2019年10月29日

●「配当所得に関わる優遇税制を知る」(EJ第5117号)

 時の政権の立場に立って考えてみます。その政権のトップは、
自分の政権で、将来につながる大きな仕事をしたいと、考えるで
しょう。そのさい、どこに、どのように働きかければいいかと政
治家は考えます。その働きかけるべき最も具体的にして明確な対
象は、大企業、なかんずく大企業のトップが集結する経団連のよ
うな組織になります。真の対象は国民ですが、あまりにも漠然と
しており、掴みどころがないマクロな存在であるからです。
 したがって時の政権は、大企業のトップたちと話し合い、政権
の支持や政策への理解を得ようとします。そのため、どうしても
大企業に有利な税制ができてしまうのです。ちなみに、大企業の
トップは、同時に“金持ち”でもあるのです。
 ここまで述べてきているように現在の税制は、どのように考え
ても、大企業そのものへの法人税の軽減や、いわゆる“金持ち”
に対する税制優遇は動かし難い事実です。そして何よりも許せな
いのは大企業や高額所得者を税制で優遇することによる税収の減
少を、消費増税を繰り返すことによって、埋めようとしているこ
とです。EJはこれをさらに追及していくことにします。
 “金持ち”と切っても切れないのが配当所得です。配当所得と
は、株の配当による収入のことです。配当所得の税金には次の2
つのメリットがあります。
─────────────────────────────
     1.総合課税と分離課税を自由に選べる
     2.日本の配当所得の税は先進国中最低
─────────────────────────────
 「1」のメリットについて検討します。
 配当所得を確定申告するさい、総合課税か分離課税を自由に選
択できます。例えば、配当所得を50万円、事業所得を800万
円、譲渡所得を100万円稼いだとします。全部で、950万円
(50+800+100)になり、これが総所得です。
 この950万円を総合課税すると、その税金は累進課税となり
所得税と住民税は次のようになります。
─────────────────────────────
 ◎総合課税
  所得税率 → 累進課税/5・105〜45・945%
  住民税率 → 10%
─────────────────────────────
 これに対して、配当所得だけを切り離して、個別に税額を計算
する方法を「申告分離課税」といいます。上記の例によると50
万円を他の所得(900万円)と分離して税額を計算します。税
率は次のようになります。
─────────────────────────────
 ◎申告分離課税
  所得税率 → 15%
  住民税率 →  5%
─────────────────────────────
 いわゆる“金持ち”は、所得が大きいので、申告分離課税を選
択します。このように、自分の所得に応じて、納税方法を自由に
選択できるのは便利です。
 なお、これとは別に「申告不要制度」というのもあります。自
分で申告しなくても、自動的に課税される制度です。配当所得が
得られるごとに源泉徴収されるので、確定申告する必要がないの
です。これによる税率は次の通りです。利用に当っては、源泉徴
収ができる特定口座が必要です。
─────────────────────────────
 ◎申告不要制度
  所得税率 → 15%
  住民税率 →  5%
─────────────────────────────
 「2」のメリットについて検討します。
 実は、日本の配当所得に対する税金は、主要先進国のなかで、
一番低いということです。
─────────────────────────────
      日本 ・・・        15%
    アメリカ ・・・      0〜20%
    イギリス ・・・   10〜37・5%
     ドイツ ・・・    26・375%
    フランス ・・・ 15・5〜60・5%
                  ──財務省のサイトより
─────────────────────────────
 安倍政権は、2015年から所得税の最高税率を、40%から
45%に引き上げています。2014年に消費税率を5%から8
%に引き上げており、2015年には、さらにそれを10%に引
き上げることになっていたからです。そのため、高額所得者には
45%の最高税率をかけるようにしてバランスをとったつもりな
のです。しかし、高額所得者の収入には、配当所得が多く含まれ
ており、最高税率の引き上げは一種のパフォーマンスです。
 三木義一青山学院大学法学部教授(専門は租税法、弁護士)は
次のように疑問を呈しています。
─────────────────────────────
 税制の大切な役割の一つが富(所得)の再分配です。資本主義
経済では自由競争で勝敗が分かれ、どうしても所得に差がつく。
そこで所得が高い人により高い税率を負担してもらい、所得が低
い層に社会保障として配分する。この再分配がしっかり機能して
いれば、社会は安定する。税制はそうやって設計すべきもの。
 しかし、自公政権の考え方はそうなっていない。累進課税を強
化するといいながら、抜け道をたくさんつくって富裕層を優遇し
再分配より経済成長を促す方向に変えている。経済成長は重要だ
が、そこで生まれた格差を是正することの方がもっと重要です。
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/015]

≪画像および関連情報≫
 ●日本人富裕層の納税額が米国の半分以下という不公平
  ───────────────────────────
   ここで大きな疑問を持った方も多いはずです。「日本の金
  持ちは、世界でもっとも税負担が大きい」ということを、政
  府や財界がよく喧伝してきたからです。確かに、日本の金持
  ちは“名目上の税率”は高いのです。先進国の最高税率は次
  のようになっています。
   ========================
   日本  :45・95%(復興税0・95%を含む)
   アメリカ:37・0%
   フランス:45・0%
   イギリス:45・0%
   ドイツ :45・0%
   ========================
   これを見ればわかるように、復興税を加えれば、先進国の
  中で一番高いと言えます。が、実際の税収を見ると、アメリ
  カのGDP比の半分以下しかないし、先進国のGDP比と比
  べても軒並み低いのです。「税率は先進国では高い方なのに
  実際の税収はアメリカの半分以下」これは非常に不思議な話
  です。なぜこういうことになっているのか、というと、日本
  の所得税には、金持ちに対して様々な抜け穴が用意されてい
  るからなのです。        https://bit.ly/31QuNDo
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経団連.jpg
経団連

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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