2019年10月18日

●「日本の消費税率は実質的に世界一」(EJ第5111号)

 消費税を導入する目的が、大平正芳元首相の執念であった赤字
国債をなくすことであったとすれば、その後3回の消費税の税率
引き上げの目的は何だったのでしょうか。
 政府が消費税を増税するときは、必ずその目的を明らかにしま
すが、気になることは、その目的がそのつど変わることです。あ
るときは、財政危機からの脱出であり、またあるときは、財政再
建であり、またあるときは社会保障の財源確保というようにくる
くる変わります。そのようにして、税率をきわめて短期間に、日
本の税制史上、類を見ないハイペースで、5%から10%に倍増
させたのです。
 それに、「〜の財源として」といいますが、消費税は目的税で
はなく、あくまで一般財源です。お金に色はついていないので、
徴税してしまえば、社会保障の財源に充てるといっても、本当に
社会保障に使われているのかどうか確かめようがないのです。そ
の証拠に、これほど消費税が増税されても、社会保障はどんどん
削減されているではありませんか。
 増税の勧進元は財務省であって、政治家ではありません。政治
家は選挙があるので、増税、とくに全国民に影響の大きい消費増
税は、自分にとって大きなマイナスです。増税に失敗して辞めて
いった政治家は何人もいます。このように、政治家は増税すれば
次の選挙で痛い目に遭うのでなるべくやりたくないものですが、
選挙の洗礼を浴びない財務省の役人、それも一部のキャリアは、
ひたすら税率アップを狙っています。彼らにとっては、目的はど
うでもいいのです。ひたすら税率を上げようとします。彼らは、
早くも2年後の12%税率アップを狙っています。
 竹下内閣で消費税が導入された直後の政府税制調査会の会長は
加藤寛慶応義塾大学教授でした。税制に造詣が深く、1990年
から2000年まで会長を務めています。このときの加藤教授の
消費増税の目的は「直間比率の是正」です。これについて、経済
アナリストの森永卓郎氏は、次のように述べています。
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 加藤教授は、ミスター税調と呼ばれるほど圧倒的な影響力を持
ち、消費税率を引き上げていかなければならないと言い続けた。
その目的は、直間比率の是正だった。所得税や法人税といった直
接税は、景気に応じて大きく変動してしまう。一方、消費税のよ
うな間接税は、安定した税収が得られる。高齢社会の膨大な社会
保障財源を賄うためには、日本以外の先進国並みに間接税の比率
を高めていかなければならないというのが、加藤教授の持論だっ
た。ところが、その加藤教授が、政府税制調査会の会長を退任す
る際の最後の答申で、持論である直問比率の是正をもう一度主張
して花道を去ろうとしたら、大蔵省(当時)の官僚に制止された
そうだ。大蔵官僚とは、それまで手を携えて直間比率の是正を掲
げてきただけに、不審に思った加藤教授が問いただすと、大蔵官
僚は「直間比率の是正ではなく、財政危機を乗り切るためには消
費税率引き上げが必要と言ってください」と話したという。
           ──森永卓郎著/角川新書/K−126
  『消費税は下げられる!/借金1000兆円の大嘘を暴く』
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 日本は、世界第3位の経済大国ですが、「家計調査」によると
国民の家計消費は激減しています。2002年に一世帯当たりの
家計消費は320万円を超えていましたが、現在は290万円に
なっています。先進国で家計消費が年々減っているのは、日本だ
けです。消費増税によって景気が低迷しているからです。
 このようにいうと、ヨーロッパの先進国の消費税率は日本より
高いではないかと反論されますが、ヨーロッパでは、消費税は高
いですが、物価は日本よりはるかに低いのです。だから日本では
消費増税されると、生活はますます苦しくなります。
 世界の物価ランキングを知っていますか。物価は「都市名」で
ランキングされますが、2018年の物価ランキングベスト10
を参考までに以下に示します。
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  ◎世界物価ランキング/2018(マーサー)
      1位   ルアンダ    アンゴラ
      2位     香港      香港
      3位     東京      日本
      4位 チューリッヒ     スイス
      5位 シンガポール  シンガポール
      6位    ソウル      韓国
      7位  ジュネーブ     スイス
      8位     上海      中国
      9位 ニューヨーク    アメリカ
     10位    ベルン     スイス
                  https://bit.ly/2pnEzzh ─────────────────────────────
 日本の物価は世界第3位である──こういう政府に都合の悪い
ことを新聞やテレビは一切報道しません。その見返りに新聞は増
税を免れています。最低です。政府とメディアが一体になって国
民を騙していることになります。
 日本は、消費税が10%になって、物価は世界第3位の高さで
す。これでは消費が増えるはずがないでしょう。日本の消費税は
実質的には世界一高いといえます。それを無視して財務省のキャ
リアは、国民のためではなく、自分たちのために、ひたすら増税
に走っています。彼らは根っこの部分で財界につながっているの
です。このあたりのことは来週解明します。
 経済的措置を誤ってデフレになり、それにもかかわらず消費税
の税率を何回も上げる。物価は世界第3位と高い。当然消費は大
幅に冷え込みます。そうすれば景気が悪くなり、いつまで経って
もデフレから脱却できない。まさにそういう「失われた30年」
が続いています。国民は「減税」という言葉を忘れてしまうほど
増税ばかりです。    ──[消費税増税を考える/009]

≪画像および関連情報≫
 ●元国税が暴露「消費税は社会保障のため不可欠」が大ウソ
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   確かに、日本の間接税はヨーロッパ諸国に比べれば低いで
  す。しかし、日本の場合、公共料金やNHK受信料など「準
  税金」が非常に高く、国民生活の実態においては、高額の間
  接税を払っているのと同じ状況になっているのです。これは
  データとしても明確に表れているのです。
   間接税というのは、税金をモノの値段に上乗せする税金で
  す。間接税の最大の欠点というのは、モノの値段が上がる事
  です。それが一番、我々の生活に直結することです。もし、
  間接税を上げても、モノの値段が変わらないのだったら、間
  接税などいくら上げてもいいわけです。つまり、間接税とい
  うのは、国民がモノの高さを我慢することによって、間接的
  に税負担をするという税金なのです。
   となると、間接税というのは物価との関係をセットで考え
  なくてはなりません。もし物価がものすごく低い国だったら
  消費税を多少上げても、国民の生活にはそれほど影響はしま
  せん。でも物価がものすごく高い国だったら、消費税を上げ
  たならば、たちまち国民生活に影響することになります。で
  日本は物価が高いでしょうか、低いでしょうか?
   日本は、実は世界一物価が高い国なのです。世界最大のコ
  ンサルティング会社、マーサーによる世界の主要都市の20
  17年の物価ランキングでは、東京は世界第3位となってい
  ます。             https://bit.ly/2MKZgwZ
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加藤寛元慶応義塾大学教授.jpg
加藤寛元慶応義塾大学教授
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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