2019年10月31日

●「日本は『衰退途上国』化している」(EJ第5119号)

 日本の経済力の現況の続きです。添付ファイルは、世界各国の
1995年〜2015年までの20年間の「経済成長率(名目G
DP成長率)のランキング」です。このランキングでは、情けな
いことに日本は断トツの最下位です。なぜなら、日本以外のすべ
ての国がプラスであるのに、日本だけがマイナスだからです。
 世界の成長率の平均は139%であり、世界経済はこの20年
間において、2・4倍拡大しています。目下日本と対立している
韓国の成長率は、世界平均を超えており、日本は大きな差をつけ
られています。だから、バカにされるのです。
 第1位はカタールで成長率は1968%、第2位は中国で、成
長率は1414%。彼らは「所得倍増」どころか、「所得15倍
増・20倍増」という驚くべき成長を遂げています。マイナスは
論外としても日本は先進国なので、成長率は低くなると思うなか
れ、米国ですら過去20年間で135%成長しているのです。こ
れは世界平均とほぼ同じ水準です。
 皮肉なことに、ドイツの成長率が30%と低いことです。それ
でもプラスであり、日本のようにマイナスではない。日本はマイ
ナス20%、日本の国民は、この20年間にかつてよりも0・8
倍の水準までその所得水準を縮小させてしまっています。この失
われた20年中、2009年から2012年までは民主党政権で
あったとはいえ、自民党政権の経済政策の失敗以外の何ものでも
ないといえます。日本だけが、世界で唯一貧困化してしまったの
ですから。藤井聡教授は、これについて、次のように述べ、日本
を「衰退途上国」と命名しています。
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 先進国でないとするなら日本は「発展途上国」なのかと言えば
残念ながら「発展途上国」ですらない。なぜなら発展途上国は、
文字通り「発展している」国だが、我が国は発展の正反対の「衰
退」し続けているからだ。我が国の将来には希望というより、む
しろ「悪夢」が広がっているのである。
 つまり我が国日本は今や、先進国でも発展途上国でもない異様
な国なのである。だからあえて我が国を分類するとするなら、先
進国でも発展途上国でもない、世界唯一の「衰退途上国」とでも
言わざるを得ない。          ──藤井聡著/晶文社
         『「10%消費税」が日本経済を破壊する』
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 なぜ、日本は、世界唯一の「衰退途上国」になってしまったの
でしょうか。EJは、その原因をこれから追及していきます。
 1985年9月22日のことです。ニューヨーク市のプラザホ
テルに、G5、先進5カ国の蔵相(財務相)と中央銀行総裁が集
まったのです。会議に集まった蔵相(財務相)は次の5人です。
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  西ドイツ財務相、  ゲルハルト・シュトルテンベルク
  フランス経済財政相、ピエール・ベレゴヴォワ
  アメリカ財務長官、 ジェイムズ・ベイカー
  イギリス蔵相、   ナイジェル・ローソン
  日本蔵相、     竹下登
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 目的は「為替を安定させる」というものでしたが、会議の内容
は実務者協議で決められており、会議自体は20分程度で合意に
いたっています。これが「プラザ合意」です。
 しかし、その合意の内容は、日本の「円」だけを狙い撃ちにし
て、各国の協調介入によって猛烈な円高に向かわせるというもの
でした。ちなみに、当時の円・ドル相場は1ドル=240円だっ
たのです。
 実際にこのプラザ合意によって、2年後の1987年末には、
1ドル=120円の超円高になっています。2年で2倍の円高で
す。問題は、日本の対応です。なぜ、そんな不利な合意を日本は
受け入れたのでしょうか。
 これについて、経済アナリストの森永卓郎氏は、次のように解
説しています。
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 1980年代、米国は苛立っていた。石油ショックの後、いち
早く厳しい排ガス規制への対応を成し遂げ、小型で燃費のよさを
実現した日本製の自動車は、米国市場を席巻していた。ところが
米国国内で販売される自動車の2割が日本車になるに及んで、米
国は怒りの爆発させた。厳しい日米交渉の結果、日本は米国への
輸出の自主規制をすることになり、1981年、日本は前年実績
比15%減の168万台以下に、輸出を抑制することになったの
だ。なぜ、関税ではなく、自主規制という形を採ったのかという
と、当時のレーガン政権は、自由貿易を掲げていたからだ。自由
貿易を掲げて、日本に牛肉やオレンジの市場開放を求める一方で
日本に自動車輸出の自主規制を求める。ダブルスタンダードの利
己主義政策だった。
 しかし、自動車産業を自主規制に追い込んだにもかかわらず、
産業全体としてみると、日本の輸出攻勢は止まらなかった。そこ
で、日本の勢いを一気に止めてしまおうというのが、プラザ合意
による円高政策だったのだ。         ──森永卓郎著
            『なぜ日本だけが成長できないのか』
                    角川新書K−241
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 このときは、日本は現在の中国どころではない米国からの脅威
による厳しい状況に置かれていたのです。それは1985年の日
本が、戦後40年も経っているのに、終戦後の沖縄と同じような
実質的に米国の占領下に置かれていたことを示しています。米国
の提案を拒否することは事実上困難だったのです。
 しかし、これが、結果として、日本に巨大なバブルを発生させ
る原因になります。超円高を受け入れることによって、一体何が
起きるか、それは日本の予測を超えていたのです。
            ──[消費税増税を考える/017]

≪画像および関連情報≫
 ●各国の20年間成長率ランキング/1995年〜2015年
  ───────────────────────────
  ◎グラフ出典
   藤井聡著
  『「10%消費税」が日本経済を破壊する/今こそ真の「税
  と社会保障の一体改革」を』晶文社

世界各国の20年間成長率ランキング.jpg
世界各国の20年間成長率ランキング
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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