や税の専門家は、自民党が支配する政治情勢下では、ほとんどい
ませんが、ひとりだけこの問題を徹底的に追及している学者がい
ます。1925年生まれの中央大学名誉教授の富岡幸雄氏です。
富岡幸雄氏は、学徒出陣で戦地に赴きましたが、復員後、国税
庁に勤務します。そのかたわら中央大学法学部の夜間部に通い、
第1回公認会計士試験、第1回税理士試験にそれぞれ第1号で合
格するという快挙を成し遂げた税の専門家です。
その富岡幸雄氏は、いくつもの書籍で、日本の法人税のまやか
しを暴いています。その最新の一冊に次の書籍があります。
─────────────────────────────
富岡幸雄著
『消費税が国を滅ぼす』/文春新書1233
─────────────────────────────
この本では、法人税のまやかしを精緻に暴いていますが、内容
がやや専門的であるので、そりのエッセンスだけをご紹介するこ
とにします。とても内容があり、一読の価値があります。
法人税、法人住民税、法人事業税のいわゆる「法人3税」の法
律で定められた税率を富岡幸雄氏は「法定総合税率」と表記して
いますが、メディアなどは「実効税率」と呼んでいます。最近で
は、政府当局にもこの表記を使っていますが、これは不可解なこ
とであると富岡氏はいっています。
なぜなら、「実効税率」という表記は、法律で定められた税率
ではなく、実質的な税率という意味になってしまうからです。こ
の言葉を政府当局が使うのは理解できないことですが、わかって
いてあえてやっていると思うのです。
そこで富岡氏は、企業の計上している利益に対して、実際に負
担している納税額の割合を「実効税負担率」と呼んでいます。こ
れを式で書くと、次のようになります。
─────────────────────────────
実効税負担率=法人税等÷税引前純利益
──富岡幸雄著
『消費税が国を滅ぼす』/文春新書1233
─────────────────────────────
「税引前純利益」とは、文字通り、税金が引かれる前の技術で
す。「法人税等」は少し専門的になりますが、損益計算書の「法
人税、住民税及び事業税」の欄にある数値のことで、実際に支払
った納税額をあらわしています。
次の表は、単体で納税している事業会社のうち、税引前純利益
が600億円以上で、2018年度3月期における実効税負担率
が10%以下の事業会社を低い順序に並べたものです。
─────────────────────────────
税引前純利益(万円) 法人税等 実効税負担率
A社 1109億5700 16億1500 1・46%
B社 976億0800 19億9400 2・04%
C社 2915億7300 160億3500 5・50%
D社 1394億2500 116億1500 8・33%
H社 698億0900 74億0800 10・61%
A社:新日鐵住金、B社:出光興産、C社:アステラス製薬、
D社:HOYA、H社:富士フィルムHD
──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
この数字を見ると、大企業が納めている法人税がいかに低いか
がわかります。新日鐡住金(現・日本製鉄)といえば、財界のリ
ーダー的存在です。その大企業の税引前純利益が約1110億円
もあるのに、法人税の納税額はたったの16億円です。出光昭和
シェルの出光興産も、税引前純利益は976億円なのに、納税額
は約20億円に過ぎないのです。
以上は、単体で納税している事業会社ですが、連結納税してい
る事業会社で見ても同じことがいえます。本田技研工業の同じ2
018年度3月期の税引前純利益が1兆1149億7300万円
もあるのに、法人税は、136億6600万円であり、その実効
税負担率は1・23%という低さです。
実効税負担率で、同じ時期のベスト10(低い順)に並べると
次のようになります。
─────────────────────────────
1.本田技研工業 ・・・ 1・23%
2. 関西電力 ・・・ 11・31%
3. 日本航空 ・・・ 15・37%
4. 三菱電機 ・・・ 17・06%
5. 三井物産 ・・・ 18・94%
6. 住友商事 ・・・ 19・01%
7.トヨタ自動車 ・・・ 19・25%
8. 伊藤忠商事 ・・・ 19・73%
9. 日産自動車 ・・・ 19・78%
10. 日立製作所 ・・・ 20・62%
──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
これを見ると、名だたる大企業がズラリです。トヨタ自動車の
税引前純利益は2兆6204億2900万円もあるのに、法人税
は5044億0600万円、実効税負担率は19・25%でしか
ないのです。
これらの大企業が参加している財界総理のいる経団連は、「日
本の法人税は高い。下げろ!」と公言し、それをこれまで実現さ
せてきています。その税収の穴埋めに、もし消費税が使われてい
たとしたら、これはとても許せるものではないです。これでは日
本は、富める者はさらに巨万の富を得て、貧しい者はさらに貧し
くなる格差社会化が進行してしまいます。安倍政権は、長期政権
で、ひたすらこうした大企業偏重の政策をここまで進めてきてい
ます。 ──[消費税増税を考える/011]
≪画像および関連情報≫
●消費増税の議論で欠けていたもうひとつの大問題
───────────────────────────
消費税増税を考える上でもう一つ、考えねばならないのが
国民が納める税金──血税を、政府が自分の財布であるかの
ように平気で無駄遣いしていないかという問題である。
最近、大きな問題となっているものとして、これまでも再
三問題にされてきた「原発マネー」の問題がある。関西電力
の八木誠会長を含む役員ら20人が、関電高浜原発が立地す
る福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死亡)から、
2011年からの7年間に計3億2千万円を受け取っていた
という事実が明らかとなった。原発立地自治体には交付金や
補助金など巨額の税金が注がれるが、それが「原発マネー」
として還流していたとみられている。政治家もからんでいる
という報道もある。今後、徹底的に真相を明らかにしてほし
い。そして、その額の大きさからも、内容からも、見過ごす
ことのできない大問題が、米国からの高額兵器の購入という
問題である。その内実は、どしても必要なものを「購入」し
ているというより、どうみても不必要なもの、あるいは「欠
陥品」で他の国は買わないようなものまで、米国からの要求
で次々と“爆買い”しているということだ。安倍首相がトラ
ンプ大統領とたびたび対談してはそのたびに米国の高額兵器
を“爆買い”することを約束させられているようだが、「週
刊フラッシュ」の9月17日号には、「『血税5兆円を米国
に』貢ぎリスト」と題した記事で、その爆買いの中身が紹介
されている。 https://amba.to/31DjcYo
───────────────────────────
富岡幸雄氏


