFは、日本の財政の健全さをグラフ
にして、示してくれています。なお、このグラフは、年金も含め
たものであり、年金を含めても、日本の財政は健全であるという
ことです。どこが「破綻寸前」なのでしょうか。何を根拠に財務
省は、日本の財政を破綻寸前などとウソをつくのでしようか。そ
れは、消費税を増税したいからです。そのため、そういって国民
を騙しているのです。  ──[消費税増税を考える/026]

≪画像および関連情報≫
 ●日本の財政が破綻しない数多くの理由
  ───────────────────────────
   今回は、久留米大学商学部教授の塚崎公義が、財政破綻の
  可能性と増税の必要性について考えます。
   消費税の増税が迫って来ました。「財政赤字が巨額だから
  増税しないと」という緊縮財政派の主張に基づくものでしょ
  うが、増税しなくても財政は破綻しません。一方で、無理に
  増税して景気が悪化してしまえば税収は減り、景気対策は必
  要となり、財政はむしろ悪化してしまうかもしれません。そ
  こで今回は、増税の必要性を考える一助として、増税しない
  と財政が破綻するのか否かを考えてみましょう。
   理論的に日本の財政が破綻することはあり得ません。政府
  が日銀から借金して国債を全部償還してしまえば良いからで
  す。しかし、それはハイパーインフレをもたらしかねません
  から、本稿では考えないことにしましょう。
                  https://bit.ly/2KhCNaJ
  ───────────────────────────


公的機関のバランスシート(対GDP比/2016年).jpg
公的機関のバランスシート(対GDP比/2016年)
posted by 平野 浩 at 04:45| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

RDF Site Summary