2019年10月21日

●「超大企業ほど税金を払っていない」(EJ第5112号)

 日本の消費税が、その創設以来、この税制にとって不可欠であ
るはずのインボイス制度を導入しないまま導入され、3%〜10
%まで税率が引き上げられてきています。これでは、国に消費者
の納めた税金が十分収入されず、それによって利益を得る者が出
てきてしまいます。国は、そのことがわかっていて、インボイス
を導入していないのです。
 既に説明しているように、インボイスはけっして難しい制度で
はなく、導入しようと思えばできるのに、なんと2023年10
月から導入することになっていますが、その事実を多くの人は知
らないでいます。それまでは、「益税」の発生を黙認する簡易課
税制度を使うことになっています。きわめて不公平税制です。
 ところが、消費税の増税に合わせて、法人税が減税されている
事実については既に指摘した通りです。まるで法人税の減税で減
少した税収を消費税の税率を上げることによって、カバーしてい
るようです。だから「庶民には増税/大企業には減税」と批判さ
れるのです。
 しかし、政府は、日本の法人税は他国に比べて高く、外国の企
業が日本でビジネスをするさいのネックになっていると、法人税
減税の意義を強調しています。本当にそうなのでしょうか。日本
の法人税は本当に高いのでしょうか。
 財務省のウェブサイトに「法人実効税率の国際比較」というグ
ラフが出ています。各国の国税と地方税の合計の数字の比較です
が、これを高い順に並べると、次のようになります。2019年
1月現在の数字です。
─────────────────────────────
      1.フランス ・・・ 31・00%
      2. ドイツ ・・・ 29・89%
      3.  日本 ・・・ 29・74%
      4.アメリカ ・・・ 27・98%
      5. カナダ ・・・ 26・50%
      6.イタリア ・・・ 24・00%
      7.イギリス ・・・ 19・00%
                  https://bit.ly/2MtfITX ─────────────────────────────
 日本の場合、法人に課されるのは、法人税だけでなく、法人住
民税、法人事業税があります。法人税は国税ですが、法人住民税
と法人事業税は地方税です。これらを「法人3税」といいます。
それぞれ国によって基準が異なるので、順位で並べて比較するの
は問題があるかもしれませんが、これによると、日本の法人3税
(実効税率)は、確かに「高いレベル」といえます。日本の法人
税は、次のように計算されます。
─────────────────────────────
 「所得金額(=益金−損金)×税率」−税額控除=法人税額
─────────────────────────────
 法人税額は、商品などを販売して得た収入から、商品の原価や
人件費などの経費(損金)を引いた所得金額に税率をかけて、そ
こから税額控除をして計算されます。問題はこの「税額控除」で
す。これが税率とは関係なく、法人税額を大きく減らす仕組みに
なっているのです。日本の法人税には、大きな抜け穴が存在しま
す。その抜け穴は大企業に集中しています。
 その抜け穴の代表的なものとして、大村大次郎氏は次の2つの
制度を上げています。
─────────────────────────────
 1.           研究開発費減税  2003年
 2.外国子会社からの受取配当の益金不算入  2009年
                     ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 「1」の「研究開発費減税」というのは、研究開発をした企業
は、その費用の10%分の税金を削減するというものです。限度
は、その企業の法人税額の25%です。
 この減税の特徴は、研究開発費を支出する余裕のある大企業し
か受けられないものであることです。しかも、研究開発費の範囲
が非常に広く設定されており、ちょっとした研究開発でも、製造
業の大企業であれば、受けられる減税です。これによって、法人
税は25%減税されることになります。大村大次郎氏によると、
全体の0・1%にも満たない資本金100億円超の大企業が、減
税額の80%を独占しているのです。まさに大企業のための減税
であるといえます。
 「2」の「外国子会社からの受取配当の益金不算入」は、外国
の子会社から配当を受け取った場合は、課税対象の所得金額から
外されるというものです。企業のグローバル化が進む現代では、
大企業の多くは海外の子会社を保有しています。ある企業が、海
外の子会社から500億円の配当を受け取ったとします。この場
合、この企業は、500億円の配当収入には税金はかからず、無
税になります。
 これは、現地国と日本での2重課税を防ぐのが目的ということ
になっています。外国子会社の配当収入は、一般的には、税金が
源泉徴収されるケースが多く、現地で払っているのだから、日本
では税金を払わなくてもいいという制度です。
 しかし、2重課税を防止するのであれば、現地で支払った分を
控除すればいいはずです。しかし、この制度は、現地でいくら税
金を払っているかに関係なく、全額控除できます。これによって
とんでもない大減税になるのです。
 日本のトップ企業であるトヨタ自動車は、この制度のおかげで
2008年から実に5年間、日本の法人税を払わないで済んでい
ます。その間、トヨタ自動車は、リーマンショックの2年以外は
黒字を出しています。このように儲けている企業ほど税金を払っ
ていないのです。    ──[消費税増税を考える/010]

≪画像および関連情報≫
 ●トヨタ5年間法人税を払っていなかった!そのカラクリ
  ───────────────────────────
   クルマの年間販売台数「世界一」のトヨタ自動車が法人税
  を納めていなかった。最近、巨額の利益を上げているはずな
  のに、なぜこんなことができるのか、とインターネットで怒
  りの声も出ている。
   トヨタの豊田章男社長は2014年3月期の決算会見で、
  09年3月期分から納めていなかった法人税を、14年3月
  期から支払えるようになったと語った。トヨタ自動車の20
  14年3月期連結決算によると、グループの世界販売台数が
  世界で初めて年間1000万台を突破。売上高は前期比16
  ・4%増の25兆6919億円、営業利益は6年ぶりに過去
  最高を更新して、73・5%増の2兆2921億円。税引き
  前当期純利益は、73・9%増の2兆4410億円の好決算
  だった。まさに、トヨタは、「世界一」の自動車メーカーに
  なった。この結果に、豊田章男社長は「一番うれしいのは納
  税できること」と喜んだ。豊田氏が社長に就任したのが20
  09年6月。「社長になってから国内では税金を払っていな
  かった。企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の
  使命」と語り、「納税できる会社として、スタートラインに
  立てたことが素直にうれしい」と話した。トヨタ自動車は、
  たしかに法人税を払っていなかった。そのことは広報部も、
  「この5年間は払っていません」と認め、「13年度分を、
  この6月に納めます」と話している。
                  https://bit.ly/32t2Lz4
  ───────────────────────────

トヨタ自動車/豊田章男社長.jpg
トヨタ自動車/豊田章男社長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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